試合前
柏での、終了間際の劇的な逆転から一夜空け、名古屋の選手達は成田空港を飛び立つと、飛行機とバスを乗り継ぎ、豪州・ニューカッスルへと向かった。AFCチャンピオンズリーグ第4戦の対戦相手、ニューカッスル・ジェッツとのアウェイ戦を戦うためだ。
今季、初の挑戦権を得たAFCチャンピオンズリーグ。名古屋はここまで1勝2分け勝ち点5で首位。しかし、4位の蔚山現代まで勝ち点差は僅かに2つ。負ければすぐに順位が大きく入れ替わってしまうだけに、未だ予断を許さぬ状況と言っても良いだろう。
先に行われた瑞穂陸上での戦いでは、早い時間に先制を許したものの、主力のメンバーを温存しての戦いながら、玉田の技ありのFKできっちりと引き分けに持ち込み、勝ち点1を積み上げた。しかし、この4戦目での直接対決は、予選も折り返しを迎え、ここからは1つ1つの試合が重要となってくるだけに、いささか前回とは事情が違ってくる。
勝ち点4・現在3位のニューカッスルはこの対決に勝てば、もう1組の試合結果にもよるが、首位に立てる可能性があるだけに、相当にタフな内容の試合を見せてくるはず。
名古屋は、チームの主力・FW玉田を怪我で欠き、攻撃面での不安はあるものの、柏での勝利は、選手達の中にしっかりと『自信』として残っているはず。柏戦では終盤に追加点を狙う目的で吉田を入れ、DFを3枚にしたことが良い流れを生んだ。ダヴィと言う絶対的な攻撃の柱へのマークが、この試合でも間違いなく厳しくなる事は間違いない。それだけに、柔軟にシステムを変更しながら、フィジカルを生かし戦い方を見せてくることが予想されるニューカッスルを、小川の早い仕掛けとマギヌンのテクニックを生かす攻撃で上手く翻弄できれば、名古屋が絶対に勝利を引き寄せるだろう。
今回の試合は、ホームの利を生かして厳しく仕掛けてくるニューカッスルの攻撃をいかにはね除けて、自分達のペースへと持ち込むか。これが試合の行く末を大きく決めそうなだけに、自分達の流れを早く掴み、その勢いで積極的な攻撃を仕掛けてニューカッスルを下し、サポーターの待つ名古屋へと勝ち点3を携えて、堂々と帰りたい。
前半
日本から約5,000km、アウェイの地オーストラリア・ニューカッスルにて行われるAFCチャンピオンズリーグ2009第4戦。ここまで3試合を終えグループリーグ首位の名古屋にとって、折り返しとなるこの試合、アウェイでしっかり勝ち点を獲得することができれば予選通過も見えてくるだけに、重要な一戦となる。
この日のスターティングメンバーはゴールキーパーに楢崎。ディフェンスラインは右から竹内、吉田、バヤリッツァ、増川、阿部の5人。中盤は中村、吉村、小川、マギヌンという盤石の4人、そしてダヴィの1トップで試合に臨む。展開次第では両サイドバックの2人が中盤へ上がった攻撃的な布陣も考えられる。
オーストラリア現地時間20時、メインスタンドから向かって右にエンドを取った名古屋のボールでキックオフ。
1分、中盤でボールを奪った吉村から阿部を経由し、前線へパスを狙うが、相手DFがカット。
2分、ハーフラインを超えた辺りでボールを受けた吉村がロングシュートを狙うが、これは相手DFが正面でクリア。
3分、ニューカッスル左ディフェンスが持つボールに対し中村が強くプレスをかけるが、ボールはラインを割り相手ゴールキックに。
5分、ロングボールからニューカッスルにエリア内まで攻め込まれると、DFのこぼれ球から25番にシュートを打たれるが、楢崎が飛び出しクリア。
6分、前線へ上がった阿部の裏へ、ニューカッスルがロングボールを狙うが、増川が頭でクリア。
7分、自陣35m程度の位置でニューカッスルにFKを与える。これをゴール前に上げられると、ファーサイドにいた14番に頭で合わせられるが、これは枠の外に。捕まえられずフリーで打たせただけに、危ない場面だった。
