試合前
スタンドレベルでは風が吹き、涼しさも感じられるようになってきた東北電力ビッグスワンスタジアム。しかしながらピッチレベルでは、コーナーフラッグもほとんど揺れる事無く、湿度の高い空気が漂っているのではないだろうか。
そんなビッグスワン特有の空気の中、午後3時20分、フィールドプレーヤーに先立ちゴールキーパーがウォームアップのためピッチへと姿を現す。すると名古屋サポーター席には、この試合でJリーグ通算400試合出場を果たす楢崎へ「400試合ありがとう、俺たちの守護神」と書かれた横断幕と力強いプレー姿が描かれた巨大フラッグが出現し、サポーターから盛大な「楢崎」コールが沸き起こった。
3時25分にはフィールドプレーヤ達がピッチへと姿を現す。4月にアウェイで行われたACL:ニューカッスル戦で右膝を負傷したマギヌンも、ついにこの試合からスターティングメンバーとして復帰を果たす事となった。前節:千葉戦には出場停止のため出られなかった小川とともに「ミッドフィールド」の選手として、サイドからのアタッキングはもちろん、上下の運動やボールの繋ぎ役としてグランパスらしい戦いを見せてくれる事に期待したい。
そして400回目のゴールマウスを護る楢崎。Jリーグ史上4人目となる記録達成と、さらにこの試合には100試合完封というJリーグ初となる記録もかかるが、試合前のウォームアップでも特に気負う様子はなく、いつも通りの自然体で名古屋のゴールに鍵をかけてくれるはずだ。
高い湿度の中でしっかりと汗を流しウォームアップを済ませた選手達は、午後3時50分、これから始まる戦いに向けベンチへと姿を消した。
前半
メインスタンド背後から西日の差し込む東北電力ビッグスワンスタジアムに、両チームの選手が姿を現す。新潟ゴール裏からはアルビレックスサポーターによる「Can't Help Falling in Love」が、そして名古屋ゴール裏からは「名古屋グランパス!」コールが響き、一気にスタジアムのボルテージが上がる。
この日の名古屋はゴールキーパーに、Jリーグ通算400試合出場を達成した楢崎。ディフェンスラインは右から田中、吉田、増川、阿部の4人。中盤は小川、中村、吉村、そして怪我から2ヶ月ぶりの復帰となるマギヌン。フォワードは玉田とダヴィによる4-4-2のシステムで試合を始める。
メインスタンドから向かって右にエンドを取ったグランパスのボールで、前半はキックオフ。
開始早々、右サイドでダヴィが倒されFKを得る。ここから玉田が左足でゴール前へとボールを送るが、新潟DFがクリア。さらにCKから再度、玉田がゴール前へ上げるが、クリアされてしまう。
2分、今度はダヴィが左サイドで相手DFを背負った状態から倒され、ゴールまで約35mの位置でFKを獲得。これを小川が右足で直接狙うが、相手GKがキャッチ。
4分、中央でダヴィからのボールを受け、右サイドへフリーで上がる田中へとパスを狙うが、僅かに合わずサイドラインを割る。
5分、新潟:ペドロ・ジュニオールにドリブルで持ち込まれると、エリア手前から右足でシュートを打たれる。するとこのボールがポストに当たり、跳ね返りを新潟:松下に押し込まれ、新潟にとって最初のプレーで先制点を与えてしまう。
7分、左サイドで阿部、小川、玉田とボールを繋ぎエリア内への侵入を図るが、新潟DFにボールをカットされる。
8分、田中からの縦パスに、右サイドを抜け出したマギヌン。細かなシザース・フェイントで勝負を仕掛けるが、DFにカットされてしまう。
10分、右サイドでドリブルを仕掛けた田中がボールを奪われ、逆にカウンターのピンチを迎えるが、すぐに戻った中村が対応し奪い返す。
12分、増川からの縦パスを受けた左サイドの小川がドリブルを仕掛けるが、新潟DFにクリアされる。
14分、右サイドで田中からのパスを受けたマギヌンが、中を向いてボールを持ち替え、左足でクロス。このボールにファーサイドのダヴィが頭で合わせるが、GKにキャッチされる。
キックオフからポゼッション、パス回しともに順調な滑り出しをみせたグランパスだが、要注意のペドロ・ジュニオールのドリブル突破からまさかの失点を喫してしまった。しかし、まだ試合は始まったばかり。まずは早い時間帯に同点に追いつきたい。
