試合前
午後2時20分、細かな雨がピッチを濡らす中へ、名古屋の選手が小走りで駆け込んでくる。雨のためポンチョに身を包んだサポーターで真っ赤に染まるスタンドへと大きく挨拶を送ると、選手たちは、早速、体を動かし始める。手入れがしっかりと行き届いていることもあり、瑞穂の芝生は水を含みはしているものの、コンディションは良く、力強くボールを動かす選手達のスパイクをしっかりと受け止めている。
AFCアジアチャンピオンズリーグ・アルイテハド戦では、アウェイで先制点を挙げたものの、ホームのサポーターの前でゴールを決める事が出来なかったケネディだが、今日は、アップ中から、その動きに力が入っている。常に結果が求められるFWとしてチームを元旦・国立へと導いてくれる"決勝点"を決めてくれると信じたい。
ケネディ同様、久し振りの公式戦でのゴールを決めた中村も、気持ちが入っていることが伺える。楢崎がいない今、先発ではチーム最年長だが、彼の中盤での頑張りは、チームには絶対に必要不可欠。今日も、格の違いを見せ、"ナオシ"らしい、厳しくハードなプレーで、今日もチームを盛り立ててくれるはずだ。
午後2時43分、曇り空で暗くなり、降り続く雨で濡れた地面が、早々と灯された水銀灯の光で輝く中、その雨をものともせず、しっかりとコンディションを整えた選手達は、水滴をしたたり落としながら、足早にピッチを後にした。
前半
次第に雨脚を強め始めた中へ、午後3時を前に両チームの選手達が入場。そして、大きな拍手と声援の中、天皇杯3回戦:ホンダロック戦のキックオフが告げられる。
今日の名古屋の先発メンバーは、GK西村、DFは、右から田中・吉田・増川・阿部の4人。中盤は、ボランチには、左手にキャプテンマークを付けた中村と吉村、右は小川、左にはマギヌンが入る。そして、FWはケネディと玉田の2人。4-4-2の、ベスト布陣でこの試合に臨むと言っていいだろう。
前半は、右エンド、アウェイのホンダのボールからスタートする。
1分、ホンダ・水永へと長いボールを通してくるが、ここは増川と吉田がしっかりとケア、チャンスを作らせることなくボールを奪う。
3分、中央で玉田がキープするところへと中村が寄せるが、ここは相手DFが寄せてパスをカットしてしまう。
ホンダ1人目メンバー交代:山下→原田
5分、右に上がってきたホンダ・首藤が、DFと中盤のスペースに短いパスを入れてくるが、ここは相手が入り込む前に、吉村が押さえたところを阿部がカット。
6分、左の阿部からの速めのクロスがホンダのゴール前へと入ると、小川が飛び込む。しかし、これはGKが捕らえてしまった。
7分、右タッチ際で田中が縦に速いパスを送るが、これは小川が追いつけず。
9分、田中からのパスを玉田が落としたところで、走り込んだケネディがダイレクトシュート。しかし、これは惜しくもポストの右に。
10分、中央でボールを持ったマギヌン。縦へと持ち上がりながら、ケネディへとパスを送るが、これはマークについていたDFにカットされてしまった。
12分、阿部の送った縦への長いボールに、マギヌンが駆け上がる。しかし、追い付く前にボールはゴールラインを割ってしまう。
14分、左でマギヌンが阿部のパスを受けて、反転を見せたところで後ろから倒されてしまうが、ここはファウルを認められず。
16分、自陣左深くの位置で相手FWを倒し、危険な場所でのFKを与えてしまう。ホンダ・前田が右足でゴール前へと入れてくるが、これは中央で吉田がクリア。
17分、左に抜け出したホンダ・悦田がゴール前へとグラウンダーのボールを流し込んでくるが、ここはギリギリのところで増川がカット。
18分、右にポジションを変えていたマギヌンのクロスは、DFがクリア、左からのCKに。しかし、小川の入れたボールは中央で跳ね返されてしまった。
19分、ゴール前へのクロスに、中央へと入り込んだ玉田のシュートは枠の外。
20分、左を抜け出した阿部からの鋭いクロス。これに玉田、ケネディ、そして大外にマギヌンが飛び込む。しかし、ワンタッチで合わせたマギヌンのボールは枠の右。
21分、右に上がったホンダ・前田のクロス。これを中央で合わせたホンダ・水永のヘディングシュートが枠を捕らえるが、あと僅かというところで、西村が枠の外へと弾き出し、決定的なピンチを救う。
23分、自陣深く左タッチ際の位置でのホンダのFK。ホンダ・前田のボールに合わせ、一番遠い位置にいたホンダ・澤村のヘディングシュートはポストの右。
24分、自陣からの吉田のロングボールに右を玉田が抜け出すが、これは残念ながらオフサイド。
26分、左でホンダ・悦田の落としたボールをホンダ・前田が入れてくるものの、ここは増川が高い打点で弾き出す。