9分、右サイドでボールを受けたマギヌンのドリブルからカウンターを仕掛け、左サイドの小川へ。さらにゴール前へとクロスを上げるが、相手GKにキャッチされてしまう。
11分、ニューカッスル10番のドリブルからCKを与えるが、阿部が頭でクリア。
13分、ハーフラインを大きく超えた増川が、阿部とのワンツーでさらに抜け出し中央へクロスを上げるが、これは相手DFがクリア。
14分、左サイドで相手DFを交わした小川がドリブルを仕掛ける。これを一旦相手DFにカットされるが、こぼれ球をマギヌンが中央へと上げる。しかし、このボールは高く、中央ダヴィの頭上を超えてしまう。
前回、瑞穂での試合に比べ攻撃的なニューカッスルに対し、序盤の名古屋はカウンターを何度かしかけるが、ここまではお互いに決定的なシーンは作れず。互いに様子を見るといった展開が続く。
17分、中村からのスルーパスにダヴィが反応し、相手DFに囲まれながらもシュートを打つが、これは相手GKにクリアされてしまう。
18分、吉村からのサイドチェンジでボールを受けた竹内が、さらにその外を回る中村へと繋ぎ、中央へと速いクロスを送る。しかし、ボールはそのままファーサイドへ流れてしまう。
20分、ディフェンスラインからボールを持ち上がったバヤリッツァ。マギヌンとのワンツーで突破を狙うが、このボールが手に当たってしまいハンドの判定を取られる。
21分、阿部からの縦パスを受けた小川。右足でミドルを狙うが、相手GKがキャッチ。
22分、またも左サイドから阿部、小川、阿部、小川とワンタッチパスの連続で再度突破を狙うが、最後のボールが長く、相手ゴールラインを割る。
24分、左サイドを抜け出した阿部が中央へ速いクロスを送る。これにトップスピードで走り込んだマギヌンが飛び込むが、僅かに届かず、ボールはファーサイドへと流れてしまう。
25分、中央でのルーズボールを受けるマギヌンへ、ニューカッスル6番が激しいタックル。このプレーに対し、イエローカードが提示される。
27分、阿部からの大きなサイドチェンジ。竹内が右サイドでこのボールを受け中央へとクロスを上げるが、相手DFがクリア。
28分、名古屋エリア手前右の位置でニューカッスルへFKを与えてしまうと、速いボールでヘディングを合わせられるが、枠の外へ。
31分、名古屋1人目交代:マギヌン→杉本
ニューカッスル1人目交代:17→24
先ほどの接触で、右足を痛めたマギヌンがここで交代。
さらにニューカッスルも故障者が出ての選手交代と、両監督にとって予定外の展開となる。
34分、代わって入った杉本が、左サイドから中央へクロスを上げる。これは相手DFがクリアしCKに。このボールを中央で相手GKがこぼすが、寄せられずクリアされてしまう。
35分、ニューカッスルゴール前25mの位置で、中村が倒されFK。これを小川が右足で直接狙うが、ボールは枠の上を超えてしまう。
37分、ニューカッスル24番にクロスを上げられるが、楢崎が落ち着いてキャッチ。
39分、阿部のカットから小川がカウンターを仕掛けるが、相手DFにクリアされてしまう。
40分、ニューカッスル2番に、右サイドから中央へクロスを上げれられるが、増川が頭でクリア。
42分、相手エリアライン際で竹内が倒され、FKを得る。これをダヴィが直接左足で狙うが、相手DFがクリア。こぼれ球を拾った名古屋がさらに繋ぎ、増川が反転してのシュートを打つが、これは枠の外へ。
44分、ダヴィのキープから中村へ、さらに右サイドを上がる竹内の前へとパスを狙うが、このボールには追いつけずゴールラインを割ってしまう。
(ロスタイム1分)
ロスタイム1、左サイドでボールを受けた杉本。中央へと切れ込み右足でシュートを打つが、相手DFに当たり跳ね返されてしまう。
そしてここで前半終了。