16分、吉田が相手選手を倒し、FKを与える。ここから名古屋ゴール前へ際どいボールを上げられるが、名古屋DFが頭でクリアする。
18分、新潟・内田に左サイドを割られると、そのまま中央へ速いクロスを送られる。このボールをファーサイドで松下に合わせられるが、精度が悪く大きく枠を外れる。
20分、中盤でインターセプトした中村から、前線の玉田へ。さらに、左から上がるダヴィへとスルーパスが通るが、相手DFに体を寄せられ、シュートは枠を外れる。
21分、右サイド小川からのクロスにダヴィが飛び込むが、先ににいがたDFがこれをクリア。これで得たCKからの跳ね返りを玉田がドリブルで持ち込むが、またもクリアされる。
23分、またも新潟:ペドロに単独でのドリブル突破を仕掛けられるが、中村と吉田がしっかりと挟み込み、これを止める。
25分、右サイドからドリブルで上がった小川。中央へとクロスを上げるが、これはファーサイドへと流れる。
26分、中盤からの縦パスを受けたダヴィの落としたボールに玉田が詰め、右足でゴールネットを揺らすが、なんとこの前のダヴィのプレーでファールを取られ、ゴールは取り消されてしまう。
27分、ハーフライン付近でもみ合ったマギヌンが相手選手を倒し、この時間帯でこの日2枚目のイエローカードを受けてしまい、退場となる。
29分、中盤でボールを回す新潟に、逆サイドをつかれるが、吉田が足を出してボールをカットし、中村が大きく外へと蹴り出す。
1点を追う展開で、1人欠け苦しい展開となったグランパス。玉田がそのままマギヌンの位置に入り、ダヴィの1トップで堪えながら、なんととしてもゴールを決めたい。
32分、新潟に左サイドでボールをキープされると、最後は内田にループシュートを狙われるが、楢崎が余裕でキャッチ。
33分、中村のカットから阿部、さらに中央の玉田へと素早くボールを繋ぐ。しかし玉田のダイレクトプレーに反応した小川へのボールは合わず、相手DFにクリアされてしまう。
35分、新潟に中盤から縦パス1本を狙われるが、これは名古屋DFがラインを上げ、オフサイドの判定。
37分、新潟:松下、ペドロと2人でボールを回されるが、吉村がカット。ここから右サイドの小川へとボールが渡り、中へと仕掛けてシュートを放つが、これは力が無く相手GKの正面へ。
38分、左サイドからクロスを上げられ、名古屋ゴール前で新潟:大島にバイシクルシュートを打たれるが、これは枠の外へ。
40分、右サイドボールを受けたダヴィからのクロスに玉田が足を伸ばすが、相手GKに先にキャッチされてしまう。
41分、右サイドから仕掛けて得たCKを、玉田が左足でゴール前へ上げる。しかしこれは相手GKがキャッチ。
42分、ハーフライン付近でボールを受けた玉田が、1人で相手エリア内まで持ち込み、CKを得る。これを小川が右足で上げるが、ボールは低くクリアされてしまう。
43分、新潟:ペドロからのスルーパスに反応した松下に、エリア内でフリーでのシュートを打たれ、この日2点目のゴールを与えてしまう。
(ロスタイム表示3分)
ロスタイム1分、阿部、吉村、中村とボールを繋ぎビルドアップすると、右サイドの田中へ。ここから縦へと仕掛けクロスを上げるが、このボールは直接ゴールラインを割る。
ロスタイム2分、玉田の落としたボールを受けた吉村が、今度は左の阿部へ。これを阿部が中央へと折り返すが、相手GKがキャッチ。
ロスタイム3分、ハーフライン付近で小川が、新潟:内田に背面からのタックルを受け、FKを得る。このボールを前線で受けたダヴィが、玉田へと折り返しを狙うが、僅かに合わず相手DFにカットされる。
ここで前半終了。
開始早々の失点、さらに早い時間帯での退場による数的不利など苦しい展開となったグランパス。しかしながらボールポゼッションやサイドからの仕掛けなど、まだまだ得点チャンスもあるだけに、後半の巻き返しに期待したい。
後半
15分のインターバルを終え、ピッチに再び姿を現した選手達。数的不利に臆する事無く、まずは1点を返し反撃体勢を整えたい。
名古屋1人目交代:阿部→竹内
