試合前
ドンヨリと上空を重い雲が押さえ込むように拡がる、今日の名古屋市瑞穂陸上競技場。午後7時からのナビスコカップ準々決勝第2戦が行われるピッチでは、先ほどから両チームのGK陣がウォーミングアップをスタートさせている。
対戦相手は、アウェイ・味スタ戦で1-5と苦杯を舐めさせられているFC東京だ。状況的には勝ち上がるには苦しい状況だが、アウェイでの貴重なゴールもあって、3点以上を取ることが出来れば、可能性は充分に残されている。
今日は、リーグ・浦和戦での快勝から大きくメンバーを変えてきたストイコビッチ監督だが、出場する選手達にとっては、ホームでの試合ということもあり、自らをアピールするにも大きな発憤材料と言えるだろう。
久し振りの名古屋のゴールマウスを守る広野。これまでなかなか先発の機会を得ることもなかったが、今日は若手が多い中、吉村や山口と共に、チームをしっかりと統率させて、勝利を手繰り寄せるだけでなく、ナビスコカップ勝ち上がりに大きく貢献して貰いたい。
新外国人FWケネディが派手なデビューを飾ったものの、名古屋のFWと言ったらやはり巻は外せない。今季は出場機会を徐々に増やし始めると共に、結果も伴い始めてきた。ピッチの上で最後の調整を行っている今この時も、気合い充分な様子を見せ、汗を体中に浮かべながら、所狭しとボールを追い求めて動き回っている。4点差以上で勝利という厳しい条件付きだが、彼がケネディと共に爆発してくれれば、不可能な話では決してない。「俺を忘れるな!」と言わんばかりの、存在感を示すようなゴールを少しでも多く決めて欲しい。
午後6時45分、気温が低いにも関わらず、じっとりと湿った空気がスタジアム全体を覆い、高い不快指数を示す中、今日の対戦に向け、しっかりとコンディションを整えた選手達は満を持した表情で、納得した様子を見せながらロッカールームへと消えていった。
前半
心配された雨もここまでは降る気配を見せず、瑞穂の周りではここぞとばかりに蝉が元気良く鳴いている中、審判団と共に両チームのメンバーが入場する。キャプテンマークを付けた山口を先頭に、その次に広野が続く。この試合に懸ける強い気持ちを示す2人には大きな期待を寄せたい。
この日の先発は、GK広野、DFは、右から田中・バヤリッツァ・吉田。阿部の4人。中盤は右に小川、左に杉本、中は山口と吉村が並び、FWは巻とケネディの2人。4-4-2の布陣でスタート。
1分、吉村の挨拶代わりのミドルシュートが枠を捕らえるが、これは東京GKにバーの上へと弾き出されてしまう
3分、右に抜け出してきた東京・椋原のクロスは、中央でバヤリッツァが頭で弾き出す。
4分、東京陣内から出た長いボールを、東京・カボレが持ち上がってこようとするが、ここは足下にボールが収まらず。
6分、山口のパスを、巻が頭でケネディに繋ぐ。更に、ケネディが頭で折り返したボールを、巻がダイレクトでボレーシュート。しかし、これはしっかりと当てることが出来ず、ゴールを大きく越えてしまう。
7分、右に上がる小川にパスが出ると、これを頭でケネディへと落とすが、ここは早い反応を見せた東京DFにタッチの外へクリアされてしまった。
11分、相手パスカットを見せたバヤリッツァ。右に上がる田中へと送ろうとするが、ここは東京・羽生の厳しいタックルを受ける。
13分、東京・梶山がドリブルで上がってくると、右に上がる東京・赤嶺へとラストパス。しかし、赤嶺のシュートはポストの左へ流れ出る。
15分、右から吉田のパスを拾って田中が抜け出そうとするが、東京DF2人に囲まれボールを失ってしまう。
17分、東京陣内中程右でのFKのチャンス。小川の長いボールを、上がっていた吉田がヘディングシュートに。しかし、これは右に流れてしまった。
19分、右に深く抜け出してきた赤嶺の折り返しは、誰もいない遠いサイドへと流れる。
22分、中央を持ち上がってきたカボレからアウトサイドのパス。これを右で受けた赤嶺のシュートが枠を捕らえるが、このシュートは広野が足下で押さえる。
25分、右で小川の落としたところを拾った杉本。しかし、厳しい後ろからの寄せに前を向かせて貰えず。
27分、右から杉本が速めのクロスをゴール前へと入れるが、これはニアでクリアされてしまう。
29分、右から上がる選手を小川が倒してしまい、自陣右でのFKを東京に与えてしまう。これを東京・鈴木が蹴ってくる。ゴール前でカボレが落としたところを、鈴木にシュートを打たれるが、これはその前のプレーがオフサイドの判定。
31分、右に上がった椋原のクロスを狙った赤嶺のヘディングシュートは、クロスバーの上を抜ける。
【得点】
33分、右で杉本が落としたボールを、田中が大きく入れると、ゴール前のケネディが上手くスペースへと落とし、ゴール前へ詰める巻に流し込む。そして、このボールを巻が逃さず押し込んで、名古屋が先制する。
