試合前
午後5時25分、ガンバの選手達がピッチへと姿を見せると、豊田スタジアムの各所から猛烈なブーイングが沸き起こり、騒然とした雰囲気になる。そしてその余韻が醒めやらぬ中へ、今度は名古屋の選手達が登場。今度は大きな声援と惜しみない拍手が彼らに届けられ、熱戦の舞台の準備が整ったことを教えてくれる。
今日は第16節、強豪・ガンバ大阪が相手だ。連敗続きの名古屋にとっては厳しい相手だが、弱音を吐いている状況ではない。自分達の自信を取り戻すための相手として考えれば、最高の対戦相手と言えるだろう。
増川の出場停止と吉田の不在で、今回は若い佐藤と共にCBを努める竹内。これまでも幾度となく苦しい状況に立たされながらも、日頃から鍛錬を欠かさない彼の努力が結実する形で、チームの勝利に貢献してきただけに、今日もきっと最後まで"戦って"くれるはずだろう。
前節の鹿島戦は怪我から復帰の初戦・新潟での退場劇で出場を果たせなかったマギヌン。今日はその分を取り返そうと、いつもの陽気さは影を潜め、相当に気合の入った様子を見せて、ボールを蹴っている。ここまでなかなかチームに良い形で貢献できていない分を今日の試合の勝利でご破算に出来るほどの、活躍を見せて欲しい。
タッチ際で、ジュロヴスキーコーチから個別に入念なアドバイス受けていた阿部。その後すぐに、盛んに上下動を繰り返しながら、念入りにクロスの練習を行っている。ここ数試合、あまり彼らしさが発揮できない状況が続いているだけに、彼には、そのの豊富な運動量を生かして、多くのチャンスを創出して欲しい。
ピッチの上では、選手達が気持ちの入ったアップを行うすぐ後ろでは、「俺たちが力を貸すぞ!」と言わんばかりに、もはや試合中かと思うほど、タップリと気持ちのこもった応援を行う名古屋のサポーター。彼らと共に、今日の相手・G大阪を是非とも粉砕したいところだ。
午後5時48分、いつも通りピッチ横でスプリントを繰り返し、サポーターからのエネルギーを充分に蓄え終えた選手達は、気合い充分の表情でピッチを後にした。
前半
落ち着かない様子でキックオフを待っている名古屋サポーターの前に、フェアプレイフラッグが登場。その後、審判団を先頭に両チーム選手が入場すると、待ちかねたかのようにスタジアムの空気が熱さを増し始める。
この日の先発メンバーは、GKは我らが守護神・楢崎、DFは、右から田中・竹内、そして若い佐藤・阿部の4人。中盤は、中央に山口、やや前右寄りに小川、左に中村、FWは、中央にダヴィが高い位置に、その両脇を玉田とマギヌンがやや開いて入る。4-4-3の布陣だ。
右にエンドを取る、アウェイ・G大阪に対し、左から右へと攻め上がる名古屋。
前半はGガンバボールのキックオフでスタート。
1分、後方からダヴィに入ったボールが落ちたところを、中村が狙うが、DFがカット。
2分、中央ガンバ・二川のスルーパスにガンバ・レアンドロが中央を抜け出そうとするが、ここは竹内と佐藤がしっかりと挟み込む。
3分、ガンバ陣内深く、左寄りの位置でのFKのチャンス。小川のボールに遠いサイドに入り込む竹内だったが、その前に飛び出したGKのパンチングがボールを弾き出す。
5分、右でガンバ・佐々木の落としたボールを二川が鋭く入れてくるが、これはゴール前のレアンドロを通過して、タッチの外へ流れ出る。
6分、小川からの長いボールにダヴィが前を向いて走り出すが、これはオフサイド。
7分、中央でこぼれ球を拾ったダヴィが縦に送ると、中央へ中村が抜け出す。しかし、追い付く前にガンバGKが処理してしまう。
【失点】
8分、中央をスピードに乗って抜け出したレアンドロ。放ったシュートは、楢崎の頭上を抜けて枠を捕らえてしまう。
11分、マギヌンが左をボールを持って抜け出そうとするが、ガンバの選手の矢継ぎ早の厳しいチェックにボールを失ってしまう。
12分、左のマギヌンからのクロスボール。これを中央で中村がヘディングシュートを打つが、これは右に流れてしまう。
13分、右からのCKのチャンス。しかし、玉田のボールは力が入りすぎ、大きくゴールを越えてラインを割ってしまった。
14分、中央でダヴィの落としたボールを左のマギヌンが鋭く斜めに入れ、これに玉田が抜け出す。しかし、シュートへ持ち込む前にDFが追い付き、ボールを弾き出されてしまう。