ストイコビッチ監督は後半の頭から、竹内をそのまま左サイドバックの位置にいれ、前半何度か破られた左サイドの守備を強化してきた。
1分、右サイド田中からの折り返しを中村がミドルで狙うが、相手DFに触れ、CKとなる。これを小川が右足で蹴るが、誰も触れることが出来ずゴールラインを割る。
4分、新潟:松下にゴール前へスルーパスを狙われるが、このボールは長く、楢崎がキャッチ。
5分、またも新潟に攻め込まれると、混戦からペドロにシュートを打たれるが、吉田が体ごと当ててクリアする。
6分、相手CKをクリアすると、そのまま竹内が右サイドを上がる。中村を経由して、再度ボールを受けた竹内が中央のダヴィへ狙うが、これはオフサイドの判定に。
8分、新潟左サイドからのFK。中央の混戦でダヴィが空振りしたボールに新潟:大島が寄せ、絶体絶命のピンチを迎えるが、楢崎が反応しこのボールをクリアする。
9分、左サイドを上がった玉田、小川とボールを繋ぎ、中央へ折り返すが、これはダヴィがオフサイドを取られてしまう。
11分、中村からのパスを受けたダヴィ。単独でドリブル突破を図るが、相手との交錯でファールを取られてしまう。
13分、ドリブルを仕掛ける田中が、新潟:松下に後ろから倒され、FKを得る。これを玉田がゴール前へ送ると、上がっていた吉田が体を伸ばしヘディングで狙うが、僅かに届かずゴールラインを割る。
14分、玉田が左サイドから仕掛け、CKを得る。しかし小川の蹴ったボールは相手GKがクリア。
16分、玉田、中村、小川とダイレクトでパスを回し、最後は相手エリア内へ侵入した玉田へとパスが渡るが、このボールが足に付かずゴールラインを割ってしまう。
17分、ハーフライン付近で、吉田が相手のパスをカット。そのまま中村へ預け、攻め上がろうとするが、ここで相手にもカットされてしまう。
18分、新潟:マルシオからのスルーパスに反応したペドロに、エリア内でフリーでシュートを打たせてしまうが、枠の左へ。危ないシーンだった。
19分、今度は新潟:矢野にドリブルでエリア内へ持ち込まれるが、増川がクリア。
20分、ゴール前左でダヴィが粘り、戻したボールを小川がシュート。しかし、このボールは相手DFに当たり、枠を捉えることが出来なかった。
22分、新潟:矢野がキープするボールを増川が力強く奪うと、そのままカウンターへ。最後は右サイドで玉田が仕掛けるが、相手DFにクリアされてしまう。
名古屋2人目交代:中村→山口
23分、中央でボールを受けた吉村。左の小川へとボールを展開するが、カットされてしまう。
24分、新潟右サイドからのアーリークロスは、楢崎が飛び出し、しっかりとキャッチ。
25分、右サイドから強引なドリブルで、相手DFを振り切ったダヴィ。トゥキック気味にシュートを放つが、枠を外してしまう。
26分、新潟:ペドロにドリブルで持ち込まれるが、吉田がなんとか反応し、クリアする。
名古屋3人目交代:田中→杉本
ここでストイコビッチ監督は、ディフェンスラインを3バックとし、スピードのある杉本を右サイドへと投入してきた。
27分、新潟:ペドロのドリブルへのクリアを松下にミドルシュートで狙われるが、精度が低く枠の外へ。
28分、今度はカウンターから新潟:矢野のドリブル、シュートを打たれるが、楢崎がしっかりと正面でキャッチ。
29分、右サイド杉本からのクロスをファーサイドで受けた小川。エリア内で1人をかわし、左に持ち替えてシュートを放つが、体を寄せたDFに当ててしまう。
ゴールを狙い攻めるグランパスに対し、明確なカウンター狙いでチャンスを作る新潟。これ以上の失点には注意しながら、なんとしてもゴールを決めて欲しい。
32分、右サイド杉本からのクロス。これにダヴィが頭で合わせようとするが、相手DFに体を当てられ、しっかりミートする事はできなかった。
新潟2人目交代:大島→曹
34分、新潟:曹に左サイドからクロスを上げられるが、楢崎がキャッチ。
35分、新潟:マルシオのスルーパスに、またもエリア内でペドロに抜け出されるが、楢崎が飛び出し、しっかりとボールをキャッチ。
37分、新潟GK:北野がエリア内で遅延行為をとられ、間接FKを得る。ここで新潟は10枚の壁をつくり、名古屋としてはシュートまだ持ち込む事も出来なかった。
