試合前
午後2時15分過ぎ、名古屋のGK陣2名、長谷川と西村がピッチへと登場。名古屋のサポーターが陣取るスタンドへ丁寧に挨拶を交わすと、それまで少し照れ笑いが浮かんでいた長谷川の表情が一気に引き締まった。リーグ戦初となる先発出場でゴールマウスを守るだけに、気合い充分だと言えるだろう。
そして10分程遅れて、他の選手たちが登場すると、名古屋、磐田両サポーターの派手な応援がスタジアムに渦巻く。シーズン途中の加入ながらここまでリーグ5得点と決定力の高さを見せつけてくれているケネディ。豪州代表としては日本を苦しめてきたが、今日は、これまでこのスタジアムで勝ち星のない名古屋の勝利のために、磐田DF陣を粉砕し、勝利のゴールで磐田のゴールネットを揺らして欲しい。
ここへ来て、DFとは思えぬ得点力を見せているDF吉田。アルイテハド戦終了間際の連続失点が大いに悔いが残ってるはずだけに、今日はその表情は真剣そのものだ。増川・バヤリッツァの欠場でDF陣の駒が足りない今こそ、若さを発揮し、代表候補の磐田・前田を抑え込み、チームの勝利に向け、試合終了の笛が鳴るまで、チームメイトを最終ラインから鼓舞して欲しい。
午後2時47分、名古屋サポーターの熱い視線を受け、気合いをみなぎらせた選手たちは、気持ちのこもった表情を見せて、ロッカールームへと消えていった。
前半
明け方からの曇り空のため、気温があまり上がらない日中となったが、午後3時のキックオフに向け、盛り上がる両チームサポーターで豊田スタジアムは熱気があふれている。
今日の名古屋の先発メンバーは、今シーズン、GKはリーグ戦初となる長谷川、DFは、右から田中・巻・吉田、そして阿部の4人。中盤は、右に玉田、左はマギヌン、ボランチの位置には、吉村と三都主が並び、FWはケネディとブルザノビッチが組む、4-4-2の布陣でスタート。
前半は左エンドの名古屋のキックオフで試合開始。
1分、左を阿部が磐田・駒野をかわして仕掛けようとするが、ここは体を入れられてしまう。
2分、右に磐田・イグノがロングボールに抜け出そうとしてくるが、阿部がマークを逃さず、ファウルを誘った。
3分、左から磐田・犬塚が縦へと突破を見せるが、田中、三都主としっかりと挟み込むと、ルーズになったところを巻がカット。
5分、左から磐田・前田が上がりを見せるが、ここは田中がしっかりとボールへとスライディング、ミスを誘った。
7分、下がってパスを受けたマギヌンのボールを吉村が鋭く縦に送ると、これにブルザノビッチが反応、1対1のチャンスかと思われたが、惜しくもオフサイドに。
8分、磐田・岡田からのスルーパスに左を西が抜け出してくるが、これはタイミングが遅れ、ボールはそのままゴールラインの外。
9分、磐田陣内中央でのFKのチャンス。しかし、ここは急がずボールを落ち着かせるため、三都主がDFに送った。
10分、左を磐田・犬塚が出てこようとするが、玉田が厳しいディフェンスを見せて阻止。
11分、吉村からのロングパスを左に開いて受けた玉田。鋭いボールをゴール前へと流し込むと、これにケネディが飛び込むが、伸ばした長い右足の僅かに先を抜けてしまう。
12分、中央をケネディが抜け出し、1対1の場面。しかし、丁寧に抑えて打ったシュートは飛び込んできた磐田GKの正面を衝いてしまい、この惜しい先制のチャンスを逃す。
14分、左をブルザノビッチのパスを受けたマギヌンが攻め上がると、ゴール前で待つケネディへとクロスボールを入れる。しかし、これはあと僅かのところで磐田DFの頭がカットしてしまった。
16分、右に上がってきた磐田・成岡のマイナスのパスは、戻っていた三都主がインターセプト。
17分、左で磐田・村井にパスミスを奪われると、ゴール前へとクロスを入れられてしまう。遠いサイドで飛び込んだ磐田・前田のヘディングシュートはポストの右。
18分、右に抜け出したブルザノビッチから丁寧なクロスボール。これを中央でケネディがヘディングシュートを放つが、ここはDFが体をしっかりと寄せていたため、下に叩き付けられず、ゴールを越えてしまう。
20分、右でイ・グノからのパスを受けた西が中へと持ち込もうとしてくるが、マッチアップの阿部がしっかりとこれを抑え、相手のミスを誘った。