15分、小川のパスを左で受けたマギヌン。斜めに入り込む中村にパスを送ろうとするが、これはDFの足が止めてしまう。
17分、中央でレアンドロにドリブルを許すと、左にフリーで待ち構えるガンバ・遠藤へパスを繋がれる。これをすぐにゴール前へ上げてくるが、これは精度を欠き、逆サイドへと大きく流れ出る。
18分、マギヌンが左タッチ際でキープを見せ、追い越す阿部にパス。これを左でゴール前へ入れるが、ダヴィには届かず。
19分、右でDFのボールを奪ったダヴィ。エリアの外から強烈な右足シュートを放つが、僅かに高く、クロスバーの上へ抜けてしまう。
21分、ガンバ陣内中央で中村のパスを受けて、前を向こうとしたマギヌンが倒されるが、これはファウルを貰うことは出来ず。
23分、左から持ち込んだマギヌンのパスを中央で受けたダヴィ。シュートに持ち込もうとしたが、足下への厳しい寄せに足を振り抜くことは出来なかった。
24分、右に持ち上がるガンバ・加持からのクロスボールはゴール前を大きく通過、そのままラインの外へ。
26分、山口の縦パスに玉田が前に仕掛けると、小川に当てて突破を図ろうとする。しかし、これは囲まれてしまい、ボールを奪われる。
27分、右からのガンバのCK。遠藤のボールは、中央でしっかりと弾き出す。
29分、自陣深くまで下がってボールを相手から奪った玉田。一気に持ち上がっていこうとするが、厳しいタックルに潰されてしまった。
30分、ゴール前を短くパスを繋いで入り込んできた遠藤がシュートを狙ってくる。ここは竹内が足下のボールをしっかりと抑えてクリア。
31分、阿部が送ったパスに、小川が縦に抜け出す。エリア内へと持ち込んだところで、中央に詰めるダヴィにパスを送るが、これは逆を衝いてしまい届かず。
32分、右からDFを1人かわして、ダヴィがシュートをエリアの外から放つが、 惜しくもポストの僅かに右。
34分、遠藤からの長いボールに抜け出そうとしたレアンドロだったが、ボールとの間に田中が上手く体を入れ、奪い取る。
35分、レアンドロへと入ったボールに、竹内が厳しいマークを見せると、互いに激しい接触を見せながらも、負けることなく竹内がボールを奪い取る。
36分、右からのマギヌンのミドルシュートが、相手に当たって左からのCKのチャンス。
37分、小川の蹴ったCKのボールは、DFがクリア。再度拾ったボールを繋ぎ、最後、小川がエリアの外からのシュート放つ。しかしが、今度はDFに当たってコースが変わったところをGKが押さえてしまう。
39分、左から玉田がキープしたところを寄せた小川が、パスを貰って入り込む。角度のないところでマイナスに折り返そうとしたが、これはDFが足を伸ばし跳ね返されてしまった。
40分、左から竹内のパスに玉田が抜け出そうとするが、エリア内でDFの厳しいマークに止められてしまった。
42分、ガンバ陣内中程右でのFKのチャンス。マギヌンが縦に出したボールを小川が戻すと、ゴール前へとマギヌンが放り込む。しかし、これは長すぎてしまい、誰にも触れることなくゴールラインを割ってしまった。
43分、右タッチ際、ガンバ陣内深くでルーズボールを拾うとする名古屋。マギヌンが体を入れて落としたところを、前で中村が拾うが、これはオフサイドに。
44分、自陣左でのガンバのFK。遠藤がゴール前へ入れたボールは、佐藤が頭で弾き出す。
(ロスタイム2分)
ロスタイム1、左からドリブルでエリア内へと持ち込んだダヴィがガンバGKに倒され、PKのチャンスを得る。
【得点】
ロスタイム2、このPKのチャンスをダヴィ自らが落ち着いてゴール左に沈め、名古屋は同点に追い付く。
そして、ダヴィの同点ゴールの興奮が冷めやらぬ中、主審の両手と笛が前半終了を伝えた。
後半
エンド入れ替わり、後半は右から左へと攻め上がる名古屋のボールで後半がスタート。
1分、自陣から竹内の送った縦パスに、右をダヴィが抜け出そうとするが、DFに前を阻まれてしまう。
2分、左から阿部の入れたボールを、玉田がワンタッチでエリアに送る。これに小川が入り込むが、エリア内でDFに足を掛けられ倒されてしまうが、今度は相手のファウルにはならず。
4分、右からマギヌンが持ち込んでいこうとするが、ここは厳しいマークにボールを失ってしまった。
