試合前
開場直後から降り始めた雨も上がった日産スタジアム。先にピッチでのウォームアップを始めたゴールキーパー陣に続き、午後6時30分、フィールドプレーヤー達がピッチへと姿を現す。すると、この日もアウェイエリアを真っ赤に染めるサポーターから力強い声援が沸き起る。
オーストラリア代表としての試合出場から15日の夜に帰国したばかりのケネディは、今日はスターティングメンバーから外れ、先日の天皇杯・沖縄かりゆしFC戦に続き、巻とブルザノビッチの2トップで臨む事となる。今日の試合から、来週水曜日にはアウェイ・サウジアラビアで行われるACLアルイテハド戦、さらにホーム豊田スタジアムでのジュビロ磐田戦等、2週間で5試合を戦うハードな日程となるが、もちろん選手達にとっても、どの試合も大切なものとなる事を理解し、試合前のウォーミングアップから熱のこもった表情を見せている。
そしてこの試合、移籍後初めて日産スタジアムでの試合を行う田中隼磨。長年所属したクラブと、そのホームスタジアムでの対戦という事で感慨深い想いはあるだろうが、しかし今はグランパスの一員として、この試合にかける想いは人一倍強いようである。
日もすっかり暮れ、肌寒さすら感じる午後6時46分、試合前のウォーミングアップを終えた選手達は、これから始まる一戦へ向けた闘志を漲らしながら、ロッカールームへと消えた。
前半
一瞬の静寂のあと、サポーターの歓声があふれる日産スタジアム。両チームの選手達がピッチへと姿を現すと、サポーターのボルテージも最高潮に達したようだ。
今日のグランパスはゴールキーパーに広野。ディフェンスラインは右から田中、竹内、吉田、阿部の4人。中盤に杉本、吉村、三都主、マギヌンが並び、巻とブルザノビッチの2トップで試合を始める。
前半、メインスタンドから向かって右にエンドを取った、白のユニフォームのグランパスボールでキックオフ。
1分、ハーフライン付近での吉田のパスをマリノスにカットされるが、吉村が対応、ボールを奪い返す。
3分、三都主からのボールを受けた阿部。自陣エリア内からロングボールを蹴るが、サイドラインを割る。
4分、中盤からのパスを受けた巻がドリブルで仕掛けると、相手ペナルティエリア手前左寄り、約30mの位置で倒されフリーキックを得る。これをブルザノビッチが右足で直接狙うが、低く強いシュートは相手の壁に当たり跳ね返されてしまう。
【得点】
5分、そのセットプレーのこぼれ球を拾った阿部が、相手ディフェンス裏へ浮き球を上げる。これに反応し、フリーで抜け出した吉田が、相手キーパーの位置を見極めて右足でのループシュートを決め、幸先よくグランパスが先制点を上げた。
7分、横浜右からのコーナーキック。ゴール前へ上がった高さのある横浜・中澤を狙ってのボールを上げるが、グランパスディフェンダーが頭でクリア。
9分、右サイドから杉本がドリブルで仕掛けるが、2人に囲まれボールを一旦後ろへ戻す。これを横浜の選手に奪われるが、竹内がファールながら相手を止め対応した。
11分、ブルザノビッチからのボールを左で受けた杉本。右足へ持ち直し、ゴール前ファーサイドの巻へクロスを狙うが、横浜ディフェンダーに頭でクリアされてしまう。
13分、左サイドでマギヌンからのボールを受けた阿部。そのままドリブルで中へと切れ込みペ、ナルティエリアへ入った所で倒される。しかし、これはファールを取ってもらえず横浜ボールに。
14分、右サイドからドリブルで仕掛けた田中。中央へのクロスは、横浜ディフェンダーにクリアされコーナーキックとなる。グランパス右からの三都主のコーナーキックはファーサイドに流れ、チャンスを活かす事が出来なかった。
前半の早い段階で幸先よく先制ゴールを決めたグランパス。もちろんここで守りに走る様な事無く、試合を楽に進められる追加点を決めたいところだ。