27分、中村の裏へのボールに、右から田中が抜け出す。しかし、飛び出したホンダGKがボールを抑えてしまう。
28分、右からのホンダのCK。ホンダ・前田のボールは、ニアのケネディがしっかりとクリア。
29分、右に抜け出した田中が、深い位置からのマイナスのボールを入れる。これを中央に詰めたマギヌンがシュートを狙うが、ボールは左に流れてしまい、枠へと飛ばすことは出来なかった。
30分、ホンダ陣内中程右でのFKのチャンス。これをマギヌンが丁寧にゴール前へと入れるが、DFに跳ね返されてしまった。
33分、ケネディが裏へと出したボールに田中が右へと抜けだし、ゴール前へと柔らかいボールを流し込む。しかし、これは味方の足が届く前にGKが抑えてしまった。
34分、阿部からの相手DFの裏へのボールに、ケネディが抜けようとするが、GKが先に抑えてしまった。
35分、左に抜けてきたホンダ・首藤からのクロス。これに逆サイドへと入り込んだホンダ・竹井のダイレクトボレーは、右に大きく流れ出る。
38分、速いテンポで玉田からのパスを受けたマギヌン。中央へ入り込む小川にパス送るが、これは足下に収まらず。
40分、自陣右深くでのファウルでホンダにFKを与えてしまう。しかしホンダ・前田のボールはゴール前で跳ね返す。
42分、マギヌンの落としたボールを、中央でケネディが縦に送る。これを玉田が中央でワンタッチで寄せてくる小川へと繋ごうとするが、ボールが濡れたピッチに滑って流れてしまう。
44分、相手陣内中程やや左でのFKのチャンス。小川のボールがホンダゴール前でこぼれたところを、ケネディが左足でシュート。しかし、これは惜しくもGKの正面を衝いてしまった。
ロスタイム1、阿部からのスルーパスに左を小川が抜け出しを見せたが、これはオフサイドに。
ロスタイム2、右から中村のパスを受けたマギヌンが仕掛けるが、中へと上がるケネディへのパスはカットされてしまう。
そして、前半は0-0のスコアレスで終了、後半へと折り返す。
後半
ハーフタイムを終え、更に雨脚が強まりを見せ、気温が一気に下がり始める。
後半は右にエンドを変えた名古屋のボールで試合が再開。
名古屋1人目メンバー交代:ケネディ→巻
1分、玉田のDFの裏への浮き球に、代わったばかりの巻が飛び込む。しかし、これは飛び出したGKに惜しくも弾かれてしまう。
2分、左に上がる阿部にマギヌンのパスが通ると、これをすぐさまゴール前へと入れる。中央に走り込んだ玉田がこれをヘディングシュートを狙うが、ボールは惜しくもGKの正面。
3分、左を押し上がった裏へとホンダ・原田が抜け出し、1対1の場面を作られるが、相手のミスに助けられる。
5分、中央へとホンダ・水永がスルーパスに抜け出してこようとするが、増川の厳しい守備でこれを阻止。
8分、中村からの縦パスにゴールを背に受けた玉田。大きくトラップしてオーバーヘッドでのシュートを狙うが、大きく浮いてしまった。
10分、マギヌンの落としたボールを中村が左に叩くと、これを阿部が上がって拾おうとする。しかし、ボールの球足が速く、タッチを割ってしまう。
12分、阿部からの速めのクロスに、DFラインを飛び出した巻がこれを狙いに走るが、僅かに届かず。
13分、名古屋2人目メンバー交代:中村→三都主
左からのCKのチャンス。しかし、小川の入れたボールはGKのパンチングが叩き出す。
14分、相手陣内中程、ゴールやや左の絶好の位置でのFKのチャンス。これを小川が短いステップで直接狙って蹴るが、ボールに角度が無く、そのままクロスバーを越えてしまった。
16分、右でパスを受けた三都主。DFをかわして前に上がろうとするが、ここはタッチの外へと弾かれてしまった。
17分、ゴール前へのボールに合わせた吉田のシュートはGKが阻んでしまう。更に逆サイドでこぼれたところを拾った阿部からのクロス。これに合わせた増川のヘディングシュートはクロスバーを越えてしまった。
19分、裏へと抜け出して来たホンダ・水永のボールにフリーでの侵入を許すが、ここは西村が落ち着いてボールを処理。
20分、左からの阿部のクロスに巻が頭から飛び込む。しかし、ここは飛び出したGKに阻まれ、ボールに触れることは出来なかった。
22分、阿部のパスにターンしようとした小川が左深くの位置で倒され、FKのチャンスを得る。
ホンダ2人目メンバー交代:首藤→熊元
三都主のFKのボールをゴール前で巻が押し込もうとするが、体を張ったGKに跳ね返されてしまう。
【得点】
