試合前
午後6時25分、すっかり暗くなった瑞穂の周辺とは逆に、色鮮やかな水銀灯に煌々と照らされ、明るいスタジアムのピッチへと名古屋の選手達が走り込んでくる。すると、それまで温和しかった雰囲気が、ようやく賑やかさを増し始める。先にアップをスタートさせているGKの2人、広野と長谷川に迎えられ、選手達は改めてサポーターへと大きく挨拶を交わした後、早速、新潟戦へと向けた最後の調整をスタートさせる。
先日行われた、全日本少年サッカー大会に優勝したU12の若鯱達とハイタッチを交わして"勝ち運"を手にした選手達は、3連勝目指して気合いの入った表情でピッチ内を動き始めた。アウェイでの連勝で戻ってきた選手達に、今日はここホーム・瑞穂陸上での勝利を期待するサポーターも、いつにも増して早い時間から応援にも力が入っていることが良く分かる。
不動の守護神・楢崎のG大阪戦での負傷で、急遽、ゴールマウスを守ることとなった広野だが、今季はナビスコ杯での出場もあり、今日はリラックスした様子を見せながら、後輩の長谷川と共に、伊藤GKコーチのボールを受けている。長年の努力と鍛錬で培った能力を、今日は「勝利」という結果で示してくれることだろう。
この新潟戦を終えると、代表戦のためチームを離れるケネディと玉田の2人。共に好調さを取り戻したチームにとって大事な原動力であり、攻撃力の要だ。ホームでの試合と言うこともあり、2人ともアップ中の動きも軽やかだ。良い雰囲気で代表へと向かいたいこともあって、今日は是非ともアベックゴール見せて、3連勝を叶えて欲しい。
午後6時45分、満員の名古屋サポーターで埋まったスタンドからの熱の籠もった声援を受け、準備万端となった選手達は、満足げな表情を見せてピッチを後にしていった。
前半
夏休み最後の公式戦ということもあり、スタンドには家族連れも多く、いつもに比べ賑やかな雰囲気が入場する選手達を優しく迎える中へ、午後6時、選手達が入場する。
今日の先発メンバーは、GKは、リーグ戦初先発の広野、DFは、吉田・バヤリッツァ・増川の3人。中盤は、右に小川、左に三都主、ボランチの位置には吉村と中村の2人。トップ下にブルザノビッチが入り、FWはケネディと玉田、スタートは3-5-2の布陣だ。
前半は、右エンドの新潟に対し、左から攻め上がる名古屋のキックオフで試合開始。
1分、中央のブルザノビッチからのパスを、上がって受けた三都主。その三都主からのクロスが、中央の新潟DFに当たって逆へと流れ出たところを、ケネディが拾う。しかし、中へと折り返そうとしたボールは、ゴールラインを割ってしまった。
2分、ブルザノビッチからのパスを、右に上がって受けた小川。ダイレクトで上げたクロスボールは、DFに中央で弾かれてしまう。
4分、右で中村からのパスを受けた小川が、簡単に放り込んでいったが、これはDFが頭で跳ね返してしまった。
5分、右でパスを受けた新潟・矢野が中を伺うが、ここは三都主が早い寄せでボールをタッチの外へ。
6分、左の新潟・エヴェルトンのパスに、中央を新潟・マルシオが抜け出そうとしてくるが、ここは広野が先に前に出てボールを抑える。
8分、中央でのルーズボールを新潟・大島が拾いに来るが、ここは増川がファウル覚悟で潰す。
9分、自陣入ってすぐ、ゴール正面での新潟のFK。マルシオが強引に狙って蹴ったボールは、大きくゴールを越えていった。
11分、スペースへと走り込むブルザノビッチにパスを当てた小川。そのまま前に上がると、折り返してきたところをダイレクトで入れていこうとするが、これはDFに当たって右のCKに。
12分、右からのCKのチャンス。しかし、三都主のボールは中央から弾き出されてしまった。
13分、右からのCKのチャンス。三都主が精度の高いボールを、ゴール前に詰めるケネディへと蹴るが、新潟DFの頭がこれを阻んでしまった。
14分、中央やや左からエヴェルトンが大島とのワンツーで抜け出してくるが、ここはバヤリッツァがしっかりとボールを抑える。
16分、右からのCKのチャンス。ファーポストに詰めるケネディを狙って、三都主が長いボールを蹴るが、これはDFにカットされてしまう。
18分、自陣中やや左での新潟のFK。新潟・松下のGKの前のスペースへと入れたボールに、矢野が飛び込んでくるが、ワンタッチしたボールはクロスバーを大きく越えていった。
19分、吉村の入れた縦へのパスを、ワンタッチでブルザノビッチがDFの裏へと送る。しかし、これはDFに止められてしまった。
【得点】
20分、ブルザノビッチからのスルーパスに、中央を抜け出した玉田。DF、そして飛び込んできたGKを軽快にかわすと、最後、無人ゴールへと右足でボールを収め、名古屋が先制点を挙げる。
24分、左に開く新潟・ジウトンへと早いパスを繋げようとしたエヴェルトンだったが、これは小川の厳しいプレッシャーがミスを誘った。
27分、自陣中程右での新潟のFK。新潟・松下のボールは、壁に立った中村が弾き飛ばす。