16分、自陣からの縦パスに抜け出したマギヌンが、横浜ペナルティエリア内で中央への速いクロスを狙う。しかし、相手ディフェンスに当たりクリアされてしまう。
18分、横浜・坂田にスピードに乗ったドリブルでディフェンスラインの裏を取られるが、それに対応した吉田が体を上手く使い、ボールを奪い返した。
19分、横浜・坂田にペナルティエリア内で竹内と競りながら反転してのシュートを打たれるが、これはクロスバーを超える。
21分、吉村から短いパスを受けたブルザノビッチ。さらにその外をオーバーラップするマギヌンへスルーパスを狙うが、相手のスライディングタックルでボールを奪われてしまう。
24分、中盤からのルーズボールが横浜ゴール前へ上がると、ブルザノビッチがこれに抜け出そうとする。これに対し横浜のディフェンスが完全に後ろから掴んだ様にも見えたが、ここはファールを取ってもらえず。
25分、中盤でボールを受けた杉本。前線のブルザノビッチへとスルーパスを狙うが、相手ディフェンスにクリアされてしまう。
27分、阿部からの縦パスを受けたブルザノビッチ。横浜ペナルティエリアへと迫り、シザースでのフェイントを仕掛けるが、ボールが上手く収まらず奪われてしまう。
29分、三都主、吉村、田中とボールを回し、右サイドを上がる。そこから一旦戻したボールを三都主がゴール前へと送るが、クリアされてしまう。
【失点】
30分、横浜・右からのアーリークロスを中央・坂田に頭で合わせられ、試合を振り出しに戻すゴールを決められてしまう。
32分、左サイドを抜けたマギヌン。ゴール前の巻へクロスを上げるが、ディフェンスにクリアされる。
34分、阿部からのロングパスを巻が競り合う。そこで奪ったボールをマギヌンへと戻すが、中央への折り返しはクリアされてしまう。
35分、自陣でボールを奪った吉田。ハーフライン付近までドリブルで上がり、左を上がるマギヌンの前へ浮き球を上げるが、先に追い付いた横浜ディフェンスにクリアされる。
37分、ゴール正面約40mの位置でフリーキックを得る。これを三都主がエリア内へ上げるが、ボールがわずかに長く相手キーパーにキャッチされてしまう。
38分、横浜・中盤からのパスから長谷川にエリア内へフリーで抜け出されるが、戻った三都主がシュートをブロックしコーナーキックに。さらに横浜・右からのコーナーキックを中央の栗原に頭で合わせられるが、バウンドが大きくクロスバーを超える。
40分、今度はグランパス・ディフェンスラインのギャップを突いて、斜めに走りながら、オフサイド無く抜け出した横浜・渡辺に左足でシュートを打たれる。しかしこれはポストの左へと外れる。危ないシーンだった。
42分、横浜・左からのクロスは、広野が体を張って跳ね返しクリアする。
43分、高い位置まで上がった阿部からのパスに、杉本が走りながら左足で合わせるが、これは上手くヒット出来ずポストの左へ。
(ロスタイム表示1分)
ロスタイム1、横浜陣内へ入ったすぐ右からのフリーキック。三都主がゴール前へ大きく上げるが、相手ディフェンスにクリアされてしまう。さらにボールを奪い返したグランパス、右サイドのマギヌンが倒されフリーキックを得る。これを再度、三都主が中央へ上げるが、クリアされたところで前半終了。
先制しながらも追い付かれ、その後はペースを掴めなくなってしまったグランパス。中盤でのボールも繋がりにくくカウンターで仕掛けるシーンくらいしか見られなかったが、このあたりは後半に向けて修正が必要だろう。
後半
後半エンドを左に変えたグランパスに対し、横浜F・マリノスボールでキックオフ。
名古屋1人目交代:ブルザノビッチ→小川