36分、赤嶺の落としたボールに、2列目から入り込んできた羽生のシュートは、クロスバーを掠めて枠の外へ。
37分、左から抜け出そうとする小川のタイミングを見計らって、吉村がパスを送るが、これは長すぎてしまう。
39分、小川のパスに、右を抜け出した杉本。DFをかわして中へと入れていこうとするが、東京・長友の早い反応に弾かれてしまう。
40分、縦パスにケネディが抜け出して1対1になるが、ここは惜しくもオフサイド。
42分、田中のパスを小川が落としたところを拾った山口。遠目だったがシュートを狙う。しかし、ボールはポストの僅かに左へ。
43分、右から小川に当てて、田中が入り込む。狭いところへと入る田中にパスが通るものの、東京DFの足がこれを弾いてしまい、チャンスをものにすることは出来なかった。
ロスタイム、右に上がる田中が、ゴール前で待ち構えるケネディを狙ったボールは大きすぎてしまい、頭上を抜けてラインを割ってしまった。
そして、前半は巻の挙げた1点を守って、名古屋がリードで試合を折り返す。
後半
後半は、エンドを変え、左から攻め上がる東京のボールで試合が再開。
両チームメンバー交代はなし。
1分、右で赤嶺にボールを奪われると、縦に繋がれ、カボレへと通されそうになるが、戻った田中が足下へと厳しいチェックを見せてこれを潰す。
2分、左のスペースへと出たボールをカボレに拾われると、逆サイドから飛び込む鈴木にパスを通されそうになるが、ここは吉田が体を入れて侵入を阻む。
3分、左からのCKのチャンス。小川のボールを遠いサイドのケネディが狙うが、これは逆サイドにこぼれ出る。ルーズになったところで、杉本が強引なシュートを見せたが、ミートすることは出来なかった。
6分、中央へと入り込む杉本からのスルーパスに、合わせるように逆サイドから小川が侵入するが、ここは東京DFの守備の網に掛かってしまう。
9分、左に抜け出す阿部の速めのクロスに、中央へ杉本、遠いサイドへケネディが走り込むが、触れることは出来なかった。
10分、名古屋1人目メンバー交代:吉村→津田。右からのCKのチャンス。しかし小川の入れたボールは大きく、逆サイドへと流れ出てしまう。
11分、東京1人目メンバー交代:カボレ→徳永
12分、自陣からのボールをケネディが縦に落とすと、これを津田が狙いに走るが、これは触ることが出来なかった。
14分、東京2人目メンバー交代:羽生→石川
15分、右に杉本が俊足を飛ばして持ち上がると、深いところでマイナスに折り返すが、これはゴール前へと選手が早めに詰めすぎたため、誰も触れず。
16分、左から鈴木が持ち込んでこようとするが、ここはバヤリッツァがしっかりと体を入れて、侵入を阻止する。
17分、名古屋2人目メンバー交代:杉本→田口
18分、左から長友が持ち上がってくるが、田中がしっかりと追い込んで、中への折り返しを許さなかった。
19分、バヤリッツァのミドルシュートが枠を襲うが、これはGKに弾き出されてしまう。
【得点】
20分、セットプレーからのボールを右で受けた阿部。ゴール前へと上げると、これを上がっていた吉田が頭で叩き込み、2点目を名古屋が挙げる。
21分、右に流れながらの小川のクロスを、中央でケネディが狙うが、これはその前でGKが抑えてしまう。
22分、右からの東京のCK。石川のボールは、ニアに詰めていたケネディがクリア。
24分、田中のボールをケネディが縦に送ると、これをダイレクトで巻がヘディングシュートに。しかし、これはクロスバーを越えてしまう。
25分、今度は田中からのボールを、巻がスペースに落とす。これを津田が狙うが、これはGKが押さえてしまった。
27分、中央からの鈴木の強引な左シュートは広野の頭上を越え、ゴールの遙か上へ。
28分、左からDFを引きはがして、ケネディが狙ったシュートは、DFに当たって弾かれてしまった。
29分、阿部の速めのクロスを巻が頭でスペースへと落とそうとするが、これは角度が悪く、そのままポストの右へ流れ出てしまう。
30分、上がっていた田口が、バヤリッツァからのパスを受けようとして高い位置で倒されるが、これは相手のファウルは認められず。
31分、東京陣内左中程でのFKのチャンス。小川のボールに、ケネディ、巻と飛び込むが、ゴールを挙げることは出来なかった。
32分、東京3人目メンバー交代:田邉→平山
34分、阿部からのロングボールを津田が落とすと、ケネディが軽くスペースへと流したところを巻が反応をみせるが、これは足下にボールが収まらず。
35分、自陣から田口が持ち上がると、ケネディに当ててそのまま縦へと突破を図るが、これはDFがカットしてしまった。
