試合前
午後2時30分、試合開始まで30分を残し、気持ちに余裕があるのか、ホーム・磐田のスタンドには空席が目立っている。しかし、名古屋から押し寄せたサポーターでアウェイのスタンドは真っ赤に染まり、つい先ほどからアップを始めた名古屋の選手達に向け、迫力たっぷりの声援を送り届けている。
試合開始に向け、上空も明るさを取り戻し始め、心配された天候も快方へと向かい、キックオフに向けて良い準備をしてくれそうだ。
ハーフコートを目一杯使って対人でボールを蹴り合う選手達の表情からは、"今節は勝つ!"言う強い気迫が伺え、サポーターの力強い声援と相まって、良い意味で高い緊張感が溢れている。ダヴィと共にFWの一翼を担う巻も元気一杯だ。ここへ来て出場時間も増え、徐々に結果も出始め、気持ち良くサッカーをしている事が分かるようになってきているだけに、ダヴィ頼みに偏重気味の攻撃のバリエーションを増やす役割をしっかりと果たして欲しいところだ。
熱い声援を送るサポーターの目の前で、黙々と外からのボールを捕らえている楢崎。この後には、代表戦が控えているだけに、気持ち良くチームを離れたいはず。AFCチャンピオンズリーグ・北京戦は遠征に帯同せず、休養も充分取り、正に満を持しての今日の磐田戦。新旧代表正GK対決となる今日の試合は、意地でも負けたくないところ。
日差しが注ぎ始めると共に、気温が上がり始め、スタジアムの雰囲気もヒートアップし始めた。間もなく始まる熱戦に向け、満員へと埋まり始めた両チームサポーターの熱い声援を背に、2時45分、臨戦態勢の準備を整えた名古屋の選手達はゆっくりとした足取りでロッカーへと消えていった。
前半
試合開始1時間ほど前まではドンヨリと雲が上空を覆っていたヤマハスタジアムだったが、午後3時のキックオフに向け、一気に天候が快方へと向かい、時折雲間から日差しが降り注ぐようになる。
そして午後3時、両チームメンバーが入場、立錐の余地すらないほどにサポーターで埋め尽くされた満員のスタンドが、大いに盛り上がりを見せ始める。
この日の先発メンバーは、GK我らが守護神・楢崎、DFは右から、竹内・吉田・増川・阿部の4バック。中盤は、右に中村、左が小川、中央は山口と吉村が並ぶ。FWはダヴィと巻。4-4-2の布陣でスタートだ。 試合は右にエンドを取って攻め上がる名古屋のキックオフでスタート。
2分、中央でボールを持った磐田・山本(康)からのスルーパス。これに右から磐田・西が抜け出してくるが、阿部がしっかりとこれについていき、エリア内で潰す。
3分、吉田からのDFの裏へのロングボールは、ダヴィが追い付くことが出来ない。
4分、左からの磐田のCK。磐田・上田のボールはしっかりと弾く。
5分、磐田陣内右でのFKのチャンス。小川の好ボールに、吉田がヘディングシュートを放つが、枠の僅かに上。
6分、中央で磐田・イ グノの落としたボールを、磐田・ジウシーニョがミドルシュート。しかしこれは大きくゴールを越える。
7分、右で竹内が上がるタイミングに中村がパスを送ろうとするが、これはDFに奪われてしまった。
9分、楢崎のロングボールを巻がDFと競り合って落としたところで、山口がワンタッチで丁寧に送ろうとするが、これはDFに阻まれてしまった。
11分、中央で巻が競り合って落としたボールを、ダヴィがスペースへと送って、中村がこれを持ち上がろうとする。しかし、ここはDFの早い対応に中へと入れる前にラインを割ってしまう。
13分、磐田陣内右深くのでのスローインがこぼれたところを、中村がシュートを狙うが、トラップしたところをDFが寄せ、ボールを蹴り出してしまう。
14分、左からのCKのチャンス。小川のボールにニアで増川、中央で巻が飛び込むが、磐田GK・川口がパンチングで弾き出してしまった。
16分、右で竹内がジウシーニョにボールを奪われると、これを前に運んでDFの裏を狙ってくる。しかし、ここは楢崎が前へと出て、磐田の選手が走り込む前で取り押さえる。
18分、右でボールを受けて前を向いた山口。早めに中へと入れていこうとするが、ここは磐田DFの早い詰めに弾かれてしまった。
19分、右からのCKのチャンス。小川のボールを、中央で巻がヘディングシュート。しかし、ここはDFが厳しく体を寄せていたため、枠の中へと叩き込むことが出来ず、バーを越えてしまった。
20分、右からのCKのチャンス。小川のボールは中央で弾かれてしまう。更にこのこぼれ球を竹内が落として、阿部が中へと入れる。ダヴィが頭でゴール前へと折り返すが、誰も詰めることが出来ず、磐田DFがクリアしてしまった。
22分、自陣中程左での磐田のFK。磐田・駒野のボールがGK楢崎の前に落ちるが、大きく弾んでボールはゴールを越えていった。
23分、左から阿部が鋭く入れたボールがこぼれたところを、山口がシュート。これはDFに当たってコースが変わってしまった。
