第89回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝:ガンバ大阪vs名古屋グランパス

最終更新日時

2010/01/02 16:19

AWAY GAME

国立競技場 2010/1/1(金) 14:02 キックオフ

試合前

晴れ渡った青空の下へ、午後1時20分過ぎ、山口を先頭に名古屋の選手達が気持ちの入った表情を見せて走り込んでくる。今か今かと彼らを待ち受けていた名古屋のサポーターの前へと向かう。待ち望んだこの決戦の日を彼らと迎えることが出来た感謝の意を込め、選手全員、丁寧にスタンドへと挨拶を交わすと、すぐさま決戦に向け、最後の調整をスタートさせる。

彼らより5分程先にアップをスタートした我らが守護神・楢崎は、落ち着いた表情を見せながら、念入りに体を動かしてコンディションを整えている。清水戦では1失点を喫したものの、怪我からの彼の復帰、そして活躍があったからこそ、この国立のピッチへとチームを、そしてサポーターを導いてくれたことは間違いない。そして今日は楢崎にとって3度目の、そして名古屋にとっても10年振り3度目の天皇杯を絶対に手にして今年をスタートさせたいはず。今日もビッグセーブを見せてくれるはず。

清水戦ではしっかりとPKによる同点弾を決めた玉田。家族が増えて迎える初めての決勝。これまで「タイトルに縁がなかった」と語った言葉を、今日こそは覆すべく、アップも気合い十分だ。ケネディと共に、日豪代表によるアベックゴールを期待したい。

今日でチームを去る選手達を含め、今のチームメイトで戦うことは今日が最後。最高の思い出で終わる試合になることは間違いないはず。

そして最後の締めとしてコーナーフラッグ近くでのスプリントを送る山口への声援でサポーターのボルテージが最高潮となる中、選手達は2009年シーズンを閉め括る、そして、2010年度シーズンの新スタートを切るための、ガンバ大阪との天皇杯決勝に向けたコンディションを整えて、ロッカールームへと向かっていった。

前半

満員のサッカーファン、そしてサポーターで埋め尽くされた国立のピッチに、午後2時、両チームの選手が入場。すると、しばらく前から大人しくはやる気持ちを抑えていた名古屋サポーターから、堰を切った大声援が怒濤のように流れ込んでくる。そして、スタンドは赤と黄色の旗が大きく名古屋サポーターのスタンドで揺れ、選手へと気合いが込められた。

先発メンバーは、GKは我らが守護神・楢崎、DFは右から田中・バヤリッツァ・吉田・阿部の4人。中盤は、小川・中村・吉村・マギヌンの4人。FWは、玉田とケネディの2人。慣れ親しんだ4-4-2の布陣でスタートする。

試合は左にエンドを取るガンバに対し、アウェイの白のユニフォームに身を包んだ名古屋は右から左へと攻め上がる。
前半は、左エンドのガンバのボールでキックオフ。

1分、ケネディが競り合って落ちたボールにマギヌンが詰めようとするが、DFがクリア。
2分、中盤でのルーズボールをガンバ・ルーカスが狙ってくるが、ここは吉田が厳しく詰めてボールをカット。
4分、ガンバ陣内左でのFKのチャンス。小川の蹴った長いボールに一番遠い位置にバヤリッツァが走り込むが、飛び出したGKがパンチングで弾き出してしまう。
5分、ゴール前でのこぼれ球に詰めた玉田の左足のシュートは、惜しくもクロスバーの上。

【失点】
6分、左からガンバ・遠藤が細かく繋いだボールをゴール前に入り込んだルーカスに右足で押し込まれ、ガンバに先制を許してしまう。
8分、右からのガンバのCK。遠藤が蹴ってくるが、これはマイボールに。
10分、阿部のサイドを変えたボールを上がってマギヌンが右で受ける。そのマギヌンからのクロスにケネディが入り込むが、これはDFがカット。こぼれたところを拾った中村のパスを、小川が正面からシュートを狙ったが、ボールはGKの正面。
11分、左で阿部の縦パスを受けた小川からのグラウンダーのクロスは、ニアで跳ね返されてしまった。
12分、田中からのDFの裏へのボールにケネディがタイミング良く抜け出すが、ここはエリアを飛び出したガンバGKが先に追いつき、クリアされてしまう。
14分、ガンバゴール前へとマギヌンの入れたボールがこぼれたところをケネディが狙うがこれは、DFに弾かれる。
15分、左の阿部からのクロスをゴール正面で玉田がヘディングシュートにいったが、これは惜しくもGKの正面を突いてしまった。

