試合前
関東沖を進む台風の影響か、雲の広がるNACK5スタジアム大宮。午後5時20分、照明が強く照らされるピッチへ選手達が姿を現すと、詰めかけたグランパスサポーターから大きな拍手と歓声が沸き起こる。
前節、ホームでの柏戦に敗れた後、システム変更を示唆したストイコビッチ監督。この試合では三都主、ブルザノビッチの2人がスターティングメンバーを外れ、これまで慣れ親しんだ4-4-2で戦うようだ。
8月にアウェイ金沢で行われたガンバ大阪戦、試合終了間際の劇的なゴールでユニフォームを脱いでしまい、2試合出場停止となったマギヌンと、累積警告により前節を出場停止となった吉村の2人がスターティングメンバーに戻って来た。両選手とも前節の敗戦を目の前で見た事もあり、自分達が戻った事でチームを立ち直らせたいと気合いは十分なようだが、気負いはなくウォームアップでも明るい表情をしている。
今シーズンここまでリーグ戦、陸上トラックの無いサッカー専用スタジアムでは5勝3引2敗と分の良いグランパス。サポーターとの距離をより近く感じられる専用スタジアムで、熱い声援を送り続けるグランパスサポーターと一体となる事で、この結果が出ているのではないだろうか。もちろんこの日も、名古屋からの遠征、さらには関東近郊に在住するグランパスサポーターがアウェイ側スタンドを埋め尽くし、ホーム・アルディージャサポーターを圧倒するような応援を試合前から繰り広げている。
そのサポーターの熱気が高まる午後5時45分、ウォーミングアップを終えた選手はこれからの始まる熱戦に向け、ロッカールームへと姿を消した。
前半
アルディージャサポーター背後に真っ赤な夕焼けの広がるNACK5スタジアム大宮。
両チームのサポーターの歓声が溢れる中、選手達がピッチへと姿を現した。
この日のグランパスはゴールキーパーに広野、ディフェンスラインは右から田中、吉田、増川、阿部の4バック。中盤は小川、中村、吉村、マギヌンの4枚、そして玉田、ケネディの2トップで臨む。
前半、メインスタンドから向かって右にエンドを取ったグランパスのボールでキックオフ。
開始早々、相手陣内でのパスをカットした阿部が前線のマギヌンへと狙うが、ボールはラインを割る。
1分、グランパス陣内でボールを受けた大宮・藤本にミドルを狙われるが、広野がクリア。さらに右からのコーナーキックを繋がれ、大宮・石原にシュートを打たれるが、これはクロスバーを大きく超える。
2分、大宮ゴール前で吉村、ケネディとボールを繋ぎ、中村がエリア侵入を狙うが、相手ディフェンスにクリアされてしまう。
3分、左サイドで相手ディフェンス2人の間を、ドリブルで抜いた玉田。中央へ走り込むケネディへとパスを狙うが、タイミングが合わず相手ディフェンスがクリア。
5分、吉村、マギヌン、さらに右サイドをオーバーラップした田中へとパスが渡り、中央へクロス。これをファーサイドの小川が頭で狙うが、相手ディフェンスがクリア、コーナーキックに。このボールを左から入れると、一旦弾かれたボールを拾った中村がミドルシュートで狙うが、相手ゴールキーパーにキャッチされる。
6分、広野からのボールをケネディ、玉田、中央にいた小川と繋ぎ、さらに右のマギヌンへ。ここからマギヌンが走り込むケネディへダイレクトのヒールパスを狙うが、ボールは短く相手ディフェンスにクリアされる。
9分、中央・中村から高い位置へ上がる阿部へとパスが渡ると、その阿部がゴール前へ走り込むケネディへと低いクロス。しかし、これはトラップが長く相手キーパーにキャッチされてしまう。
10分、左サイドで小川、阿部と短く繋ぎ、さらに玉田を狙うが、相手ディフェンスがこのボールをカット。
11分、広野からのボールをハーフライン付近で受けようとしたケネディが倒されフリーキックを得る。
13分、玉田、小川、ケネディ繋ぎ、エリア内のケネディが中央へクロス。このボールは一旦クリアされるが、それを拾った吉村が豪快にミドルシュート。しかし、相手キーパーにクリアされてしまう。ギリギリ枠を捉えていただけに、惜しいシーンだった。
ボールポゼッションで大きく上回るグランパス。アウェイでのゲームを戦い易くする為にも、前半のうちに得点が欲しいところだ。