21分、右から強引な突破を見せたイ・グノだったが、巻をかわしたところでボールがゴールラインを割る。
23分、左で磐田・村井に横パスをカットされると、これをゴール前に流し込み、磐田・前田に走り込ませるが、ここは長谷川が飛び出してボールをガッチリと押さえ込む。
25分、磐田陣内深く左寄りの好位置でのFKのチャンス。ブルザノビッチがゴールを直接狙うが、壁の選手に弾かれてしまう。浮いたところを上がっていた巻が押し込もうとしたが、先にボールに寄せたDFがクリアしてしまった。
26分、右からドリブルを仕掛けたマギヌン。エリア内へと入り込んだところで右足のシュートを放つが、磐田GKに当たって右に流れてしまった。
29分、左に開いて三都主からのパスを受けたブルザノビッチだったが、これはオフサイドを取られてしまう。
30分、自陣右深くでの磐田のFK。磐田・村井が左足で鋭くゴール前を狙って蹴り入れてくるが、ニアで守っていた吉村の頭が大きくこれを跳ね返していった。
【失点】
31分、右抜け出した磐田・前田に角度の無いところからのシュートを許すと、これが巻の足とGK長谷川の体の間を抜け、ゴール左に決まってしまう。
32分、中央で玉田が絶妙のタイミングでスルーパス。これにケネディが裏へと抜け出すが、僅かのところで右足で合わせようとしたところに磐田GKが滑り込んで抑えてしまった。
35分、長谷川からのゴールキックのセカンドボールを磐田・西が持ち上がろうとするが、ここは阿部が厳しいファウルを見せて阻止。
36分、右からマギヌンの裏へのパスに抜け出した田中。加速を見せてエリア内へと侵入すると、深くの位置でマイナスのボールを中央へと入り込む玉田を狙って流し込もうとするが、惜しくもGKの足に弾かれてしまう。
38分、吉田がイ・グノにかわされ、1対1で抜け出されてしまうが、ここは落ち着きを見せ、上手くボールに触ってピンチを逃れる。
【失点】
39分、中央でボールを持って前を向いた磐田・前田へと味方がプレッシャーを掛けるのが遅れ、ミドルシュートを許してしまう。これがゴールを捕らえ、磐田に2失点目を喫してしまった。
41分、中央をドリブルで抜け出したブルザノビッチ。飛び出そうとしている磐田GKをかわそうとするが、ギリギリのタイミングで放ったシュートは正面を衝いてしまった。
43分、右に流れ出たマギヌンがゴール前を狙ってクロスを入れるが、これはDFに簡単に跳ね返されてしまった。
44分、左の阿部の入れたクロスが走り込む玉田の前にこぼれ出ると、左足で押し込もうとしたが、これは磐田GKに当たって弾かれてしまう。
(ロスタイム表示:2分)
ロスタイム1、ブルザノビッチが左でフリーでボールを持つと、中へと上がるケネディに預けようとするが、これは戻った磐田DFの足に弾かれてしまった。
そして、前半で2点を磐田に挙げられて後半へと向かう苦しい展開に。
後半
エンド入れ替わり、後半は左にエンドを替えた磐田のボールで試合再開。
両チーム共にメンバー交代無し。
1分、右に抜け出した磐田・駒野のクロスを中央でイ・グノに頭で合わされるが、これは左へとボールが流れ出て行く。
2分、右の磐田・駒野からのクロス。中央で磐田・前田にドンピシャリのタイミングでヘディングシュートを許すが、これは長谷川が正面で体を張って止める。
【失点】
3分、左を持ち上がったイ・グノからのクロスを長谷川が外へと弾く。しかし、こぼれたところを拾った磐田・西がクロスを入れる。これを中央で磐田・前田にヘディングシュートを決められてしまい、3点目を磐田に与えてしまう。
5分、右からのマギヌンのクロスにケネディが走り込むが、しっかりとマークについたDFを振り切れず、相手GKの下へ。
6分、左からのCKのチャンス。しかし、三都主の蹴ったボールは、大きく逆サイドへと抜け出てしまった。
7分、右タッチ際でマギヌンと田中が、早いテンポでパスを繋いで抜け出していこうとするが、相手のプレッシャーでボールをタッチの外へと出してしまった。
9分、右をドリブルで持ち上がったマギヌンのクロスをケネディが狙うが、これは頭上を抜けてしまった。
10分、左深くで三都主が渡したパスを、ブルザノビッチがエリアの外からシュート。しかし、僅かに右に流れ、ポストの外へと出てしまう。
