月刊グラン5月号のご紹介[風間八宏監督のマンスリー・セレクション]

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YAHIRO KAZAMA
MONTHLY SELECTION
風間八宏監督のマンスリー・セレクション

新天地(上)ドイツ
「どん底」でつかんだ転機

 今季からグランパスの指揮を取る風間八宏監督。サッカーの街・清水で生まれ育ち、1979年ワールドユースでは「高校生トリオ」の一員としてプレー。大学卒業後、単身ドイツに渡り、Jリーグ創設期にはサンフレッチェ広島の主将としてステージ優勝にも貢献した。少年世代からJリーグまで豊富な指導キャリアから生み出された「風間メソッド」は、日本サッカー界の潮流の一つとなっている。濃密なサッカー人生を歩む風間監督が語る「マンスリー・セレクション」。最初のテーマは「新天地」。今回はドイツでの日々を振り返った。

マラドーナに刺激、海外目指す

 グランパスに行くと決めた時は周囲にも驚かれたけれど、いつも言っている「継続と刺激」の「刺激」を自分のどこかで求めているのだなと思います。「今持っているものに新しいものを積み上げてみたい」ということ。刺激を受けることで今まで知らなかった自分が見えてくる。より難しいなと思う方に向かっている気もします。

 十代のころは「謙虚であれ」と言われ続けて、もっとうまくなりたいとか、まじめで謙虚にやっていたつもりだけど、それでも生意気でした。18歳で日本代表に選ばれていたこともあって、自然とそうなっていったと思います。周りは関係ないよという感じで。

 そのころ、日本サッカーのトップは日本リーグ。高校、大学の時にもほとんどのチームが勧誘に来ていたけど、このまま日本リーグに行ったら、すぐに辞めちゃうんじゃないかとすら思っていました。筑波大学に入ってからも日本代表に選ばれ、天皇杯のベスト4まで行ったり、ますます生意気になっていた。大学2年の時にはドイツに行くことを決めて、大学の松本光弘監督にも伝えました。筑波には1年間のブラジル留学制度もあったのですが、日本代表だったから行かせてくれないので、大学を出たらとにかく行きたいと。だから、それ以降、日本リーグのチームとは一切会わなかったんです。会うとご飯食べさせてもらえるので、お金がなかったから本当は会いたかったけれど(笑)。

 中学の時にブラジルのチームから誘われたことがあるけど、その時は高校選手権に出たかったので行かなかった。でも、ワールドユースでマラドーナを見た時に、すごい選手が海外にはたくさんいるんだなと衝撃を受けた。早く外に出て世界を確かめたいという想いは常に持っていました。中でも遠征で見た西ドイツはしっかりした国という印象があった。今みたいにインターネットもなくて、テレビは「ダイヤモンドサッカー」くらいしか情報がなかったんです。

 4年生の時、代表でイギリス合宿をした際にケルン体育大学でコーチ留学していた大学の先輩、田嶋幸三さん(現日本サッカー協会会長)が試合を見てくれて「おまえだったらやれるんじゃない。来いよ」と言ってくれたので、レバークーゼンのテストを受けることになりました。

 不安はなかった。知識がなかったから。遠征だったら何十回も行っているけど、一人で飛行機に乗ったことはなかったし、乗り継ぎの方法も分からなかったんです。サッカー部の森岡理右部長が「立て替えてやる」っ言ってくれて乗った飛行機は南回りでドイツまで40時間。今思えば珍道中ですが、一人親の家庭だったし、生計を立てなきゃいけないと思っていたから、留学ですと悠長なことは言ってられなかったんです。

 テストは2週間の予定だったのですが、1日で入団が決まりました。ドイツに着いて田嶋さんに「長旅だったから、少し汗をかきたい」と言って、翌日のレバークーゼンのセカンドチームとの練習に参加させてもらいました。リーグ3部だと思って完全に舐めきってたら、逆にこっちを舐めてるのが分かったんです。それじゃ見せてやるよって、ドリブルで抜きまくった。そのプレーをトップチームの監督だったデッドマール・クラマーさん(1964年東京五輪の日本代表コーチ)たちが見ていて、「プロの待遇するから残れ」と言われてそのままサイン。びっくりするくらいの給料でした。ビールケースの上にふとん乗っけて寝てた大学生が、いきなり大金を手にすれば、鼻も伸びていました。


マラドーナに衝撃を受け、世界に追いつけとばかりにドイツでプロデビューした風間八宏青年、順調に見えたそのキャリアに待ち受けた「ドン底」とは...。
続きは『Grun』2017年5月号をぜひご覧ください。

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新天地(上) ドイツ「ドン底」でつかんだ転機

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