39分、相手ゴールキックをカットした吉田が、左サイドの小川に預け、そのままゴール前に。ここへ小川のリターンパスが戻るが、ボールは僅かに高くヘディングでジャストミートする事ができず。
40分、新潟ペナルティエリア手前で、ダヴィが相手選手と交錯するが、ここはダヴィのファールを取られてしまう。
41分、右サイドでボールを受けた杉本が、スピードで仕掛けるが、相手DFにボールをクリアされてしまう。
42分、ディフェンスラインから持ち上がった増川が、左サイドの玉田へ。ここからち中央へと仕掛けるが、クリアされてしまう。
43分、中盤からのパスを受けたダヴィが粘り、マイナス方向の杉本へ。これを杉本が中央へと折り返すが、ボールが高く流れてしまう。
44分、またも右サイドから杉本が中央へ速いクロス。このボールに玉田が飛び込むが、僅かに合わせられずボールは流れてしまう。
(ロスタイム表示4分)
ロスタイム1分、玉田の仕掛けから得たCKは、相手DFがクリア。
新潟3人目交代:ペドロ→田中(亜)
ロスタイム2分、新潟:矢野にドリブルで仕掛けられるが、最後の1歩が長く、そのままゴールラインを割る。
ロスタイム3分、中盤でジリジリとボールを回す新潟に対し、吉村がインターセプトを狙う。ここでボールを奪う事は出来なかったが、相手選手の肘が入りFKを得る。
ロスタイム4分、ダヴィからボールを受けた玉田。相手DFと交錯し倒れかけるが、粘りオフサイドラインギリギリで待つ杉本へ絶妙なスルーパス。このボールを受けた杉本が相手GKの位置をしっかり見極め、ゴールへとボールを流し込む。
その後のキックオフでもボールを奪った名古屋。左サイドから小川がクロスを上げるが、ファーサイドにいた杉本の頭に届かずボールは流れてしまう。
そしてここで試合終了。
前半早々の失点、さらに退場による数的不利で戦った名古屋。最後、杉本が意地のゴールで1点を返したが、上位争いに残るためにも負けられない戦い、アウェイで厳しい敗戦を喫してしまった。
試合終了後記者会見
今日の結果にはがっかりしています。我々としても、今日の試合で得たい物が多くありました。本当に、内容面でも難しいゲームでしたがが、なぜこうなったかは、みなさんもご存知かと思います。それでも後半は選手が強い部分を出し、最後まで諦めず戦った事は祝福したいと思います。
現在、勝ち点19という状態から長い間、勝ち点を積み上げる事が出来ていません。私にとってこの「勝ち点19」という数字は、アンラッキーな数字なのかもしれません。
Jリーグでの優勝争いは厳しい状況となりましたが、今後、目標を変更する事はあるのでしょうか?
現在、首位のチームとどのくらい勝ち点が離れているのか正確にはわかりませんが、正直に現在の状況を話しますと、Jリーグのタイトル争いからは後退しています。ACLの方ではここまで良い結果を出せていますが、もちろん今後のJリーグも集中してベストを尽くします。
今日のチームのコンディションを見ていても、難しい状況でした。しっかりとプレーをしていましたが、新潟は現在チームとしてしっかりフィットしていますし、しかも新潟のホームという事でサポーターも彼らをしっかりと支えています。とても難しい状況での試合でした。
ただ今日は、選手達がとても良く戦ってくれました。どちらが10人で戦っているのか分からない内容だったと思います。10人でしっかりと守備をする時間帯もありましたし、後半は3トップとして戦いました。しかし、得点が遠いゲームでもありました。
怪我から戻ったマギヌン選手が前半20分で退場してしまいました。これはチームにとっても大きな影響を与えたのではないでしょうか?
そうですね、あの時間帯に退場してしまう事は、チームにとっても大きな痛手となりました。マギヌンは、感情的な部分をコントロールする必要がありました。 今朝、マギヌンと話をし、スタメンで戦えるかという話をし、フィットしていると判断した上で出場させたのですが、こういう結果となってしまいました。
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