15分、増川へのバックパスを大宮・ラファエルに狙われ、ボールを奪われるが、ボールが長くゴールラインを割る。
16分、大宮ペナルティエリアへドリブルで侵入した中村が、中央へクロス。相手ディフェンスがクリアし、コーナーキックを得る。しかし、右からマギヌンが蹴ったボールは、そのままファーサイドへ流れ、ゴールラインを割ってしまう。
18分、大宮左からのクロスが流れ、それを拾った右の石原に中央へクロスを上げられる。これを大宮・藤田にヘディングで合わせられるが、ボールは枠の上へ逸れる。
20分、ハーフライン付近で中村が相手ボールをカット。前線のケネディを経由し、右のマギヌンがゴール前へクロスを上げるが、相手キーパーがキャッチ。
21分、大宮・中盤からの縦パスにグランパスディフェンスラインがオフサイドトラップを仕掛け損ねるが、広野が反応し、ボールをキャッチする。
22分、マギヌンからのボールを受けた玉田。後ろから激しく倒され、ゴール斜め45度、約30mの位置でフリーキックを得る。
23分、このボールを玉田が左足でゴール前へ上げるが、相手ディフェンスにクリアされる。
24分、今度はハーフライン付近で、吉村が相手選手を倒しファール。このプレーに対し、イエローカードが提示されてしまう。
26分、中央の小川からフワリと浮いたパスに、玉田が相手ディフェンスラインの裏を狙うが、クリアされてしまう。
27分、左サイドを上がったマギヌンからのクロスは、相手ディフェンダーがクリア。これを拾ったグランパスが再度繋ぎ、ケネディがキープ。すると、相手選手が堪らずこれを倒し、ゴール右25mの位置でフリーキックを得る。
【得点】
28分、このフリーキック、小川が右足でゴール前へ上げると、中央へ走り込んだマギヌンが倒れ込む様にしてこのボールを押し込み、先制ゴールを決める。
そして得点直後、そのマギヌンを中心に、先日子供が生まれたばかりの田中隼磨選手へ"揺りかごダンス"が捧げられた。---
15分過ぎからは大宮もポゼッションを高め、少し押し込まれるシーンも見られたグランパス。そんな中、セットプレーからアウェイで貴重な先制ゴールを決めた事は大きい。この後も、守りに走る事無く、落ち着いた試合展開を見せて欲しい。
31分、中村からの縦パスに、玉田が相手ディフェンスと競り合いながら抜け出すが、ボールはゴールラインを割ってしまう。
33分、大宮陣内40m程度の位置で、阿部のパスが相手選手の手に当たり、フリーキックを得る。これを小川がゴール前へ上げると、ファーサイドから走り込んだケネディが、相手ディフェンスの上から強烈なヘディングシュート。しかし、これは相手キーパーの正面を衝き、キャッチされてしまう。
34分、吉田から左のマギヌンへロングパスが通るが、コントロールがしっかりできず、ボールはゴールラインを割ってしまう。
35分、名古屋ゴール前で大宮にパスを回されると、そのボールに寄せる吉田を交わし、大宮・石原に右足でシュートを打たれる。しかし、これもクロスバーを大きく超える。
36分、マギヌンが倒され、大宮陣内で得たフリーキック、小川がゴール前へと上げるが、相手ディフェンダーがクリア。
37分、左から小川が蹴ったコーナーキックは、相手ディフェンスがクリア。さらに右からマギヌンが蹴ったボールは、ゴール前の選手が僅かに合わせる事が出来ず、ラインを割ってしまう。
38分、今度は大宮が名古屋陣内でフリーキック。高さのある大宮・ラファエルを狙いボールを蹴るが、これに付いていたケネディが高さで勝り、頭でボールをクリア。
40分、名古屋陣内で中村が相手選手を引っ掛けてしまい、フリーキックを与える。これを大宮がまたゴール前へ上げるが、誰も触る事無く、広野がキャッチ。
41分、エリア近くで大宮・石原にボールを奪われると、そのままドリブルからシュートを打たれるが、広野が正面でキャッチ。危ないシーンだった。
42分、今度は大宮陣内で、玉田が後ろから激しく倒され、フリーキックを得る。しかし、短く繋いだボールは大宮にカットされてしまう。
43分、中盤でのルーズボールを拾った中村。ロングシュートを狙うが、上手くヒットする事ができず、ボールは大きく枠を外れる。