24分、右からの磐田のCK。駒野のボールを中央で磐田・犬塚が頭で合わせてくるが、ボールはクロスバーの上へ。
26分、右からの磐田のCK。駒野のボールをファーポストの前田がヘディングシュート。しかし、これはポストの左へ。
27分、中央で上がってきた磐田・山本(脩)のボールを、イ・グノがワンタッチでスペースへと出してくるが、ここは楢崎が先にボールに詰め、縦に蹴り出す。
30分、左からの磐田のCK。上田のボールにファーポストの磐田・那須が頭で狙ってくるが、ボールは大きくゴールを越えていった。
31分、左からイ・グノの入れたボールがこぼれたところを拾った前田に、エリアのすぐ外で拾われると、シュートを打たれるが、これは増川が体を張って弾き出す。
34分、左で個人技を見せて阿部がDFをかわすと、寄せてきた吉村に預ける。これを前が空いたところを見逃さず、右足で強烈なミドルシュートを打つが、ボールは流れポストの右へ。
35分、中央を磐田・前田にフリーでのドリブルの攻め上がりを許してしまう。しかし、エリアのすぐ外からのシュートは楢崎の正面。
磐田1人目メンバー交代:山本(康)→成岡
37分、右からのCKのチャンス。小川のボールに吉田が頭から入り込むが、DFの激しい寄せにボールを強打することは出来なかった。
39分、左から阿部の低い弾道のクロスが、ゴール前と入る。中央でダヴィ、ファーポストで巻が走り込むと、ワンタッチで合わせた巻のボールが磐田ゴールを襲ったかと思われたが、僅かに右に。
40分、右深くでダヴィがキープしたところへ、ニアサイドに巻が走り込んでシュートを放つ。しかし、惜しくも磐田GKの正面を衝いてしまう。
43分、左寄り、エリアのすぐ外でボールを拾ったジウシーニョ。右足でコントロールしたシュートを放ってくるが、これはポスト右へ。
(ロスタイム表示:2分)
ロスタイム1、中央を上がってきた前田のシュートは増川の体に当たって、左からの磐田のCKになるが、しっかりとゴール前で弾き出す。
ロスタイム2、左を抜け出してきた磐田・上田のクロスは阿部がクリア。
そして前半は一進一退の状況が続き、拮抗した内容を見せながらも、両チーム共に無得点、0-0で終了する。
後半
エンド入れ替わり、後半は左から右へと攻め上がる名古屋に対し、右にエンドを取る磐田のボールで試合が再開。
3分、右から中村の入れたボールをダヴィがトラップ、DFを離して前を向こうとするが、ボールが流れたところを奪われてしまった。
4分、右で吉田が縦に出したボールを、巻が落とす。これを中村が、DFの足下を抜いたボールで、ダヴィを走らそうとするが、これはDFの足に捕まってしまう。
6分、自陣中央でキープを見せたイ・グノからボールを奪い取った吉田。縦に送って、これにダヴィが反応を見せるが、飛び出したGKに押さえられてしまう。
8分、左から長い距離を上がってスペースへと出たボールを、ジウシーニョが拾い、ニアサイドへとボールを折り返す。これに2列目から磐田・上田がニアサイドに飛び込んでくるが、ダイレクトで合わせたボールはポストの左。
9分、右でボールを持ったダヴィが縦に勝負を仕掛けるが、マークのDFをかわしきれず、強引に折り返そうとした時はゴールラインの外。
10分、名古屋1人目メンバー交代:中村→玉田
12分、右に抜け出す駒野へとパスを通されるが、駒野のゴール前を狙ったボールは、増川が頭で弾き出す。
13分、右に抜け出す竹内に小川からパスが出ると、これを丁寧にゴール前へと上げる。ダヴィと巻がこれに飛び込むが、触ることは出来なかった。
15分、左から阿部の上げたクロスを、中央で巻がヘディングシュート。しっかりと叩いたボールだったが、ポストの僅かに左。
17分、左からのCKのチャンス。小川のボールを、中央で吉田がタイミング良く飛び込むが、触ることは出来ず。
18分、左に流れながら山口の入れたクロスに、ダヴィが飛び込むが、僅かに頭の上を抜けてしまう。
20分、右に上がる竹内に吉村からのパスが通るが、ジウシーニョが寄せてカットされてしまった。
21分、名古屋2人目メンバー交代:竹内→田中
磐田2人目メンバー交代:西→太田
23分、磐田陣内中程でのFKのチャンス。玉田が長いボールを蹴り入れると、遠いサイドの巻が体勢を崩しながらもヘディングシュートを放つ。しかし、これは惜しくも磐田GKの正面を衝いてしまった。
26分、左から阿部がDFの意表を突いて、グラウンダーのボールをゴール前へと流し込むが、これは誰も反応できず。
28分、左からの磐田のCK。ニアサイドへと短く出したボールを、ジウシーニョが中へとキープしながら持ち込んでこようとしたが、ダヴィが拾い出す。
29分、中央で前を向いた玉田。DFの足下を抜くシュートを狙うが、これはDFの足が邪魔をしてしまう。
30分、磐田陣内深く左、絶好の距離の位置でのFKのチャンス。小川が丁寧なボールを蹴り入れるが、エリア内へ詰めた選手のファウルで相手ボールに。