マギヌンの怪我による予定外の選手交代があったが、それでもここまでグランパスは中盤でのボール支配と竹内、阿部の両サイドの上がりからニューカッスルゴール前へと攻め込むシーンも見られた。しかしながら、高さのあるニューカッスルにゴール前で2度の決定機を与えてしまうなど、相手のカウンターに対する注意も必要になりそうだ。
後半
後半、左へエンドを代えたグランパスに対し、ニューカッスルのボールでキックオフ。
1分、右サイドでボールを受けた杉本。中央へ速いボールを送るが、相手DFがクリア。
2分、今度は中村が、左サイドの突破を狙うが、阿部からのパスは僅かに長く、ゴールラインを割ってしまう。
3分、中盤で相手パスをカットした中村。前線のダヴィの前へとパスを送るが、相手GKに先にキャッチされてしまう。
4分、杉本のドリブルからCKを得る。これを小川がニアサイドへ低く狙うが、エリア内の接触で名古屋がファールを取られてしまう。
5分、右サイド杉本からのクロスに、中央のダヴィが相手DFと競り勝ってヘディングシュートを打つが、これは枠の右へと逸れてしまう。
6分、ニューカッスル右サイドからゴール前へクロスを上げられるが、吉田が足でクリア。
7分、ハーフラインを超え持ち上がった増川が強力なシュートを打つが、相手GKが正面でクリア。
8分、中村が左サイドからクロスを上げると、これがニューカッスルDFに当たりCKに。これを小川が右足で上げるが、相手DFがクリア。
9分、阿部からのパスがニューカッスルの選手に当たりカウンターを受けるが、戻った阿部がカットしことなきを得る。
【得点】
11分、右サイドから杉本のクロス。このボールが中央で相手DFと競るダヴィを超え、ファーサイドの小川が胸トラップから右足でシュート!見事にこれがゴールネットを揺らし、待望の先制点を名古屋が決める。
13分、ニューカッスル2、3人目交代:16→9、10→23
アウェイで待望の先制ゴールを決めた名古屋。その後も攻撃の姿勢を崩す事無くニューカッスルを攻め立てているだけに、一気に試合を決める追加点を期待したい。
17分、ハーフライン付近でボールを受けた増川。一気に前線へと速いパスを狙うが、相手GKが先に反応し、クリアされてしまう。
18分、ゴール前左寄り30m程度の位置でボールを受けたダヴィ。鋭いターンから右足で強烈なミドルシュートを打つが、これは枠を逸れてしまう。
19分、吉田の思い切ったインターセプトから一気に前線の杉本へ。相手DFに寄せられながら杉本が、右足でシュートを打つが、これも枠の外へ。
20分、ニューカッスルにカウンターを受けるが、竹内が落ち浮いてクリア。
22分、小川とのワンツーで竹内が右サイドでの突破を狙うが、相手DFにカットされてしまう。
23分、ニューカッスルのカウンターから自陣右サイドで、吉村がハンドを取られFKを与える。ここから長身揃いのゴール前へ上げられるが、ダヴィが頭でクリア。
24分、攻撃的に仕掛けてくるニューカッスル、中盤でのルーズボールから最後8番にミドルシュートを打たれるが、これは大きく枠を逸れる。
25分、名古屋2人目交代:竹内→田中
26分、バヤリッツァのトリッキーなボールコントロールから、前線へのパスにダヴィが抜け出すが、中央へのクロスは相手DFがクリア。
27分、代わって入った田中が右サイドでドリブルを仕掛けるが、相手DFにカットされる。
28分、ニューカッスルに自陣バイタルエリアでボールを回され最後は2番にシュートを打たれるが、枠の外へ。
29分、ニューカッスル24番に中央突破を狙われるが、吉村が戻ってしっかりとクリア。
30分、名古屋3人目交代:中村→山口
ホームで負けられないニューカッスルが前線への圧力を強めているだけに、名古屋としてはここをしっかり対応し、カウンターを狙いたい。
