第89回天皇杯全日本サッカー選手権大会4回戦:名古屋グランパスvsジュビロ磐田

最終更新日時

2009/11/16 13:52

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名古屋市瑞穂陸上競技場 11/15(日) 15:01キックオフ

試合前

薄い雲が広がり、ひんやりとした空気が漂う午後2時20分、グランパスのフィールドプレーヤがウォーミングアップのためピッチに姿を現すと、「再びアジアへ」の横断幕を掲げるサポーターから拍手が沸き起こる。

今日のグランパスは日本代表として南アフリカへ遠征している玉田、さらに腰痛のケネディ、右大腿二頭筋を痛めたマギヌンと、これまでレギュラーを勤めてきた攻撃陣を欠くメンバーとなる。それでも、来期のAFCチャンピオンズリーグへの出場権がかかった今大会への選手達のモチベーションは高い。

前回10月25日に豊田スタジアムで行われたジュビロ磐田とのリーグ戦では序盤、高校生以来のセンターバックで戦った巻だが、今日はケネディに代わってセンターフォワードでの起用が予想される。もちろん高さと強さを活かした前線でのポストプレーも担う事になるだろうが、ストイコビッチ監督が「チーム1のファイター」と評するゴール前でのフィニッシュに期待したい。昨年のナビスコカップ神戸戦や浦和戦のように、カップ戦での相性は良く、この天皇杯でも勝利に繋がるゴールを決めてくれるのではないだろうか。

前回のリーグ戦では0-3の状況から追い付き引き分けで終えた同カードだが、もちろんノックアウト方式のトーナメント大会では、相手よりも多くのゴールが必要となる。先週行われた神戸との対戦でフォワードとして出場し決勝ゴールを決めたブルザノビッチも、玉田不在のグランパスにとって大きな存在となるはずだ。

ハーフコートをフルに使いしっかりとウォーミングアップを行った選手達は、午後2時45分、これから行われる一戦に備えロッカールームへと姿を消した。

前半

試合前、スタジアムを覆った一瞬の静寂のあと、両チームのサポーターによるアンセム、声援が響き渡る中、選手達がピッチへと姿を現す。

今日のグランパス、ゴールキーパーに西村。ディフェンスラインは右から田中、吉田、増川、阿部の4人。中盤は中村、吉村、三都主、小川の4人が並び、巻とブルザノビッチの2トップによる4-4-2の布陣で臨む。

前半、メインスタンドから向かって左にエンドを取ったグランパスのボールでキックオフ。

開始早々、小川とのワンツーパスで左サイドを上がった阿部がゴールライン際で倒されるが、ここはファールを取ってもらえず。
1分、右サイドに開いた巻からのパスを受けた吉村が高い位置まで上がりクロスを上げるが、相手ディフェンスに当たってコーナーキックに。これを右から三都主が蹴るが、磐田ゴール前へのボールは弾き出されてしまう。
3分、磐田・右からのクロスをオール前に上がった岡田にヘディングで合わされるが、これは西村がしっかりとキャッチ。

【失点】
5分、自陣でのボールを奪われたグランパス。磐田・右サイドをからのクロスは一旦中央でこぼれるが、そのボールに詰めたカレンに決められ、早い時間に先制ゴールを許してしまう。
6分、中盤からのパスに小川が左から相手エリア内へ抜けるが、飛び出したキーパーにクリアされてしまう。
8分、中央の吉村から左でパスを受けた小川。一旦ボールをコントロールしゴール前の巻へクロスを狙うが、相手ディフェンスと競り合った巻がファールを取られてしまう。
9分、三都主からの縦パスに田中が走り、さらにこぼれたボールをブルザノビッチが狙うが、相手ディフェンスが1歩早く、ボールはクリアされる。
11分、磐田・右サイド西からのクロスはゴール前の増川が頭でクリアする。
12分、西村からのゴールキック。縦へ抜け出したブルザノビッチが相手ゴールライン際から上がってくる田中へパスを戻すが、僅かに合わずクリアされてしまう。
13分、ディフェンスラインで吉田が磐田・カレンにボールを奪われると、そのままエリア内まで持ち込みシュートを打たれるが、西村が反応しクリア。危ないシーンだった。