12分、磐田1人目メンバー交代:犬塚→大井
14分、阿部からの裏へのパスにマギヌンが抜け出すが、これは追いつけず。
【得点】
15分、磐田ゴール前、ケネディの前へと入った磐田・大井に当たったボールがそのままゴールネットを揺らし、思わぬ形で名古屋に得点が決まる。
17分、磐田・西からの長いスルーパスにイ・グノが中央へと抜け出しを見せるが、ここは長谷川が先にボールに追い付き、押さえ込む。
18分、左へと持ち込んでいったマギヌンのマイナスのボールをブルザノビッチがしっかりとキープ、更に中へと流し込むと、これを玉田、三都主が狙う。しかし、ボールが落ち着かず、最後は大きく弾んだところをGKに押さえられてしまった。
名古屋1人目メンバー交代:田中→小川
19分、名古屋2人目メンバー交代:マギヌン→杉本
20分、右からのCKのチャンス。三都主の左足からのボールを中央でケネディが合わせるが、このヘディングシュートは磐田GKの正面を衝いてしまった。
21分、磐田2人目メンバー交代:西→松浦
右からのCKのチャンス。しかし、三都主のボールに合わせた吉田のヘディングシュートは大きく枠の外。
23分、右に上がってきた磐田・松浦のパス受けたイ・グノがシュートに来るが、ここはDFが体を入れて弾き返す。
24分、左に開いていった杉本からのクロスは大きくなってしまい、小川が追いかけるが、逆サイドのタッチの外へ
26分、名古屋3人目メンバー交代:吉村→竹内
ここで巻を前線へと上げ、超攻撃的布陣を取る、ストイコビッチ監督に代わって指揮を執るジュロヴスキーコーチ。
27分、磐田陣内中程やや右で、玉田が後ろから倒され、FKのチャンスを得る。 これを玉田が右隅を狙って直接蹴るが、惜しくもGKに正面で捕らえられてしまう。
29分、右タッチ際を磐田・駒野が上がってくるが、ここは吉田が厳しいスライディングを見せて止める。
【得点】
30分、右に上がる小川からの鋭いクロス。これを中央に走り込んだケネディが頭で叩き込み、見事、磐田を1点差に追い上げるゴールを決める。
31分、右に抜け出した磐田・松浦のパスにイ・グノが入り込んでくるが、ここは阿部と吉田が集中した守備を見せてボールを奪い取る。
33分、エリア内でドリブルを見せた玉田を、磐田・大井が後ろから倒し、これでPKのチャンスを得る。
【得点】
34分、このチャンスを玉田が自ら蹴る。落ち着いて枠に叩き込み、ついに名古屋は逃げ切ろうとした磐田を捕らえ、3-3の同点として試合を振り出しに引き戻す。
36分、左を強引に突破した阿部からのクロスは、中央でDFがカットしてしまった。
37分、右から強引に入ってきた磐田・松浦へとパスを通されると、これを角度の無い位置からシュートに来るが、ボールはポストの左へ外れる。
38分、左でルーズボールを拾ったケネディがそのまま持ち上がってゴール前へと入れる。しかし、これは逆サイドへと入り込む巻の頭上を抜け出てしまった。
39分、磐田3人目メンバー交代:成岡→上田
40分、右からの磐田のCKは落ち着いてゴール前で跳ね返す。
41分、ブルザノビッチからのパスを中央で受け、反転を見せた玉田が倒されるが、これはファウルを貰えず。
42分、右からの磐田のCK。上田の左足からのボールは、守備についていたケネディが弾き出す。
43分、左のケネディからのゴール前へのクロス。これをブルザノビッチが頭で叩き込んだかと思われたが、ハンドの判定になり、この日2枚目のイエローカードで退場を受けてしまう。
44分、右からドリブルで入り込んでいった三都主。左へと流れながらシュートを放つと、枠を捕らえたかと思われたが、ボールはクロスバーを叩いてしまい、外へと弾き出されてしまう。
(ロスタイム表示:5分)
ロスタイム1、右に上がった松浦のゴール前へのボールは、吉田が蹴り出す。
ロスタイム2、右に下がってボールを持った磐田・前田からのクロス。逆サイドから磐田・村井が入り込んでくるが、ここは竹内がしっかりと体を寄せ、ミスを誘った。
ロスタイム3、磐田の左からのCK。磐田・上田の正面で巻が弾くが、こぼれを繋がれると、正面からのシュートを許す。しかし、ここは味方に当たって浮いたところを、長谷川が正面で捕らえた。