5分、右からガンバ・佐々木が鋭いボールを流し込んでくるが、しっかりとコースに体を入れた佐藤がこれを跳ね返す。
7分、右から阿部を抜き去ろうとした佐々木だったが、しっかりと体を寄せてミスを誘い、ゴール前へのクロスを許さなかった。
10分、中央をドリブルでガンバ・明神が持ち上がってくるが、最後は竹内が足下への厳しいチェックを見せ、ボールを奪い取った。
11分、右からマギヌンのボールを受けた玉田が深く入り込むと、中へと折り返す。このボールに飛び込んだ中村がワンタッチで押し込もうとしたが、ここはガンバGKの好セーブに阻まれてしまい、惜しくもこのチャンスを決められなかった。
14分、中央でパスを受けて前を向こうとしたレアンドロだったが、山口がしっかりと体を入れてボールを奪う。
15分、右の加持からの鋭いボールに、ニアサイドへ入り込んだレアンドロ。コースを変えたヘディングシュートを放つが、これはポストの左。
16分、ガンバのペナルティエリアすぐ右外でダヴィが倒され、絶好の位置でのFKのチャンス。これを玉田が蹴るが、壁に大きく跳ね返されてしまった。
17分、左に入り込んだ遠藤へとパスを通されると、これを斜めにゴール前へ横切るパスでレアンドロへと渡そうとするが、先に反応を見せた阿部が弾き出す。
18分、中央でボールを持った遠藤のミドルシュートは、ゴール右へ流れ出る。
19分、楢崎からのロングフィードをダヴィが頭で縦に送ったところを、玉田が詰めるが、追い付く前にガンバGKが押さえてしまう。
21分、右にフリーで待ち構える玉田に、阿部が大きくサイドを変えたボールを蹴るが、これは長すぎてしまい、タッチを割った。相手DFのミスを奪ったマギヌンが、エリアの外から強烈なミドルシュートを放つと、これが枠を捕らえるが、ガンバGKの指に当たってコースを変えられ、ポストを叩いてしまう。
23分、マギヌンからの縦パスをスペースで受けたダヴィ。しかし、これに寄せる小川が追い付く前にボールを奪われてしまう。
24分、右の佐々木からのクロスを遠藤がスルー、中央で待つレアンドロがダイレクトで合わせるが、ボールは大きくゴールを越える。
25分、右で田中のパスを受けた玉田。大きく左に上がるダヴィへと送るが、これは長すぎてしまった。
26分、ガンバ1人目メンバー交代:佐々木→ルーカス
27分、右の遠藤からのゴール前へと入ったクロスは、佐藤が頭で弾き出す。
28分、マギヌンからの縦パスをゴール正面で受けたダヴィ。ワンタッチで右に落とすと、右足からのシュートを放つが、これは勢いが弱く、ガンバGKに抑えられてしまった。
30分、ガンバ2人目メンバー交代:明神→播戸
31分、裏へと抜け出した玉田の左からのシュートは枠を捕らえられず、ポストの左。
32分、右からのガンバのCK。遠藤の入れたボールがこぼれ出たところを、ガンバ・下平が左足でミドルシュートを放ってくるが、これはクロスバーの上へ。
33分、名古屋1人目メンバー交代:山口→吉村
ガンバの左からのCK。遠藤のボールは、ニアのダヴィが跳ね返す。
34分、橋本からの縦パスに抜け出した播戸。ヘディングシュートを狙ってくるが、これは大きく左に流れる。
36分、相手ボールを小川が奪って右に展開すると、これをマギヌンが受け、そのまま持ち上がる。中で3人の選手が入り込んでいったが、マギヌンは自らのシュートを選択、しかし、これは相手に当たって、コースが勢いが無くなったところをGKに押さえられてしまった。
38分、右からマギヌンが入れたボールがこぼれたところを小川が詰めるが、シュートに持ち込む前にDFに掻き出されてしまった。
39分、中央を玉田が勢い良く持ち上がろうとするが、コースを阻むDFに止められてしまう。
40分、ガンバ3人目メンバー交代:二川→宇佐見
名古屋2人目メンバー交代:マギヌン→杉本
41分、自陣中程右でのガンバのFK。遠藤のボールがゴール前へと飛んでくるが、竹内がしっかりと体を入れ、左足で弾き出す。
42分、カウンターで中央に抜け出した小川からのパス。これを左で受けた玉田が深い位置まで持ち込むと、シュートを放つが、これはGKの正面を衝く。更にこぼれたところを小川が押し込もうとしたが、伸ばした足には僅かに届かず。
44分、右に飛び出した播戸からの折り返しを、ニアサイドでレアンドロが流し込もうと狙ってくるが、ここは楢崎が体を張って飛び込み、このボールを押さえる。