開始早々の失点を許した。それ以外でも、ディフェスラインでのパス回しを狙われ何度か危ないシーンがあり、集中して戦いたい。

15分、中央のブルザノビッチから右への大きなパスを受けた田中。そのままドリブルで持ち上がり、中への折り返しをブルザノビッチがヘディングで狙うが、間に入った相手ディフェンスに頭でクリアされてしまう。
16分、自陣左・阿部からのロングパスに巻が反応。磐田ディフェンスラインの裏へ抜け出したところを磐田・金沢に倒される。このプレーに得点機会阻止としてレッドカードが出され、磐田・金沢は退場となった。
18分、巻が倒されて得たフリーキック、ゴール正面約25mの位置から三都主が左足でカーブをかけ直接狙うが、これは枠を捉える事が出来なかった。
20分、ハーフラインを超えた位置で小川が倒されフリーキック。そこから細かく繋ぎ、三都主のゴール前へのクロスは跳ね返される。さらに跳ね返りを阿部がダイレクトで狙うが、これは枠を大きく超える。
21分、中央でのキックフェイントで相手選手を交わしたブルザノビッチ。そこから右サイドをフリーで上がる田中へとボールが渡り、多いな切り返しから左足でシュートを放つが、これは磐田・八田がクリア。
23分、三都主とのパス交換でボールを持った吉村。そこから前を向き、左を駆け上がる小川の前へパスを狙うが、磐田ディフェンスにクリアされてしまう。
25分、吉村からのパスを左で受けた小川。そのままドリブルで中へと仕掛け右足でゴール前へクロスを上げるが、このボールは高くそのまま相手ゴール前を飛び越えてしまう。
27分、阿部とのワンツーで左サイドを崩した小川から、ゴール前へのクロスに巻が飛び込むが、僅かに合わせる事が出来ず、ボールはゴールラインを割る。
29分、磐田ディフェンスラインのボール回しに対し中村がインターセプトを狙うが、相手選手と交錯しファールを取られてしまう。

退場者を出し1人少ない磐田に対し、高いボールポゼッションを見せ始めたグランパスだが、ここまで決定的な場面はあまり作る事が出来ていない。

31分、右サイドを上がった中村から反対のブルザノビッチへ大きなパスを狙うが、相手ディフェンスにクリアされる。
32分、中央へドリブルで持ち込んだ。さらに左の小川へとボールが渡り、ドリブルの仕掛けから左足でゴール前へ低く速いクロスが上げられる。このボールに巻が右足で飛び込むが、僅かに届かずボールはラインを割ってしまう。
34分、左サイドを上がった阿部からのアーリークロス。これにゴール前ファーサイドの巻がヘディングで合わせるが、山なりとなったシュートは相手キーパーにキャッチされてしまう。
35分、左サイドをドリブル突破した阿部。そこから戻したボールを受けた三都主がゴール前へ上げると、巻がヘディングでシュートを放つ。枠を捉えたボールだったが、磐田キーパーにクリアされてしまう。
36分、名古屋コーナーキックからボールを繋ぎ、今度はゴール前中央の小川が右足でボレーシュート放つが、これも磐田キーパーに弾き出されてしまう。
38分、中央でボールを持つ三都主から左サイドの小川へ。さらに中のブルザノビッチへダイレクトでパスを狙うが、ここはタイミングが合わずクリアされてしまう。
39分、前線でボールもつブルザノビッチから中央を上がる吉村へ。そのボールを吉村がミドルで狙うが、これは枠の上へと外れてしまう。
41分、中央の三都主から、相手ディフェンスの虚をつく形で巻への縦パスを狙うが、タイミングが合わずクリアされてしまう。

【得点】
42分、吉田が倒されて得たフリーキック。素早いリスタートで左の阿部へ繋ぐと、ブルザノビッチとのワンツーパスでさらに阿部が深くえぐり、中央へクロス。このボールにファーサイドを駆け上がった吉村がドンピシャのタイミングでのヘディングで飛び込み、ついに磐田のゴールネットを揺らす。
44分、カウンターから右を上がった田中。さらに中央へと走り込む小川へパスを繋ぎ、ミドルシュートを狙うが、これは枠の左へ逸れてしまう。
(ロスタイム表示:2分)

ロスタイム1、吉田からのロングボールを受けた小川。さらにブルザノビッチへと繋ぎドリブルで一気に仕掛けるが、上手くスライディングをした磐田ディフェンダーにボールをクリアされてしまう。
ロスタイム2、磐田・右サイドから名古屋ゴール前へのクロスは、吉田が頭でクリア。さらに左からのコーナーキックはキーパーの西村がクリアした所で前半終了。

