試合前
午後1時20分過ぎ、この日を待ちわびていた名古屋のサポーターの前に西村とともに、怪我から無事復帰を果たし、この日先発GKとなる楢崎の2人が現れると、それまで大人しかったスタジアムに熱気があふれる。その後、5分ほど遅れてフィールドプレーヤも登場。新シーズンの幕開けにふさわしい雰囲気にスタンドが包まれる。
開幕初戦の、対戦相手は大分トリニータ。昨年のナビスコカップでは苦い思い出しか残っていないチームだ。選手達も、開幕戦ということ以上に、この日の相手に対する闘志がピッチの脇から見ていても良く伝わってくる。選手等に遅れてストイコビッチ監督が多くのマスコミ陣に迎えられて登場すると、両チームのサポーターの怒号のような声援が大屋根に反響し始め、スタジアムは興奮の坩堝と化した。
全員でゆっくりと流しながら体をほぐし終えた選手達はボールを使ったメニューをこなして、気持ちを落ち着かせると、最後は思い思いにボールを動かしながら、この日のピッチコンディションを確かめる。昨年大活躍を見せた小川も軽妙にボールを捌きながら芝生の具合を入念にチェックしていた。新加入したダヴィ、そして田中の2人は、それぞれ対照的な様子を見せ、田中は冷静にボールを動かし、ダヴィが早くも臨戦態勢が整ったのか、積極的二ゴール前へと走り込んでシュートを試していた。
午後1時45分、タッチ際でスプリントを行ってコンディションを整え終えた選手達は、気合いのこもった表情を見せながらピッチを立ち去っていった。
前半
帰ってきた守護神・楢崎、そして、一際、大きな声援を受けるダヴィがスタジアムDJによって紹介されると、スタジアムが盛り上がりを見せる。選手入場が伝えられると、名古屋のサポーターのスタンドに赤と黄色のチームカラーのフラッグが揺れはじめ、興奮はピークに。選手とともにスタッフ全員も加わり、ピッチ内で大きく円陣を組んで気合いを入れると、試合は右エンドのアウェイ・大分のキックオフでスタートする。
この日の名古屋の先発メンバーは、GKは帰ってきた我らが守護神・楢崎、DFは右から田中・バヤリッツァ・増川・竹内の4バック。中盤は、右に小川、左にマギヌン、中央ボランチの位置は中村と吉村の2人。FWは玉田とダヴィの2人。4-4-2の布陣だ。
3分、大分陣内左中程でのFKのチャンス。小川の右足からのキックは壁に止められてしまう。
6分、中央下がり目の位置でパスを受けた大分・ウェズレイ。右足からのシュートはバーの上へ大きく抜ける。
7分、先ほどよりさらに深い位置でのファウルで、大分陣内左からのFKのチャンス。小川がゴール前へと向かうボールを蹴るが、これは大分GKに捕らえられてしまった。
8分、自陣から吉村が早めに縦にロングボールを送ってダヴィを走らせるが、これは戻るDFの頭に弾かれてしまう。
【失点】10分、ゴール前でのこぼれ球をゴール左に大分・金崎に決められてしまい、大分に先制を許してしまう。
12分、左から竹内がゴール前に待ち受けるダヴィへとクロスを入れるが、これはDFの厳しいマークでボールに反応する事ができなかった。
14分、相手陣内でDFのボールを厳しく寄せて奪ったダヴィが前を向こうとするが、これはファウルを取られてしまった。
16分、吉村からの左深くへのロングボールをダヴィが追うが、これは追いつく前にラインを割ってしまった。
17分、右から抜け出してきた金崎のループ気味のシュートは、これに反応した楢崎の指先がポストの左へと弾き出した。
19分、右からダヴィがボールを持って抜け出すと、そのまま一気にペナルティエリアまで入り込んむ。しかし、寄せてくるDFをかわそうと流したボールが大きくなってしまい、ゴールラインを割ってしまった。
22分、左で玉田からのパスを受けた竹内が丁寧なクロスをあげると、ファーサイドに小川が詰める。しかし、その前でDFが頭を入れ、大きく弾き出してしまった。
24分、中央の玉田からダヴィへとパスが通るが、前を向いたところでDFが体を入れてしまい、シュートへ持ち込む前にファウルを取られてしまった。
27分、右から田中が仕掛けようとして倒され、良い位置でのFKのチャンスを得る。マギヌンの左足からのボールはミスキック気味となり、ニアでクリアされてしまった。
30分、大分のペナルティエリア近くで、左からボールを持ち込んだ小川が倒されるが、これはファウルを取ってはもらえず。