23分、中央から出たパスに、2列目から抜け出した吉村。エリアの外からシュートを放つが、相手DFに当たってコースが変わったものの、ボールはしっかりと枠を捕らえ、名古屋に待望の先制点が決まる。
25分、左からマギヌンが、得意の左ではなく右足でクロスを入れるが、中央の小川に届く前にDFが弾き出してしまう。
26分、右に上がってきたホンダ・竹井のゴール前へのクロスは、増川が弾き出す。
27分、相手ペナルティ内で縦に抜け出しながら、玉田が強引にシュートを狙う。しかし、これはDFに当たって、左からのCKに。
28分、三都主の入れたボールを増川が頭で落とす。これを巻が押し込もうとするが、体勢が崩れ、力なく飛んだボールがGKの正面を衝いてしまった。
29分、左を抜け出していった小川からの、深い位置からのグラウンダーのボールに巻が入り込む。しかし、足下にしっかりと収まらず、シュートへと持ち込めなかった。
30分、名古屋3人目メンバー交代:玉田→杉本
31分、玉田のスルーに杉本が抜け出し、左足でのシュートを放つが、これはポストの右へ。
ホンダ3人目メンバー交代:竹井→小原
32分、三都主からの、自陣からの長いスルーパスに杉本がスピードに乗って飛び出すが、これは惜しくもオフサイド。
【得点】
33分、左のスペースへと出たロングボールを杉本が追い付くと、ゴール前へとクロスを入れる。このボールにマギヌンが頭から飛び込み、最後は相手ディフェンスに当たってのオウンゴールという形で追加点を決める。
35分、ホンダ陣内左深くでのFKのチャンス。三都主のボールをゴール前での混戦で、こぼれたところを吉田が押し込もうとするが、これはGKへのファウルになってしまう。
37分、上がりながら増川がグラウンダーの縦パスを送って、杉本を走らせようとしたが、これは球足が速すぎ、タッチを割ってしまう。
39分、自陣左中程でのホンダのFK。ホンダ・前田の長いボールは、吉村が頭で思い切り叩き出した。
40分、ここでマギヌンが、相手選手との交錯でピッチに足を取られて転倒、ピッチを離れ、名古屋は10人に。しかし、すでに交代枠を使い切ったストイコビッチ監督は2点を守りきる策に。
42分、ゴール前へのボールを中央で落としたところへと詰めたホンダ・原田の左足シュートはポストの左。
44分、右に上がってきたホンダ・前田のクロスを頭で合わせた原田のボールはポストの左。
(ロスタイム表示:4分)
ロスタイム1、右に上がってきた田中が相手パスをカット、そのままするするとペナルティエリア内へと侵入。しかし、ゴールライン際、深い位置でのマイナスのパスはDFに弾かれてしまった。
ロスタイム2、中央でこぼれ球を拾った巻からの縦パスに小川が走るが、ここはDFに奪われてしまう。
そして強い雨という難しいコンディションの中、10人での戦いを見せた名古屋だったが、ホンダの反撃をしっかりと抑えきり、2-0のまま天皇杯3回戦を勝利して、試合終了を迎えた。
次は11月15日、天皇杯4回戦の相手は、宿敵・磐田だ。
試合終了後記者会見
今日はとても難しいゲームでした。もちろんこれは予想していた事ですが、天皇杯やカップ戦ではこういう難しいゲームになるものです。出場するどのチームも高いモチベーションを持って戦っています。我々にとって重要な事は、次のステージへ進むという今日のゲームの目的を達成した事です。
昨日の結果を見てもJ1クラブが4つ敗退しました。その事実を含め、今日の我々の結果には満足しています。
天皇杯にはAFCチャンピオンズリーグへの出場権もかかっていますが、やはりあの舞台へ戻りたいという気持ちは強いのでしょうか?
今日の試合前ミーティングでも話したのですが、この天皇杯の目標は試合に集中して勝ち、次のステージへ進む事です。もちろん来シーズンのAFCチャンピオンズリーグには出場したいと思っています。それでも簡単なゲームはありませんし、1試合1試合が違った展開となります。その中で新しい物語のページを作りたいと思います。そして国立での決勝戦まで勝ち進めば、もちろん優勝したいと思っています。
昨シーズンのヤマザキナビスコカップ、そして今シーズンのAFCチャンピオンズリーグともに準決勝で敗退してしまっていますが、今回は必ず決勝まで進みたいと思います。
今日のゲーム、本当に簡単なゲームではありませんでした。対戦相手のホンダロックは守備に回れば全員が戻り、スペースがあまり無い状況でした。それでも私は選手を信じていましたし、1つのゴールを決めれば全てが変わると理解していました。そして、最後まで諦めず戦った事でこういう結果になったと思っています。
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