ストイコビッチ監督は代わって入った小川が右サイド、杉本と巻の2トップへとポジションを入れ替えて来た。
1分、小川の浮かしたボールを巻が頭で落とし、吉村へと狙うが、横浜の選手にクリアされてしまう。
3分、横浜・左の狩野が左足でゴール前へとクロスを上げるが、吉田が上手く体を合わせ、ボールはゴールラインを割る。
4分、マギヌンからのスルーパスに反応し、ペナルティエリア内深い位置まで入り込んだ杉本。そこから右足でゴール前へクロスを上げるがボールはわずかに高く、ファーサイドへ流れてしまう。
5分、横浜・河合のクロスは吉田が足でクリア。
6分、相手選手と交錯しながら出したマギヌンのボールを受けた小川。そのままカウンターでドリブルを仕掛けると、横浜ゴール前正面、約28mの位置で倒されフリーキックを得る。
7分、これを三都主が左足で直接狙うが、ボールは落ちきらず、クロスバーを超える。
9分、巻の粘りから左サイドを上がるマギヌンへ展開。そこからのクロスにファーサイドから再度走り込んだ巻が頭で折り返しを狙うが、その前にボールはゴールラインを割ってしまう。
10分、中盤で横浜・待つだにボールを奪われると、渡辺へとボールが渡り、右足でシュートを打たれるが、竹内が体でボールをクリアする。
11分、横浜陣内高い位置でのスローイン。杉本との交換でボールを受けた阿部のクロスに、中央の巻が頭で狙うが、ボールには届かず流れてしまう。
13分、横浜のパスをカットした田中。そこから右サイドを上がるマギヌンへとパスが渡り、ゴール前へ飛び込む巻へ狙ったクロスを上げるが、相手キーパーにキャッチされてしまう。
14分、中盤でボールを回すグランパス。三都主とのワンツーで、巻が相手ディフェンスの裏を狙うが、その前に三都主が倒されボールを奪われてしまう。
小川を投入し、中盤でのパス回しが上向いて来たグランパス。しかし、両チームとも決定的な場面は作る事が出来ず、膠着した状態が続く。
17分、中央でボールを持つマギヌンから、鋭く前線へ飛び出す杉本へとスルーパスを狙う。しかし、相手ディフェンスに当たり、クリアされてしまう。
18分、右サイドでボールを受けた杉本。ここからスピードに乗ったドリブルで、中へと切れ込みシュートを打つが、相手ディフェンスに体でブロックされてしまう。
名古屋2人目交代:マギヌン→ケネディ
19分、中央左寄りでボールを受けた小川。外側を上がる阿部をおとりに開けたコースから左足でミドルシュートを狙うが、これはポストの右へ逸れてしまう。
20分、横浜・河合のドリブルを三都主が倒し、ペナルティエリアギリギリ、左よりの位置でフリーキックを与えてしまう。
21分、このフリーキックを狩野が右足で直接狙う。鋭く曲がり完全に枠を捉えてはいたが、反応した広野が横へ飛び、右手一本で弾き出す。
23分、名古屋ディフェンスラインからの縦パスをケネディが相手と競り倒されるが、ここはファールを取ってもらえず相手ボールとなる。
24分、ディフェンスラインで竹内がボールを失い絶体絶命のピンチを迎えるが、ゴール前へのボールに横浜の選手も詰める事が出来ず難を逃れる。
25分、ケネディへの縦パスを奪われると、そのまま名古屋ゴール前へ。さらにシュートを打たれるが、広野が正面でキャッチする。
26分、横浜1人目交代:渡辺→金
27分、田中からの縦パスに杉本が右サイドを抜け出す。エリア内で中央への切り返しは相手と交錯し、ゴールラインを割りコーナーキックとなる。
名古屋3人目交代:杉本→津田
28分、名古屋右からの三都主のコーナーキックは、ケネディの頭を超えクリアされてしまう。
29分、横浜2人目交代:天野→田代
依然として1-1の膠着した状態が続く。1つのミスが命取りになりかねない時間帯、緊迫した空気がスタジアム内にも張りつめているようだ。