ロスタイム4、右に小川が開いて持ち上がるが、磐田DFをかわしきれず、ゴール前へとクロスを入れる前にボールを奪われてしまった。
そして、最後は10人になりながらも、勝ち越しのゴールを奪おうとハードワークを見せ、正に死力を尽くして磐田を攻め続けた名古屋だったが、もう1点を奪うことは出来ず、3-3の同点で試合終了の笛を聞くこととなった。
しかし、最後まで諦めることなく戦い続けた名古屋の選手たちには、サポーターから激励の声援、暖かい拍手が送られた。
試合終了後記者会見
【ジュロヴスキー・コーチ】
今日はとてもエキサイティングなゲームでした。サポーターの方も楽しまれたのではないかと思います。これだからサッカーが愛される、という理由もわかったのではないでしょうか。前半を0-2で折り返しましたが、後半、グランパスの強いメンタルを見せられたと思います。グランパスのスタイルが後半に出せたのではないでしょうか。これからも、こういう形で戦い続けたいと思います。水曜日にはリベンジのかかったAFCチャンピオンズリーグがありますが、メンタル面での強さをもって最後まで戦いたいと思います。
そしてサポーターの皆さんにも感謝しています。今日は0-3という状況になっても最後まで決して諦めず、チームをサポートして頂きました。今日の結果はグランパスからサポーターに対するプレゼントになったのではないかと思います。
巻選手をセンターバックで使った意図と、今日の評価をお聞かせ下さい。
巻はとても良いプレーを見せてくれました。先日、ストイコビッチ監督も交え3人で話していたのですが、巻は高校生まではストッパーをしていました。今日はプロとして初めてのストッパーでしたが、あのようなプレーが出来た事は素晴らしい事だと思っています。特に今のグランパスはストッパーの選手達に怪我人などが続出する苦しい状況ですが、その中で今日の様なプレーを見せてくれた事は嬉しく思います。
そして後半、1-3となった状況からは、もっと攻撃的に仕掛けるため巻をフォワードの位置へと上げました。スチコビッチ監督の、そしてグランパスの信念である「攻撃的」なサッカーをすすめるため、あの様な選択をしました。
今後も、同様の起用は考えられているのでしょうか?
確実な事は言えませんし、決定は監督がする事です。巻はヘディングが強いですし、局面でしっかり勝てる選手です。ディフェンスとしての戦術プレーを普段のトレーニングの中でも行う必要がありますが、今日は良いプレーをしてくれたと思います。
3失点してしまった反省をお聞かせ下さい。
私個人の意見としては、前半も内容は悪くありませんでした。名古屋がチャンスで決められず、逆に磐田がチャンスでしっかりゴールを決めたという結果だったと思います。もちろん、技術的なミスは失点に直結してしまいます。特に危険なエリアでのミスから失点に繋がった事は、今後修正する必要があります。
ただハーフタイムに「Never give up」の精神で後半戦うんだという話をしました。勝つ為には得点が必要だと言う話もしました。しかしながら0-3とさらに追加点を決められより難しい状況となりました。
その状況でリスクを冒して攻める必要があったのですが、1点返した時点で小川を右へ入れ巻を前線へと移しました。勝てるチャンスもありましが、同点に追い付けた事は幸運に思います。
サウジアラビアから帰国しての過密日程、もう少しフレッシュなコンディションの選手を起用する選択肢もあったかと思いますが、今日の様なメンバー構成で戦った意図をお聞かせ下さい。
今後のスケジュールを戦い抜く為に今日のメンバーを選びました。まず監督の意図として若い選手にチャンスを与えたいという事があり、ゴールキーパーで長谷川をプレーさせたのですが、素晴らしいプレーを見せてくれたと思います。
小川は先日のアウェイ・アルイテハド戦から疲れが見えたため今日はスターティングメンバーから外しました。水曜日のメンバーはまだ決まっていませんが、4点を獲るため攻撃的に戦う必要があります。その試合でも、グランパスの攻撃的なスタイルを見せたいと思います。
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