29分、中央をドリブルでエヴェルトンが抜け出してこようとするが、ここは中村が厳しい寄せを見せて潰す。
30分、自陣中程やや左での新潟のFK。マルシオが大きく曲がるボールを蹴ってくるが、ボールは枠を越える。右前線でボールを持った玉田が、寄せてくるDF2人を細かいステップで交わして、右足でゴール前へとクロスを入れようとするが、ボールはGKの正面を衝いてしまった。
32分、中央のブルザノビッチから左へ展開。このボールを受けた三都主が早めに入れていこうとしたが、これはDFの体が阻止してしまった。
33分、吉田の落としたボールを、吉村が拾ってケネディに預けると、これを自ら縦に送って抜け出そうとする。しかし、ここはDFが行く手を阻んでしまった。
35分、右に抜け出そうと走る小川へと、ブルザノビッチからロングボールが出てくる。しかし、これは追い付く前にゴールラインを割ってしまった。
37分、広野からのロングボールを玉田が下がって受けが、これはオフサイドに。
38分、ハーフウェイラインからDFの裏へと蹴り出されたボールに、中央を新潟・大島が上がってくる。ここは落ち着いて前に出た広野が、ボールをキャッチ。
40分、新潟陣内中程やや左でのFKのチャンス。これをブルザノビッチが狙い澄まして蹴るが、僅かに左に流れ、ボールはポストを叩いてしまう。
41分、左から三都主がブルザノビッチに貰って入り込んでくると、深いところからクロスを狙うが、これはDFが弾き出してしまう。
42分、中央でルーズボールを拾った小川。左足からのシュートは、枠を捕らえたかと思われたが、コースに入ったDFがコースを変えてゴールの上を抜けてしまった。
43分、中央からケネディが、玉田とのパス交換で抜け出す。しかし、DFの裏へと出たところでオフサイドを取られてしまう。
(ロスタイム表示:2分)
ロスタイム1、左からドリブルで持ち込んだ三都主。左に抜けようとする玉田にボールを送るが、これは残念ながらオフサイドポジション。
ロスタイム2、左からのCKのチャンス。ブルザノビッチの鋭いボールがゴール前へと飛ぶが、これはDFの頭が叩き出してしまった。
そして、前半終了の笛が鳴り、名古屋は新潟を1点リードして終える。
後半
エンド入れ替わり、後半は右にエンドを取る名古屋に対し、左エンドの新潟のボールで後半がスタート。
1分、中央やや左でボールを持って、前を向いたエヴェルトン。遠目からのシュートを放ってくるが、これは精度を欠き、ポストの右へ。
2分、右からマルシオがパスに抜け出そうとしてくるが、ここはバヤリッツァが体を張って、これを阻止。
4分、エヴェルトンからのパスを、中央で受けたマルシオ。右足からのシュートは枠の上を抜ける。
5分、新潟陣内左深くでスローインをキープするケネディが倒され、好位置でのFKのチャンスを得る。これをブルザノビッチが速いボールを蹴ると、遠いサイドに詰める増川が頭を入れるが、ボールはその僅かに上を抜けてしまった。
6分、左から中へのパスに入り込んだエヴェルトン。反転して前を向こうとするが、ここは鋭く寄せた小川が体を張ったプレーで、相手のファウルを誘った。
7分、新潟陣内左深くでケネディからのボールを受けた三都主。しかし、その三都主からのマイナスの折り返しには、誰も詰めることは出来なかった。
9分、右から中村のパスを受けた小川のクロスはDFに弾かれてしまうが、これがゴールラインを割り、右からのCKのチャンスに。
10分、CKのこぼれ球を一気に前線へと蹴り出されると、これを拾ったマルシオがエリア手前で左から上がってくるエヴェルトンへとパスを送ってくる。ここは広野が早めの飛び出しを見せて、ボールをしっかりと押さえ込む。
12分、右から持ち出した玉田が、右タッチ際を駆け上がる小川へとパスを送る。しかし、これは長すぎてしまい、タッチを割ってしまった。
14分、左を上がるケネディを追走する三都主へとパスが送られるが、これはタイミングが合わず、失ってしまった。
15分、右でパスを受けた小川。小刻みなタッチを見せながら中へと入り込み中央を上がろうとするブルザノビッチに送るが、これは足下に収まらず相手ボールに。
18分、左タッチ際で三都主が、寄せる矢野をかわしながら、縦へとロングボールを送る。しかし、ここはボールが僅かにタッチの外を抜けてしまう。
19分、名古屋1・2人目メンバー交代:三都主・吉村→阿部・山口
20分、相手ボールを奪ったバヤリッツァが持ち上がっていこうとするが、厳しいマークに潰されてしまう。
新潟1人目メンバー交代:大島→千葉
22分、右から上がってきた新潟・内田にボールが渡りそうになるが、これはオフサイド。
23分、新潟陣内左中程でのFKのチャンス。ブルザノビッチがこれまでと打って変わって柔らかいボールを蹴り入れるが、ファーポストに上がる吉田の頭上を抜けてしまった。
24分、中央でボールを持たれると、左にフリーで上がってくる松下へとパスを通されるが、ここはトラップミスからボールがタッチを割り、相手のミスに助けられる。