31分、右でボールを持った田中。縦に仕掛けると見せて中へ持ち込むと、裏へ抜け出す玉田へ送ろうと縦パスを入れるが、これは逆を衝いてしまった。
34分、吉村とのワンツーで中央を玉田が抜け出していこうとするが、ここはDFにパスを読まれカットされてしまう。
35分、自陣右中程での磐田のFK。上田の蹴ってきたボールは、楢崎がパンチングで叩き出す。
36分、ここで小川がこの日2枚目のカードを受け、名古屋は10人で残り時間を戦うことになってしまう。
37分、左からの磐田のCK。上田のボールは増川がカット、こぼれ球を狙った駒野のシュートは巻がコースを変える。
【失点】
38分、ゴール前へと入れられたボールが、クロスバーに当たってこぼれる。これを左で拾った磐田・那須にシュートを打たれ、ゴール右に決まってしまい、ついに磐田にリードを許してしまう。
40分、名古屋3人目メンバー交代:阿部→杉本
【失点】
41分、右から磐田・太田に持ち込まれる。中央に走り込む磐田・成岡にパスを繋がれると、シュートを許し、磐田に追加点を奪われてしまう。
42分、磐田3人目メンバー交代:イ・グノ→ロドリゴ
磐田陣内左深くでのFKのチャンス。
【得点】
43分、このFKを玉田が蹴ると、中央でダヴィが頭で流し込んで、1点差に磐田を追い詰める。
44分、中央で巻が落としたボールを、玉田が左足で強烈に振り抜いてシュート。しかし、GKの手に弾かれてしまう。
(ロスタイム表示:4分)
ロスタイム1、磐田陣内中程右でのFKのチャンス。玉田がカーブの掛かったボールを蹴るが、GKが触って、右からのCKに。
ロスタイム2、玉田のCKのボールはニアで弾かれてしまう。
ロスタイム3、右でこぼれ球を拾った杉本。縦に仕掛けようとするが、トラップが流れたところを追いつけず、ゴールラインの外へボールが流れ出てしまう。
そして、最後のチャンスを作ろうと楢崎が長いボールを蹴って、これを玉田が左に開いて受けるが、DFに大きく蹴り出される。
ここで主審の両手が上がり、試合終了が告げられてしまった。
1人少ない中で、1点差に追い付き、終盤も怒濤の追い上げムードを見せていた名古屋。しかし、磐田から追加点を奪うことは出来ず、1-2の惜敗で第13節は終了を迎えてしまった。
試合終了後記者会見

今日は負けましたし、もちろんハッピーな気持ちではありません。我々グランパスとしては、試合全般を支配しコントロールはしていたのですが、決定力が足らず最終的に負けという結果になりました。
決定力を上げるためダヴィ選手を獲得し、実際に得点もあげているのですが、チーム全体のゴール数では昨年の同試合数と比べ下回っています。その事についてはどうお考えでしょうか?
ダヴィの活躍については満足しています。ハードなマークを受け、簡単にプレー出来る状況ではありませんが、決定力を見せてくれています。今日も1ゴールを決めましたが、それでは十分ではありませんでした。今日の試合は、先にゴールを決めたチームが試合に勝つのではないかと予想していたのですが、その通りとなってしまいました。
昨年はこのスタジアムで、数分のうちに逆転されました。今日も、小川選手の退場から流れが変わり数分で2失点を喫してしまったようですが、その退場で選手の心理面に影響があったのでしょうか?
我々としては得点を狙っていましたが難しく、ハードなゲームでした。そして、あのレッドカードについては予期していませんでした。
それでも選手達は最後まで諦めず戦い、1点を返すことができました。さらにロスタイム、玉田の素晴らしいシュートがあったのですが、それは相手GKの好セーブに阻まれてしまいました。
前半はロングボールが多く、後半はポゼッションサッカーが見られたように思いますが、それはゲームプランだったのでしょうか?
そういうプランはありませんでした。もちろん、ジュビロのホームで戦う事は、我々にとって難しい事です。それでも後半は落ち着き、地に足がついた様なプレーを見せてくれました。90%は我々が試合を支配していたと思うのですが、先にも話したとおり、先に得点を決めたチームが勝利を収めました。
1試合少ない暫定時ながら、ここまで勝ち点19、7位という形で中断期間をむかえる事となりましたが、ここまで前半戦を総括してください。
現時点の結果には満足しています。他チームに比べ1試合残していますが、まずは休みを取るべきだと思っています。その後、選手達にハードワークを課して、次への挑戦をしたいと思います。
現在のJリーグでは、クラブ間の力の差はほとんど無いと思っています。現在の順位、勝ち点をみても近い部分があります。そして、その差は凄く小さな事なのですが、それが最終的に決定力を分けているのだと思っています。我々としても、その部分を追求して今後に繋げたいと思います。
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