30分、ゴール前での混戦からファーサイドに抜けたボール。これに反応した津田が再度折り返し、ケネディが左足でボレーシュートを放つが、角度がなく枠の左へ外れる。
32分、横浜・右サイドから名古屋ペナルティエリア内へスルーパスを送るが、このボールは長くゴールラインを割る。
34分、三都主からの縦パスを巻がダイレクトで流し、津田が横浜エリア内へ抜けるが、対応した横浜・中澤にボールをクリアされてしまう。
36分、阿部からのパスを中央の小川がダイレクトで前へ流すが、これは巻が感じる事が出来ず、相手ボールとなる。
37分、左サイドでボールを拾った津田が、中を向いて右足でシュート。しかし、相手ディフェンスに当たり跳ね返されてしまう。
横浜3人目交代:長谷川→清水
38分、名古屋ゴール前での混戦、クリアしたボールを横浜・清水にミドルシュートで狙われるが、広野が見事に反応、これをキャッチする。
39分、横浜ゴール前でのこぼれ球を小川がダイレクトで合わせるが、ボールは弱く、相手キーパーにキャッチされてしまう。ここで相手選手が痛みプレーが止まる。
ストイコビッチ監督が外へ出されたボールを蹴り、退席処分を受けてしまう。
43分、三都主からのボールを受けた津田が左サイドからドリブル。しかし、中央へのパスは相手にカットされてしまう。
43分、横浜・清水に完全にフリーで抜け出され、シュートを打たれるが、ここも広野が飛び出しスーパーセーブでボールを弾き出した。
(ロスタイム表示3分)
ロスタイム1、自陣でボールを受けた阿部が長い距離をドリブルで持ち込むが、エリア近くでのパスは跳ね返されてしまう。
ロスタイム2、横浜・清水がまたもディフェンスラインの裏を狙うが、今度は吉田がしっかりと対応しボールをクリアする。
【失点】
ロスタイム3、左サイド阿部からのアーリークロスにケネディ、巻の2人が飛び込むが、横浜のディフェンスにクリアされる。そこからカウンターを受けると、最後、名古屋ゴール前での横パスから横浜・狩野に豪快に左足で蹴り込まれ、まさかの時間帯に失点をしてしまう。
その後のキックオフでケネディ、津田と渡り、横浜ゴール前へ迫るが、中央へのクロスも跳ね返されたところで試合終了。
先制点を決めながらも追い付かれ、終了間際に逆転ゴールを許すというグランパスにとっては辛い結果となってしまった。しかしこの後続くACL、さらにはリーグ戦、天皇杯のためにも気持ちを切り替えて欲しい。
試合終了後記者会見
【ジュロヴスキーコーチ】
今日は良い試合が出来ましたし、負けるような試合では無かったと思っています。しかしこれがサッカーというものですし、仕方の無い事だと思っています。今日の試合、ストイコビッチ監督はこれまでと少し違う構成のチームを作って戦いました。 今日の試合では、あと20m詰める事ができればという課題が残りました。それが出来れば2、3度のチャンスがあったのですが、集中力が欠如していたのかと思います。
前半、杉本選手とマギヌン選手のポジションがいつものグランパスのサイドハーフよりも低かった様に感じましたが、それは意図的だったのでしょうか?
ポジションについては特にいつもの試合と変えたわけではありません。杉本、マギヌンの2人はサイドハーフとしての役割でしたし、いつもの4-4-2という構成から特には変えていませんでした。しかしながら先にも話しましたが、最後の20mを詰める事が出来なかったという事実が、この事に関係しているのかもしれません。そのポジションのため、素早いカウンターを仕掛けられなかったという事はあるかもしれません。
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