31分、右から抜け出したダヴィの速いクロスは、大分GKがバーの上へと弾き出し、右からのCKに。これをマギヌンが大きく蹴って、遠いサイドの玉田が狙ったが、ボールは左に逸れてしまう。
35分、左に出たパスを小川が拾って一気に持ち上がると、ゴール前へと走り込む玉田に速いボール入れる。ワンタッチでこれを流し込もうとしたが、ボールは僅かに右に流れてしまい、枠を捕らえることは出来なかった。
37分、大分陣内へと押し込んでいるところを奪われると、ウェズレイがこれを持ち上がろうとするが、ここは玉田が体を張って潰した。
38分、玉田が左へと大きく展開したボールを小川が追いつくと、頭で縦へと押し出しそのまま持ち上がってゴール前へと流し込む。逆サイドから猛スピードで入り込んだダヴィの右足シュートは枠を捕らえることが出来ず、ポストの右へ外れてしまった。
42分、右からの大分のCK。大分・鈴木の左足からのボールは、中央の中村が弾き出した。
44分、中央の中村からのパスを、左から入り込んだマギヌンが受けようとしたが、これはDFの伸びた足にカットされてしまう。
ロスタイム、左でスローインからのボールを胸で受けたダヴィ。前を向いて仕掛けようとするが、これは競り合ったDFへのファウルを取られてしまう。
そして前半は、徐々に名古屋が押し始めるものの、大分が1点を守って終了に。
後半
エンド入れ替わり、後半は右にエンドを変えた名古屋のボールから試合が再開。
1分、小川のパスを受けた田中からのクロスは、ニアで弾かれてしまった。
2分、吉村からの縦パスを受けて、前を向こうとした玉田。しかし、マークにつくDFの厳しい寄せにボールを失ってしまう。
4分、マギヌンからのパスを受けた竹内が縦へと仕掛けようとして倒されるが、これはファウルを取って貰うことはなかった。
6分、右から入り込んだバヤリッツァがパス。これを中央でダヴィがダイレクトで合わせたシュートは、惜しくもバーの上へ。
7分、球際での見せて小川がボールを奪うと、右に展開。ダヴィがこれをゴール前へと走り込む小川へ送るが、GKの正面を衝いてしまった。
9分、左からのCKのチャンス。小川のボールは、ゴール正面でGKがパンチングで弾き出してしまった。
【得点】10分、ゴール左でパスを受けたダヴィ。ダイレクトで放った左足はDFに一度は弾かれるが、こぼれ球を逃さず再度叩いたシュートが見事大分のゴールを割り、名古屋は同点とする。
12分、吉村のスルーパスに抜け出したダヴィ。しかし、ゴール前へのパスは、DFに止められてしまった。
14分、右から小川のパスを受けた田中が抜け出すと、DFをかわしてゴール前へ上げる。ファーサイドでダヴィが待ち受けるが、DF2人に体を寄せられ、動く事が出来なかった。
15分、玉田とのワンツーで中央へ抜け出した小川の左足シュートはDFに当たって弾かれてしまった。
18分、吉村からのパスに、右から抜け出したダヴィがエリア内へと入り込むが、大分DFの早い戻りにボールを失ってしまう。
19分、中村がマイナス気味に中央の小川へパス。これをダイレクトで放った右足のボレーは、惜しくもバーの僅かに上へ。
21分、右にあがってきた大分・高橋のゴール前に待つ大分・高松へのクロスは、前へ出た楢崎しっかりとキャッチ。
24分、自陣からあいてボールを奪った中村が抜け出そうとしたが、ここは大分・ウェズレイの厳しい寄せに潰されてしまう。
25分、右にポジションを変えたマギヌンからのクロスは、誰も触ることが出来なかった。
27分、右からのCKのチャンス。マギヌンのボールが遠いサイドでルーズに。これを玉田が狙うが、足下に収まらず。
28分、左からのCKのチャンス。小川のボールは正面でGKに弾き出されてしまった。
29分、右で吉村からのパスを受けた玉田が中へと持ち込むと、遠目からのシュートを放つが、これはクロスバーの上。中央を抜け出して大分・金崎がシュートを放つが、これは楢崎が正面で跳ね返す。
【得点】30分、マギヌンのパスに抜け出した中村のワンタッチのパスをニアサイドに入り込んだ玉田がワンタッチで押し込み、ついに名古屋が大分を逆転する追加点を決める。
33分、竹内のボールへの厳しいファウルに怒った大分・高橋が竹内へと報復し、レッドカードで一発退場。大分は1人少なくなり、名古屋が数的優位に。