26分、左を上がった松下からのクロス。中央で矢野が合わせたボールがゴール前でルーズになるが、広野が落ち着いてこれを処理する。
27分、新潟陣内左中程でのFKのチャンス。
新潟2人目メンバー交代:松下→酒井
28分、玉田の蹴ったFKのボールはゴール前へと上手く抜けるが、飛び込んだケネディと吉田が触れる前に、その前を抜けてしまった。
30分、右から上がっていた内田がボールを中へと入れていこうとするが、ここは前に立ちはだかる阿部がボールをしっかりと奪った。
31分、左からの新潟・酒井のクロスに、中央で矢野が待ち構えるが、ここはバヤリッツァが高い打点で弾き返す。
33分、右からエヴェルトンが突破を図ろうとするが、厳しく寄せた中村がこれを潰す。
34分、左からの新潟のCK。マルシオの蹴ったボールは、ゴール前へ詰めていた選手の前を抜け、そのまま逆へと流れ出ていった。
36分、右で玉田との細かいパス交換から、ブルザノビッチが抜け出ようとする。しかし、ここは寄せて来たDFの足がパスを阻んでしまった。
38分、新潟陣内中程左タッチ際でのFKのチャンス。距離はあったが、ブルザノビッチが直接狙う。しかし、ボールは曲がりきらず、正面で新潟GKに捕らえられてしまった。
40分、新潟陣内中程やや左の位置でのFKのチャンス。
名古屋3人目メンバー交代:バヤリッツァ→田中
新潟3人目メンバー交代:本間→川又
ブルザノビッチが蹴ったボールは、惜しくもゴールを掠めて枠の外へ
43分、左タッチ際でボールキープを見せるケネディが倒され、FKのチャンスを得るが、時間を考え、ここは短く繋ぎ時間を使う。
(ロスタイム表示:4分)
ロスタイム1、自陣からのパスに左をブルザノビッチが上がると、DFが寄せたところを見計らって、左に上がるケネディにパスを送る。しかし、これはDFの反応が早く、合わせたボールがゴールラインを割ってしまった。
ロスタイム2、縦に入ったパスに矢野が抜け出そうとしてくるが、ここは増川がしっかりと体を入れてボールを跳ね返す。
ロスタイム3、早めにDFの縦に入れようとしたボールは、山口が体を入れると、大きく弾き返す。
そして、ここで主審の長い笛が鳴り、名古屋は新潟を1-0で下し、昨年以来となる3連勝を飾った。
湿度の高さもあって、後半は新潟に少し押し込まれてしまう場面もあった。しかし、最後まで集中力が途切れることはなく、新潟の攻撃を封じ、見事、玉田の3試合連続のゴールを守りきり、ホームでの試合を完封勝利した。
試合終了後記者会見
今日の結果にはとても満足しています。選手達は強いファイティングスピリットを持ったプレーを見せてくれました。そして重要な事は連勝したという事であり、今後も続けたいと思います。
終盤、バヤリッツァ選手と田中選手を交代させ4バックへと変更しましたが、その意図をお聞かせ下さい。
ハーフタイムにバヤリッツァ本人から、筋肉に違和感があるという話を聞いていました。それでもプレーを続けたいというので彼を後半も出場させました。そのためもあり、あの時間帯で交代させ、システムも変更しました。
玉田選手が3試合連続ゴールを決めました。ここから2週間リーグ戦が中断となりますが、残念なのではないでしょうか?
私としても中断はあまり好きではありませんが、スケジュールに従うだけです。ただ、選手達にはこの後も続く長いシーズンのために休む事も必要です。
玉田に対しては試合前、ここ数試合とても調子が良く、それをこれからも続けて欲しいという話をしました。今日のゴールは、ブルザノビッチと玉田のコンビネーションから生まれた素晴らしいゴールでした。玉田もあの場面でよく落ち着いてドリブルをし、ゴールネットの中へとボールを納めたと思います。
日本代表の岡田監督も喜んでいるのではないでしょうか?
そうですね、岡田監督もこれまでとは違った玉田を見たのではないでしょうか。玉田はメンタル的にとても強くなっていますし、これは日本代表にとっても良いニュースなのではないでしょうか。
ブルザノビッチ選手がチームにフィットして来たようですが?
我々のスタイルを理解したのではないでしょうか。ブルザノビッチは自分のスタイルを持った頭の良い選手ですし、チームにとって重要な選手になりつつあります。今日も玉田へパーフェクトなアシストがあり、そのあと長い距離から美しいフリーキックも見せてくれました。
今日はとても重要なゲームでした。選手達はハードな内容の良いゲームを見せてくれました。全員が集中し、どのボールに対しても対応していましたし、新潟はほとんどチャンスを感じなかったのでは無いでしょうか。また広野が良いプレーを見せてくれたので、チームには少し休みを与えたいと思います。他の選手達からも広野は感謝されるのではないでしょうか(笑)。
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