31分、名古屋エリア内でニューカッスル9番とバヤリッツァが交錯し、PKを与えてしまう。しかし、ニューカッスル9番が蹴ったボールをしっかり見極めた守護神・楢崎が左へ飛んでこのボールを抑え、名古屋のゴールを守る。
35分、相手ゴール前で名古屋がポゼッションを続けるが、吉村からのパスはカットされてしまう。
36分、ニューカッスル8番が左サイドから名古屋ゴール前へとクロスを上げるが、これは精度が低くゴールラインを超える。
38分、スローインから上手く体を入れ替えたダヴィ。前線へと上がる杉本へとパスを送るが、相手DFが体を寄せてクリア。
39分、左サイドで小川が仕掛け、CKを得る。ここは時間を使うためショートコーナーで繋ぐが、相手の激しいディフェンスに遭い、ボールを奪われてしまう。
41分、阿部からの縦パスに小川が抜け出し、左足でシュート。このボールが相手DFに当たりCKへ。ここでもショートコーナーでボールを繋ぎ、時間を使う。
43分、ニューカッスル・フォワードの落としたボールから24番にミドルシュートを打たれるが、楢崎がしっかりと正面でキャッチ。
44分、ニューカッスル左サイドからのクロスでシュートを打たれるが、枠の外へ。
(ロスタイム3分)
ロスタイム1、阿部のクリアからダヴィが突破を狙うが、相手DFにクリアされてしまう。
ロスタイム2、ニューカッスル24番の左足からのクロス。これがDFに当たり方向が変わるが、ここも楢崎が落ち着いてキャッチ。
ロスタイム3、後が無くなったニューカッスル。名古屋ゴール前でパワープレーを仕掛けるが、ディフェンス陣が慌てる事無く跳ね返し、前線の杉本へ。ここからスピードに乗ったドリブルでカウンターを仕掛けるが、ここで試合終了。
屈強な体を誇るニューカッスルの選手達を相手にした名古屋だが、自分たちのスタイルで90分を通し試合をコントロール。小川の挙げたACL初ゴールとなる得点、さらに相手に与えたPKも楢崎のビッグセーブで守りきり、グループステージ突破に向け、大きな大きな勝ち点3を獲得した。
試合終了後 監督記者会見
今日は最初から最後までタフなゲームでした。しかし、我々の目的は勝つことで
したし、良いサッカーと我々のプレーをすることが出来たことと、結果に満足し
ています。これで予選突破に向け一歩前進出来たと思います。
目指す形でのゴールを決めることが出来ましたが、監督として今日の勝因はどこにあると思われますか?
もちろん、日本ナンバーワンのGKである楢崎のPKセーブに助けられました。
今日はニューカッスルは驚いたと思います。なぜなら我々が3バックにしてサイドを広く使ってプレーさせたため、相手は難しかったと思います。我々は試合をコントロールできていたと思いますし、最後までキープも出来ていました。それが勝因だと思います。
ニューカッスルと戦ってみていかがでしたか?
我々より相手は体力が上なので、守備をしっかりしていこうと思いました。そこをしかりと押さえることが出来て、パーフェクトだったと思います。DFの3人もしっかりとプレーをすること出来ていましたし、セットプレーでも空中戦も対応でき、90分間彼らを抑えることができたと思います。
今日の芝生のコンディションについていかがですか?
これまでプレーしたことがありません(笑)。日本の芝はもっと素晴らしいです。ここはラグビーで使われているので、慣れるのに難しかったですが、我々は技術を使ってプレー出来たと思います。今日の芝生は、両クラブにとっては同じ条件だと思います。その中で戦い、我々がコントロールできて勝ったことは、我々の方が技術が上だったと思います。今日は選手達に「しっかりとキープして、グラウンダーでボールをつなげ」と指示しました。彼らはそれをしっかりと守ってやってくれたと思います。

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