開始早々の失点、さらにディフェンスラインでのミスから苦しい立ち上がりとなったグランパスだが、退場者を出した磐田に対し前半のうちに同点へと追い付く事が出来た。このまま後半も勢いを保ち、逆転ゴールを決めて欲しい。

後半

前半を1-1で折り返した名古屋。エンドを変え後半、磐田ボールでキックオフ。
両チームとも、ハーフタイムでのメンバー交代は無し。

1分、右サイド田中からのパスを受けた吉村。ゴール前へ強いボールでアーリークロスを狙うが、磐田キーパーにキャッチされてしまう。
2分、磐田ゴール前左寄り、28m程度の位置でブルザノビッチが倒されフリーキックを得る。これを三都主が右へとそらし、田中がミドルシュートを狙うが、相手ディフェンスに当たる。さらにこのボールが小川に当たり磐田ゴールへと飛ぶが、相手キーパーにキャッチされる。
3分、磐田左サイドからの大きなサイドチェンジ。これに磐田・西が抜け出すが、ボールはそのままゴールラインを割る。
4分、名古屋左サイドゴールライン付近で三都主が相手選手と交錯し、フリーキックを与える。
5分、磐田・右からのフリーキック。これを磐田・船谷が左足で名古屋ゴール前へと上げるが、誰も触る事が出来ずボールはゴールラインを割る。

【得点】
6分、右から大きなサイドチェンジでボールを受けた小川。ドリブルで仕掛け、コーナーキックを得る。左から小川が蹴ったボールに、コーナーキックで前線へ上がった吉田が中央から豪快に飛び込み、ヘディングで名古屋サポーターの目の前のゴールネットを揺らし、逆転ゴールを決める。
9分、エリア内でクロスを受けたブルザノビッチ。このボールを横へと流し、三都主が左足で狙うが、このシュートは相手キーパーの正面を突いてしまう。
11分、磐田陣内で細かくパスを回す名古屋。ハーフラインを超え、持ち上がった増川が、左サイド高い位置にポジションをとる阿部の前へスルーパスを狙うが、ここはオフサイドを取られてしまう。
13分、三都主からの縦パスを受けた小川。振り向きざまにドリブルで仕掛けるが、相手ディフェンスと交錯し、ボールを奪われてしまう。
14分、中村からのスルーパスで右サイドを大きくえぐった田中。そこから中央への折り返しに小川が合わせるが、このシュートは力が無く、枠を外してしまう。
磐田1人目交代:岡田→鈴木

後半の早い段階で逆転ゴールを決めた名古屋。1人少ない磐田に対し、ここから守備に回る事無く、追加点を狙って欲しい。

16分、中盤でのパス回しから、吉村が左足でミドルシュートを狙うが、これは枠の右へと外れる。
17分、ゴール前中央・ブルザノビッチからのパスを受けた阿部が、左から中央へクロスを上げる。このボールに巻が頭で飛び込むが、豪快なシュートは枠の上へと外れる。
19分、キーパー西村からのロングボールを巻が競るが、ファールの判定に。
20分、相手陣内でボールを奪ったブルザノビッチ。さらに右を上がる中村へと繋ぎゴール前へクロスを上げるが、相手ディフェンスにクリアされてしまう。
21分、名古屋1人目交代:中村→杉本
負けたら終わりのトーナメント大会。同点・逆転ゴールを狙い前掛かりになり始めた磐田に対し、そのラインの裏を狙えるスピードのある杉本がこの時間帯に投入された。

23分、磐田・鈴木からのアーリクロスは、西村がしっかりとキャッチ。
24分、自陣での吉田からのパスを右サイドで受けた杉本。そのままスピードに乗ったドリブルで一気に上がると、ゴール前の巻へクロスを上げる。このボールにしっかり合わせた巻がヘディングでシュートを放つが、これは僅かに枠の左へと逸れてしまう。
25分、またも右サイドから仕掛けた杉本がコーナーキックを得る。これを三都主が左足でゴール前へ上げるが、エリア内の混戦でファールを取られてしまう。
27分、小川とのワンツーパスで左サイドを崩した阿部がシュートを打つが、これは枠の右へと外れてしまう。
29分、中盤へ下がってボールを受けたブルザノビッチが、右サイドを上がる田中へ大きなパスを狙うが、ここはオフサイドの判定に。
名古屋2人目交代:三都主→山口
磐田2人目交代:成岡→松浦