44分、阿部からのパスを受けたケネディ。ペナルティエリア手前からミドルシュートを狙うが、これは僅かに枠の左へと逸れる。
(ロスタイム表示1分)
ロスタイム1、左サイドを上がった大宮・波戸からのクロス。これを中央でラファエルに合わせられるが、枠を大きく逸れる。さらに、ゴールキックを拾われ大宮・藤本に強烈なシュートを打たれるが、これも枠の外へ。そして広野がボールを大きく蹴った所で前半終了。
先制ゴール後は、負けられない大宮の攻め上がりに押し込まれるシーンも見られたが、何とか凌ぎきったグランパス。相手ディフェンス裏を狙う玉田の動きで惜しいカウンターのシーンも見られ、後半の追加点に期待したい。
後半
左にエンドを替えたグランパスに対し、大宮ボールでキックオフ。
大宮1人目交代:藤田→パク
ホームで負けられない大宮は早速ロングボールを前線へ狙うが、そこから中央への折り返しは、増川がしっかりとクリア。
1分、名古屋ゴール前右、30m程度の位置で大宮にフリーキックを与える。これをゴール前へ上げられるが、吉村が頭でクリア。
3分、小川、中村とボールを回し、その外を田中が大きくオーバーラップ。中村がその前へとパスを狙うが、相手ディフェンスにクリアされる。
5分、玉田、マギヌンとボールが繋がり、大宮ゴール前へクロス。ケネディが頭でこのボールに合わせようとするが、相手ディフェンスにクリアされる。さらにこぼれ球を拾った田中がミドルシュートを打つが、これは相手キーパーがキャッチ。
6分、中盤でボールを奪った名古屋が一気のカウンター。左サイドを抜け出したマギヌンが、そのままドリブルでエリア内へと入り、左足で強烈なシュートを放つが、僅かに枠の右へと逸れてしまう。
8分、左サイドライン際でマギヌンが倒され、大宮陣内でフリーキックを得る。これを短く繋ぐが、ゴール前まで持ち込む事は出来なかった。
10分、大宮にカウンターからゴール前へ攻め上がられると、最後はラファエルに1人交わされ、右足で強烈なシュートを打たれる。しかし、これに反応した広野が横へ飛び、好セーブでボールを弾き出す。
12分、大宮・パクにディフェンスの裏を取られると、そのまま中央へ低く速いクロスを送られる。しかしこのボールは吉田がクリア。
13分、カウンターから大宮・波戸に中央をドリブルで上がられる。これを追った中村が後ろから倒し、イエローカードを貰ってしまう。
ホームで負けられない大宮と、カウンターでの追加点を狙う名古屋。
4-4-2のシステム、高さのあるフォワードを擁する似たチーム同士の対戦は、白熱した展開が続く。
17分、名古屋陣内左、35m程度の位置で大宮にフリーキッックを与えてしまう。これをゴール前に上げられると、大宮・ラファエルに完璧に頭で合わせられるが、広野がしっかりと正面でキャッチする。
18分、左サイドを攻め上がる大宮。中央へと送られたボールから、大宮・石原にペナルティ外からのシュートを打たれるが、これも広野が正面でキャッチ。
19分、中盤からのロングボールに玉田が抜け出すが、飛び出した大宮キーパー・江角にクリアされてしまう。
20分、右サイド上がった田中が、相手ディフェンスの股を抜くパス。これに抜け出した玉田がケネディへ浮いたボールを狙うが、相手ディフェンスにクリアされる。さらにこぼれ球を小川がダイレクトボレーで狙うが、難しい角度から落ちてくるボールを合わせる事が出来なかった。
22分、阿部からの大きなサイドチェンジを受けた田中。ドリブルで仕掛けるが、相手選手に当たりラインを割る。
23分、名古屋左サイドからゴール前へのクロス。これをケネディが中央へ落とすと、走り込んだ小川がトラップから浮き球をバイシクルシュートで狙うが、僅かに枠の左へと外れてしまう。
24分、左サイドで相手ミッドフィルダーにチェックをかける玉田。そこでボールを奪うと、ケネディと2人で一気にカウンターを狙うが、相手選手と交錯、ボールを失ってしまう。
26分、名古屋陣内、右寄りで大宮にフリークックを与えるが、ゴール前へのボールはしっかりとクリア。