(ロスタイム3分)
ロスタイム1、名古屋3人目メンバー交代:玉田→巻
ロスタイム2、右からのCKのチャンス。小川のボールに、ニアに飛び込んだ竹内のヘディングシュートは、ポストの僅かに左。
【得点】
ロスタイム3、DFのバックパスを戻そうとしたガンバGK。このボールが小さくなったところを、巻が逃さずこれを奪うと、そのまま右足で無人ゴールへと流し込み、ついに89分目にして、名古屋がガンバを逆転するゴールが決まる。
そして、最後まで諦めることなくハードワークを続けた名古屋が残り時間を逃げ切り、久し振りの勝利、更には久し振りの勝ち点3を、見事、サポーターの前で手に入れた。
試合終了後監督会見
今日はとてもエキサイティングでワクワクするような、面白いゲームでした。後半ロスタイムに起きた事は私にとっても驚きでしたが、重要な事は、我々が勝ったという事実です。多くの選手が欠けている状況で強いガンバに勝った事を喜ばしく思います。
1失点はしましたが、竹内選手と佐藤選手という経験の少ない組み合わせとなったセンターバックについての感想をお聞かせください。
失点シーンだけが問題だったと思いますが、それ以外のシーンでは問題なくプレーが出来ていました。序盤はディフェンスラインに100%チームに参加すすることが出来ていない感触でしたが、特に佐藤は経験が少ない中、良いプレーを見せてくれたと思います。私としても満足していますし、彼をセンターバックで起用した事に応えてくれ嬉しく思います。
今日は中盤を3人で守り、ボールを奪ってからはサイドの玉田、マギヌン選手へ繋ぐプレーに徹していましたが、今後もこの戦い方を採用されるのでしょうか?
今日は我々にとって特別なゲームでした。我々はリーグ戦4連敗中のため、とても重要なゲームでした。今日は監督同士としても戦術と戦術、そしてアイディアの戦いでもありました。
今日は中盤を3人で守り、さらにサイドの玉田、マギヌンもしっかりと守備で貢献してくれました。今日は戦術がしっかりとフィットしましたし、ガンバ大阪もエネルギーを使い果たしたのではないかと思います。そしてグランパスは守備から攻撃への切り替えも早く、素晴らしいプレーを見せてくれました。ガンバ大阪もテクニックがあり素晴らしいプレーをするチームですが、そのようなチームと戦うために今日の様な戦い方をしました。4-3-3という形で試合を始めたのですが、今日の戦いには満足しています。
しかしながら最後の15分間はガンバ大阪がしっかりとキープし、我々グランパスとしても危機的な状況に追い込まれていました。それでもグランパスもそのガンバ大阪に対抗し、勝利に値するプレーをしたと思います。
チーム内でも最も戦う気持ちを持っていると話される巻選手が最後にゴールを決めました。彼のゴールについて感想をお聞かせ下さい。
巻は前線でプレーする選手ですし、ダヴィを助ける意図もあって投入しました。彼には、前線でしっかりプレーして得点を決めて来いと指示を出してピッチへと送り出しました。
試合前には、今日は巻をセンターバックで起用してはという話もあったのですが、やはり私としては前線でプレーさせました。それに巻も応えてくれ、嬉しく思います。
今日のグランパスには決定力がありました。今シーズン、開幕前に"Never give up for the win"というスローガンをチームとして掲げましたが、今日はまさに「最後まで諦めない」気持ちを持って戦ってくれたと思います。CKから竹内の惜しいヘディングがあったりとチャンスは他にもありましたが、今日は素晴らしいゲームだったと思います。
巻選手のセンターバックについては、だれと話されたのでしょうか?
巻は大学までセンターバックでもプレーしているから、チームのスタッフと話をしました。しかしながら、それは昔の事でもうプレーを忘れているのではないかと思い、前線でプレーさせました(笑)。
今日は我々の精神的な強さが見れたと思います。今日の選手達は、悪い流れを断ち切るんだと言う強い気持ちを持ってプレーしていました。もしこの戦いで負けていたとしても、その場合は相手を祝福する事になったと思います。
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