36分、ドリブル突破を見せる平山を、エリアのすぐ外やや右で倒し、東京に危険な位置でのFKを与えてしまう。これを鈴木が直接狙って蹴ってくるが、ボールに抑えが無く、大きくゴールを越える。
38分、名古屋3人目メンバー交代:山口→佐藤
左からの東京のCKのボールがこぼれたところをシュートを打たれるが、これはコースが変わったところを広野が正面で押さえる。
39分、左から阿部の入れたボールがこぼれたところをを、ケネディがシュートにいこうとするが、これはDFにクリアされる。
【失点】
40分、右に抜け出してきた石川の折り返しを、ゴール前に詰めてきた平山に流し込まれ、1点を東京に与えてしまう。
42分、右からゴール前へと入ったボールに、逆サイドから飛び込んだ阿部のヘディングシュートが枠を捕らえるが、これは東京GKに取り押さえられてしまう。
43分、バヤリッツァのボールを巻が縦に落とす。これを津田が狙うが、これは追い付くことが出来ず。
(ロスタイム表示:3分)
ロスタイム1、左で津田の落としたボールを阿部が鋭く放り込むが、誰も触れず。
ロスタイム2、小川が右から入れたクロスにケネディが走り込むが、その前でDFがクリア。
ロスタイム3、ゴール前でボールを拾ったケネディの左足シュートは、DFに弾かれてしまう。
そして諦めることなく、最後まで追加点を狙って東京を攻め立てた名古屋は2-1でこの試合を勝利で飾ったものの、第1戦との得点差の結果、FC東京の準決勝への勝ち上がりとなり、名古屋はナビスコカップの敗退が決まってしまった。
試合終了後記者会見
今日は本当に良いプレーが出来ていたと思います。そして試合にも勝ちましたが、とてもハードな内容のゲームでした。今日は第1戦の結果を踏まえたうえでの戦いとなり非常に難しいゲームでしたが、戦う気持ちを持ち、アグレッシブな戦いが出来ました。ただ試合には勝ちましたが、上のステージへ進むには十分な結果ではありませんでした。やはりアウェイゲームに1-5で負けた事が響いた結果となりました。
大量得点を決めなければならない試合、攻めきれなかったという印象もありますが?
試合開始からの10分で、しっかり相手にプレッシャーをかけて3点獲る事が出来れば良かったのですが、やはり先の試合での失点が響きました。2点獲ってからも3点目を獲る事ができると信じて戦いました。今日はチームとして纏まり、強い気持ちを出せたと思っています。3点目を獲る事ができればまた状況が変わったのですが、対戦相手のFC東京も良いチームですし、得点差もあるためしっかり守ってカウンターを狙っていました。そこで決めきれなかったのは我々の問題であります。ただ、ナビスコカップはこれで終わってしまいましたが、この後続くAFCチャンピオンズリーグとJリーグに焦点を絞って、しっかり戦いたいと思います。
ブルザノビッチ選手の加入が正式に決まりましたが、彼には今後、チームでどういうプレーを求めるのでしょうか?
チームとして現在良い方向へ向かっているため、彼にもこのペースに付いて来て欲しいと思います。今日の結果を見ても、グランパスとして良い戦いが出来ていますし、今後もチームとして良い方向へ進みたいと思います。
前半30分まではFC東京に決定的な場面も作られていましたが?
確かにチャンスを作られていました。グランパスの置かれている状況として第1戦を1-5で負けた事により、精神的なアドバンテージは1000%相手の方が有利でした。グランパスには4つゴールが必要だったのですが、FC東京としてはしっかり守ってカウンターを仕掛ければ良い、それが如実に出たのではないでしょうか。それでも、その時間帯以降は攻め続ける事ができたと思っています。
今日は選手達が本当に良いプレーを見せてくれたと思っています。前回の東京遠征、4日間で同じ相手に2敗してしまったわけですが、今日は選手達に絶対に負けるな、リベンジするチャンスだぞという話をしてきました。そして今日見せてくれた戦う気持ちを持ち続ければ、今後のJリーグに期待出来るのではないでしょうか。
バヤリッツァ選手が3ヶ月ぶりに戻ってきましたが、以前のパフォーマンスに戻っているとお考えでしょうか?
そうですね、カバーリングも良く、1対1の空中戦でも勝てていましたし、パフォーマンスは戻っていると考えています。バヤリッツァが戻り、センターバックに選択肢が増えるという事は良いニュースです。これまでチームプレーにも順応し、ハードワークもこなせていたため今日のスターティングメンバーに起用しました。その事に対し、プレーで応えてくれたと思っています。
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