17分、右深く自陣でのガンバのFK。遠藤のボールにガンバ・中澤がヘディングシュートにくるが、ここは楢崎が正面でしっかりと捕らえた。
18分、右深くでボールを持ったルーカスが中へと入り込もうとするが、阿部と吉田でこれを阻止、ボールをクリアする。
19分、右で中村のパスを受けた田中が落とすと、マギヌンがクロスボールを蹴る。しかし、待ち受けるケネディには届かず。
22分、左の阿部からの速めのクロスは、中央で待っていたケネディにの前でDFがカット。
24分、中央でボールを受けたルーカス。そのままドリブルで持ち込んで、シュートを放ってくるが、これは精度を欠き、ポスト左へと大きく流れ出る。
26分、右に開いた中村のパスを中央、ゴール正面で受けたケネディが落としたところへマギヌンが詰めるが、シュートは打たせて貰えず。
27分、遠藤の遠目からのシュートは、楢崎が落ち着いて正面で押さえる。
28分、ガンバ陣内深くやや左でのFKのチャンス。これを玉田が蹴ると見せ、小川が低く速いボールを直接狙うが、惜しくもGKの正面。
30分、ガンバゴール前でのルーズボールを左で拾った吉村のシュートは、惜しくも左のポストを叩いてしまい、枠を捕らえることは出来なかった。

33分、左から阿部の背後へのパスに、小川がタイミング良く抜け出したかと思われたが、これはオフサイドに。
34分、DFの裏へと出たパスにガンバ・山崎が抜け出してくるが、先に追いついたバヤリッツァがクリア。
35分、遠藤からのDFの間を抜け出るスルーパスが出るところに山崎が走り込んでくるが、ここは飛び込んだ楢崎が体でボールを押さえ込む。
36分、中央で下がってパスを受けたケネディが前を向こうとしたが、後ろからの厳しいチェックにボールを失ってしまった。

【得点】
40分、右から玉田の入れたボールをケネディが落としたところへ、ゴール前へと詰めた中村がこれを押し込み、見事な同点弾を決める。
44分、ガンバ陣内右深くでのFKのチャンス。これを玉田が蹴ると、ニアで触れたボールを正面で吉田が押し込もうとしたが、惜しくもGKが押さえてしまう。
(ロスタイム表示:2分)

ロスタイム1、ガンバ陣内右深くでのFK。玉田が蹴ったボールは、今度はニアで弾かれてしまった。
ロスタイム2、右からのCKのチャンス。玉田のボールに正面へバヤリッツァ、吉田と走り込むが、GKが弾き出してしまう。

そして、ガンバに先制を許す苦しい立ち上がりだったものの、中村の執念の同点ゴールで試合を振り出しに戻して前半が終了。

後半

良い時間帯での同点ゴールで試合の流れを掴んで、前半を終えた名古屋。いよいよ日本一を決める残り45分がスタート。
後半は左エンドに変わった名古屋のボールで試合再開。

1分、小川のシュートがこぼれたところを玉田が拾って押し込もうとしたが、これはDFにクリアされてしまう。
2分、セットプレーから中央でパスを受けたガンバ・橋本のシュートはポスト左。
4分、左を上がる小川からのクロス。これを中央で合わせたケネディのヘディングシュートは、ポストの僅かに右へ。
7分、右に上がったガンバ・加地のクロスがこぼれたところを遠藤が狙ってくるが、ここはDF陣が体を張った守備を見せて、このピンチを逃れる。
9分、左からゴール前へと入ったボールをルーカスが拾いに来るが、体を入れた吉田がファウルを受け、マイボールに。
12分、右から田中の入れたボールをケネディが落としたところへ、玉田が体をDFの間へと入れてシュートを狙ったが、ガンバDFの厳しいチェックに打たせて貰えず。
14分、右から山崎が持ち込んでシュートを狙おうとしてくるが、吉田、マギヌンが厳しい守備を見せて、相手のファウルを誘った。
15分、右の加地が入れたクロスがこぼれたところを、逆サイドで狙った遠藤のシュートは田中が正面で跳ね返す。

16分、ゴール正面へと出たボールにルーカスが抜け出してくるが、これは楢崎が落ち着いて押さえる。
17分、左に抜け出したマギヌンのマイナスのクロスにケネディが走り込むが、体を投げ出したガンバGKがボールを捕らえてしまう。
20分、右に入り込んでいったマギヌンのパスを中央で合わせたケネディだったが、ボールを前へと持ち出せず、体勢が崩れたところでDFにボールをクリアされてしまう。
21分、名古屋1人目メンバー交代:小川→ブルザノビッチ

23分、左を阿部からのロングボールに駆け上がって拾ったマギヌンだったが、中へと入れようとしたボールはDFに跳ね返ったところを体に当て、相手ボールに。
25分、ゴール正面でガンバ・二川がパスに入り込んでくるが、ここはバヤリッツァがしっかりとケアする。
ガンバ1人目メンバー交代:山崎→チョ・ジェジン

27分、ルーカスが落としたボールに、左から二川が入り混んで放ったシュートはポスト右へ。
28分、右に抜け出した中村のマイナスボールを受けた玉田がエリア内へと入り込んだところで倒されるが、これはシミュレーションとして、ファウルを逆に貰ってしまった。
30分、ケネディが競り合って落としたボールに、右へと玉田が鋭く詰めるが、ここはガンバ・安田に阻まれてしまう。