27分、今度は大宮左からのフリーキック。ゴール前へのボールに飛び出した広野が相手選手と交錯するが、ラファエルのシュートはクロスバーを超える。
28分、大宮2人目交代:藤本→内田
またも名古屋陣内で大宮のフリーキック。これを代わったばかりの大宮・内田がゴール前へ低く入れてくるが、ディフェンスがしっかりとクリアする。
29分、大宮・右からのクロスは広野がクリア。
30分、右サイドでボールを持ったマギヌンが、前線の玉田へスルーパス。しかし、玉田は内側を向かせてもらう事が出来ず、ボールをクリアされてしまう。
【得点】
33分、中盤でボールを受けたマギヌン。左サイドをフリーで上がる小川の前へ、ピンポイントのパスを届ける。完全にフリーで抜け出した小川は、ゴールキーパーとの1対1に落ち着いてボールを流し込み、満員のグランパスサポーターの前で追加点を決めた。
35分、名古屋1人目交代:マギヌン→ブルザノビッチ
ストイコビッチ監督はここまで1得点1アシストのマギヌンに代え、ブルザノビッチをピッチへと投入。玉田が少し下がった位置へ入り、4-2-3-1の様なシステムへ変更。
37分、ブルザノビッチと相手ディフェンスが競ったボール、こぼれ球を玉田が振り向きざまにダイレクトで狙うが、相手キーパーにキャッチされる。
38分、名古屋2人目交代:玉田→杉本
大宮3人目交代:青木→ドゥドゥ
2人目の交代枠でストイコビッチ監督は、ここ数試合で見られた津田ではなく、大宮戦で抜群の相性を見せる杉本を投入。
40分、左サイドエリア内で中村からのボールを受けたブルザノビッチ。ドリブルで相手ディフェンス2人を抜き去り、中央のケネディへ。これをボレーで合わせるが、完璧に見えたシュートはポストに弾かれてしまう。
41分、ブルザノビッチからのボールを右で受けた小川。そこから深い位置まで持ち上がり、再度中央のブルザノビッチへと戻すが、これに反応した相手ディフェンスにクリアされる。
42分、名古屋3人目交代:中村→三都主
43分、大宮・左からの攻撃でエリア内へクロスを上げられると、何人かの選手が交錯しヒヤリとするが、広野が冷静にボールを抑える。
44分、大宮・ドゥドゥに左足で強烈なミドルシュートを打たれるが、これは枠を大きく外す。
(ロスタイム表示4分)
ロスタイム1、左サイドのブルザノビッチが強引なドリブルでエリア侵入を狙うが、相手選手を倒してしまい、ファルを取られる。
ロスタイム2、名古屋エリア内へのボールは、吉田が相手選手に体を当て、そのままゴールラインを割る。
ロスタイム3、ドリブルで持ち込んだ大宮・ドゥドゥのシュートは、ディフェンスに当たり弾き返す。
ロスタイム4、ブルザノビッチのドリブルから、大宮エリア内での混戦に抜け出したケネディ。相手選手に引っ張られながら右足でシュートを打つが、僅かに枠の右へ。さらにブルザノビッチが狙ったミドルは、枠の左へと 逸れてしまう。
そして、相手ゴールキーパーがボールを蹴ったところで試合終了。
アウェイでのゲームをセットプレーからの得点と、カウンターによる追加点という、理想的な展開で試合を進めた名古屋。これからACLを含め、2週間で5試合を戦う連戦の初戦を勝利で収めた。
試合終了後記者会見
今日の印象は、非常に満足出来るゲーム展開を出来たという事です。選手はしっかりとプレーをして、勝ちに値するゲームを見せてくれました。今日のゲームはとても高い重要度を持つものでしたが、我々としては精神面も含めてしっかりと準備をして戦う事ができました。
選手を数人入れ替えシステムも変更しました。昨年の良い時を思い出す様なゲーム展開でしたが、これはこの後に続くACLへも良い影響を持つとお考えでしょうか?
次のゲームまでも時間がありますし、しっかりと準備をしたいと思います。今日のゲームでは戦術面、技術面で大宮よりもしっかりとしたものを出す事ができたと思っています。ボールをキープし、試合をコントロールできました。大きなサイドチェンジも仕掛けられていましたし、そういう部分で試合を作っていたといえます。今日のチームの戦いには、本当に満足しています。
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