依然として2-1のスコアで試合が進む。名古屋としては試合を楽に進める為にも追加点が欲しい時間帯だ。

31分、左サイドを上がった阿部からのクロスにゴール前で小川、巻の2人が飛び込むが、相手ディフェンスと交錯しボールはラインを割る。
32分、磐田・中盤でのパス回しに吉村が激しいプレスをかけるが、相手選手を倒してしまいファールを取られる。
34分、中盤でボール受けたブルザノビッチがそのままドリブルで仕掛けるが、ペナルティエリア手前でボールを奪われる。
35分、相手陣内でボールをカットした杉本。そのままスピードのあるドリブルで右サイドを切り裂くと、中央へ低いクロスを狙う。しかし、このボール巻が追い付く事が出来ず相手ボールとなる。
36分、名古屋3人目交代:巻→バヤリッツァ
残り10分を切った所でストイコビッチ監督は田中、阿部の両サイドバックを高い位置へと上げた3バックへと変更。

【得点】
38分、左サイド阿部からのパスに、外側をディフェンダーの増川が一気に駆け上がると、そこから中央へクロス。このボールに逆サイドから杉本が走り込み、右足アウトサイドで合わせゴールネットを揺らす。
40分、磐田3人目交代:西→上田

42分、阿部からのスルーパスに小川が左サイドを抜け出すが、ドリブルでの仕掛けが相手ディフェンスに対応されボールを奪われる。
43分、中央でボールを持った小川から左サイドを上がる杉本の前へスルーパスを狙うが、ボールが弱く相手ディフェンスにクリアされる。
44分、またも小川からの縦パスに杉本がディレンスラインの裏を狙うが、ここはオフサイドの判定に。
(ロスタイム表示:4分)

ロスタイム1、小川からのパスを受けた杉本が左サイドから磐田エリア内へ仕掛けるが、戻った磐田・鈴木にボールをクリアされてしまう。
ロスタイム3、左サイドの小川、中央のブルザノビッチと繋いだボールから、エリア内へ侵入した田中が中央へ低く速いクロスを送るが、このボールには誰も触る事が出来ずラインを割ってしまう。
ロスタイム4、磐田・右サイドからドリブルで仕掛けられるが、阿部がスライディングでボールをクリア。このコーナーキックを名古屋が跳ね返し、再度ゴール前へ上げられたボールはそのままラインを割る。

そしてここで試合終了。

立ち上がりの失点で苦しい展開となったグランパスだが、退場者を出した磐田に対しポゼッションを高め、サイドからの攻撃に徹底し、終わってみれば3-1での逆転勝利で12月に行われる天皇杯・準々決勝への進出を決めた。


試合終了後記者会見

091115_sto.jpg今日の最大の目標は試合に勝ち、次のステージへ進む事でした。それに値する試合をしたと思います。

Q.前回の神戸戦に続き相手に退場者が出ましたが、今日は数的優位を上手く使えていたように思います。何か特別な指示をされたのでしょうか?

今日はチームとして、インテリジェントなサッカーを見せられたと思います。全体的に数的有利な状況を作り、味方がサポートする形で戦えたと思います。10人の相手に対してどう戦うべきかを見せる事ができたと思います。特に後半は、インテリジェントなサッカーが出来ていたと思います。

Q.杉本選手が素晴らしいゴールを決めましたが?

おそらく、ミスキックでしょう(笑)。それにしても素晴らしいゴールでした。
あのゴールシーンでは、増川がサイドを大きく上がりゴールに繋がるボールを供給できるという、私にとって新しい発見もありました。そして杉本が相手ペナルティボックスへ侵入し、素晴らしいゴールを決めてくれました。彼にとっても良いプレーでしたし、自信に繋がると思います。本当にあのゴールには満足していますし、杉本のメンタル面での強さを見せてくれた事も嬉しく思います。

Q.玉田選手、ケネディ選手の2人を欠いての戦いでしたが、今日の攻撃を評価して下さい。

今日の攻撃陣は素晴らしかったと思います。巻には不運な場面も有りましたが、チャンスを作っていましたし、素晴らしい働きを見せてくれました。玉田、ケネディの2人が不在の中でブルザノビッチと2トップのコンビを組んだのですが、コンビネーションの面でも良かったと思います。戦術的にやるべき事を実行し、頭を使ったプレーを見せてくれました。
今日の試合で3点獲った、これで充分だと思います。