【失点】
32分、中央へと持ち込んできた遠藤の左足シュートが枠を捕らえ、再びガンバにリードを許してしまう。
33分、左を持ち上がっていったブルザノビッチが中央に入る中村にパスを送ろうとするが、これは相手DFに当たって失ってしまった。
35分、名古屋2・3人目メンバー交代:中村・吉村→巻・三都主

36分、巻の落としたボールをケネディがもう一度戻すと、エリアの外から巻がシュートを放つが、これはGKの正面を突いてしまった。
38分、右に上がっていった田中だったが、中へのフォローが遅く、強引に詰めていたケネディへとパスを送るが、これはファウルを取られてしまった。
40分、右からのCKのチャンス。三都主を巻が流し込もうとしたが、中のDFに当たって、左からのCKに。ブルザノビッチのボールは、中央でGKに跳ね返されてしまった。

【失点】
41分、カウンターから抜け出したガンバ・明神のパスを中央で受けた遠藤。その遠藤からのパスを、右に入り込んで二川に決められ、ガンバに3点目を与えてしまい、苦しい状況に。
43分、縦に入ったボールをケネディが落としたところへ詰めた巻。ワンタッチでブルザノビッチへと送ろうとしたが、ガンバDFの早い寄せにボールを奪われてしまった。
(ロスタイム表示:4分)

ロスタイム1、三都主のパスを、ブルザノビッチが縦に繋ごうとするが、これはDFに阻まれてしまった。

【失点】
ロスタイム2、右からのパスにゴール前へ入り込んだ遠藤にシュートを沈められてしまう。

前半での同点から、後半も良い入りを見せた名古屋だった。しかし、準決勝での延長戦を戦った疲れが終盤に来て大きく影響し、運動量を失った名古屋にガンバを追撃する力は残っておらず、10年振りに狙った天皇杯を手にすることは出来ず、名古屋は悔しい準優勝で試合の終了を迎える結果となってしまった。


試合終了後記者会見

100101sto.jpgまずはじめに、明けましておめでとうございます。みなさんの健康と成功を祈っております。
今日のゲーム、大きな点差での敗戦となってしましましたが、我々のスタイルを貫く事は出来たと思います。ガンバ大阪が試合を支配したと感じる方もいるかもしれませんが、私の意見としては我々グランパスが試合を支配していたと思います。得点を決める事ができれば良かったのですが、最終的にこのような結果となってしまいました。

Q.今日はサイドのマギヌン選手と中央の小川選手のポジションを入れ替えていたようですが?

今日のプランとしては、ケネディを高い位置の1トップに置き、玉田とマギヌンがサイドに張る形を取りました。そして小川を中へと持って来たのですが、中央でのボール回しに問題があったため、その後はマギヌンと小川のポジションをいろいろと変更させました。

Q.玉田選手のクロスからケネディ選手が落とし2列目の中村選手が決めた同点に追い付いたゴールが、グランパスにとって理想的な形でのゴールだったように感じますが?

あのシーンは、我々としての攻撃スタイルの1つだったと思います。開始早々に失点してしまいましたが、その後は我々としてもスペースを見つけ、ゲームをコントロールする事が出来ました。良い時間帯に追い付く事が出来たし、後半に入ってからは相手を押し込む事が出来ていました。ガンバ大阪のディフェンスに対し、我々が得点を決めるチャンスを作れていたと思います。攻撃面ではマギヌン、ケネディ、そして他の選手へとボールを繋ぎチャンスを作りました。結果的に得点を決める事は出来なかったのですが、逆転するチャンスもあったと思います。もちろんガンバ大阪は優れたチームですし、そこからカウンターを狙われ2点、3点と相手に与えてしまいました。

Q.終盤に3失点して事についてはどうお考えでしょうか?

相手に2点目を決められた事で、我々としてはゴールを決める必要があり攻撃的な選手を投入しました。これは論理的な事だと思います。さらに1点を与えてからは状況が難しくなりましたが、リスクを冒してでも点を足らなくては負けてしまいます。失点は、そのための結果だと思います。

Q.来季のAFCチャンピオンズリーグ出場権を逃す結果となってしまいましたが?

今日は天皇杯という大会に集中していましたし、そこまでは考えていませんでした。もちろん今年のACLには出場出来ませんが、それも人生だと思います。これからトレーニングを通して続けなければいけない事が沢山あります。
昨年から続けて来た事でこの大会の決勝まで来る事ができたのですが、選手の精神力、強いキャラクターを誇りに思います。グランパスとして将来的に頑張れれば良いと思います。

Q.理想的なサッカーをしながら結果を出せなかった。この結果を踏まえ来季は何が必要だとお考えでしょうか?

今後は、決定力を高める必要があります。ゲームを支配することは出来るようになっていますし、最後の部分を伸ばす必要があると思います。 今日の試合、勝つ為に我々としてベストを尽くしました。先にも話しましたが私は選手を誇りに思っています。昨年からここまで、選手達はハードワークをこなしてくれました。まだまだ伸びる部分も今日は見せてくれましたし、そういう部分で期待をしています。