月刊グラン5月号のご紹介[永井龍選手インタビュー]

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得点王に、なってやる。

やっぱりFWは
ゴールという結果が全て

 何とも活きの良いストライカーが加入してくれたものである。開幕戦で挨拶代わりの2ゴールを文字通り叩き込み、その後も攻撃のコアメンバーとしてポジションを問わない活躍ぶり。しかし、長崎時代の評判は「1トップのプレーヤー」だ。過去の彼を知る者にとっては、サイドハーフからウイングバックまでこなす現在の永井龍は、まるで別人のように見えているかもしれない。
 何せ、本人が一番驚いているぐらいなのだ。「オレ、上手くなってる」と。風間八宏監督は「ボールは素直。どこを押さえればどうなるかは決まっている」と説くが、その教えを忠実にトレースできる選手は多くはない。永井はその意味で"素直に"上達を続ける有望株。どこでも使う指揮官の起用法にも、彼への信頼度の高さは感じられる。
 名古屋での風間チルドレン筆頭となりつつある永井龍。それは、自らの成長のため、彼が望んでいたものでもあった。

 名古屋での日々は、想像していた通りの激しいポジション争いがありました。特に前線は良い選手がたくさんいますから、毎日の練習の中でアピールしていかないといけません。ただチームとしては、甘く見ていたわけではないけど、あんなに苦戦するとは想像していなかったというのが正直なところです。余裕ではないけど、この選手層と監督、チーム戦力ならいけるやろ、と思っていました。そこにはギャップがありました。
 風間監督については想像もできなかったですね。ただ、実は名古屋に来た理由の半分ぐらいは風間さんが監督だから、だったんです。風間監督に教われば、単純に成長できるかなと思って。自分は気持ちで、良く言えば本能でやってきたFWだったので、そこにしっかりとした足下の技術やパス、トラップが身につけば......と。その要素がすごく大きかったです。去年も成長を感じる1年でしたが、ただ点を取りに行くという感じでした。それは一番大事なことだけど、それだけをしていたんです。「得点を取る」ことに自信がついたところもありましたが、この3カ月ほどで自分はビックリするくらい急激に成長しているのを感じています。もう25歳だし、技術でサッカーやってきてないしなあ、と正直に言えば思ってました。上手くなったらいいけどな...ぐらいの感じで。でも本当にこの3カ月だけでも『あれ、自分、上手くなってへん?』と思えている(笑)。まだまだ下手ですけど、上手くなっているのを感じるんですよ。

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 風間監督の指導で大きくその可能性を広げ始めている永井だが、長崎での高木琢也監督との出会いもまた、彼にとっては重要なものだった。かつて"アジアの大砲"と呼ばれた厳しい指導者の下で、永井は点取り屋としての潜在能力を大きく引き出されたと感じている。プロ7シーズンで9得点しか挙げられなかった選手が、J2とはいえ、いきなり17得点の大立ち回りを見せられたのは偶然の産物ではない。
 実績はFWに次なる挑戦への力を与える。風間監督の指導に良い意味で染まりつつある永井だが、「自分が持っていたものをまずは大事にしたい」ときっぱり。長崎で鍛えた強靭な"軸足"は、そう簡単に揺らいだりはしない。

 高木さんには得点の取り方を教わりました。『ボールに対してこうやってゴール前に入っていく』だとか、得点が取れない時にはこんなメンタルでいなさい、と教えてくれましたね。ストライカーにしかわからない感覚というか、高木さんも現役時代にそういう時期があったのだろうし、それを自分と重ね合わせてアドバイスしてくれました。結果を残している人だけに、言葉の重みはすごく感じていました。長崎で自分はプレーの幅が広がって、長所が伸びたと思います。そして今は、技術などの自分が持っていなかった部分が伸びている。あくまで自分を活かすための技術にできればと思いますけどね。そこは模索中です。

 結局は点を取ってナンボの選手だと自覚しているので、上手くなったからといって中盤に降りてという目立ち方はしなくていい。今まで、降りてさばいてというプレーはいらないと思っていたし、いざ降りてボールを受けに行っても、タマさんみたいなカッコいいことはできなかった(笑)。だったら自分のできないことよりも、できることをやる。それが僕にとってはゴール前で待つということでした。
 でも今は少し余裕が出てきたところもあるんです。降りてさばいて、というのも下手なりにできるようになってきた感はあります。そういうプレーも大事だとこのチームに来てわかりました。誰かがボールを持っている時に全員が顔を出すというのが、風間さんの思い描いているサッカー。そこを頭に入れつつやろうと思います。


2017年の開幕ゴールを叩き込んだ武骨な点取り屋「永井龍」、名古屋グランパスで充実の日々を送り成長を実感する毎日の中、最終的に目指す立ち位置とは...。
続きは『Grun』2017年5月号をぜひご覧ください。

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得点王に、なってやる。
永井龍

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