36分、名古屋1人目メンバー交代:マギヌン→山口
【得点】左から抜け出したダヴィが、DFを上手くかわして1対1に。右足で冷静にゴール右に流し込み、大分を突き放す。
37分、大分1人目メンバー交代:高松→家長
【失点】39分、自陣右中程での大分のFK。鈴木のクロスを、中央で合わせたウェズレイに頭で押し込まれてしまい、3-2とされてしまう。
名古屋2人目メンバー交代:ダヴィ→杉本
41分、左から持ち込んでいった杉本が中へと入り込むと、中央の吉村へラストパス。右足でミドルシュートを打つが、ボールはポストの僅かに左へ。
大分2人目メンバー交代:小林→森島
42分、名古屋3人目メンバー交代:竹内→吉田
43分、中央でDFに体を寄せられながらも玉田のパスを反転し杉本だったが、強引な左足シュートは抑えが効かず、枠を越えてしまった。
44分、ゴール正面でボールを持って前を向いたウェズレイだったが、ここは慌てず、増川が寄せてボールを奪う。
(ロスタイム表示:5分)
ロスタイム1、自陣中程右寄りでの大分のFK。鈴木のゴールに向かってくるボールは、ニアで弾き出す。
ロスタイム2、中央でパスを受けた杉本が前を向くと、右にあがってくる田中へとラストパス。DF1人かわして放った左足シュートはGKの手に弾かれてしまった。
ロスタイム3、大分陣内深くでのファウルで大分のボールからリスタートされるが、名古屋陣内へと大きく蹴り出す。
ここで主審の長い笛が鳴り、名古屋は新シーズンの初戦を、大分相手に3-2の見事な逆転劇を見せて、白星スタートを飾った。
試合終了後 監督記者会見
今日はとてもタフなゲームとなりましたが、質が高く、面白いゲームだったと思います。お互いのチームが競い合うゲームでもありました。開幕戦で勝ち点3を取れたという事で、今後の自信にもなります。
後半、我々のチームはしっかりとしたリアクションから素晴らしいプレーをしてくれました。選手にはおめでとうと言いたいと思います。
そしてサポーターのみなさまにも、おめでとうと言いたいと思います。いつもチームを後ろから支えてくれている事を感謝しています。
前半と後半でチームとして全く違う印象を受けましたが、ハーフタイムには具体的にどういう指示をされたのでしょうか?
確かに前半と後半で全く違う内容となりました。前半はパスミスが多く、我々のプレーではなく簡単にボールを失っていました。しかし後半は、そのプレーに対するリアクションを起こし逆転する事が出来ました。試合をコントロールし、チャンスも作る事が出来ていました。両サイドからの攻撃も機能していたと思います。
ハーフタイムには選手達に「ウォームアップは終わった。後半はしっかりとプレーすれば逆転出来ると信じてプレーしろ」と話しました。選手達が後半見せてくれたパフォーマンスには満足しています。
ダヴィ選手と玉田選手、期待のフォワードが得点を決めた事も大きいのではないでしょうか?
フォワードとは得点を期待されるポジションですが、今日は玉田もダヴィも素晴らしいプレーを見せてくれました。ファイティングスピリットを持って戦い、さらにチームプレーから美しいゴールを決める事が出来ました。完璧なスタートとなったと思いますし、彼らにとっても自信になると思います。そして彼らの働きで勝ち点3を獲得したことで、監督である私としても満足しています。
昨年から口にされていた「リアルストライカー」という言葉がありますが、今日のダヴィ選手を見ると、まさに彼がそういう選手だとお考えでしょうか?
昨年は「前線での決定力が欲しかった」という話を何度かしました。その点で我々が欲しい選手を獲得する事が出来たと思っています。ダヴィは1対1の場面に強く、スペースを突く事ができ、さらに相手のゴール前で脅威となるプレーも出来ます。今日はとても素晴らしい働きをしてくれました。そして今日のプレーを見れば、私の判断は正しかったと思いますし、それはみなさん自信も感じているのではないでしょうか。
2失点はしましたが、怪我から復帰した楢崎選手を中心の守備陣も安定していたように思いますが?
楢崎が素晴らしいセーブを見せてくれましたし、長期の怪我から彼がチームに戻って来た事を嬉しく思います。ビッグセーブで彼自身も自信を持てたと思いますし、チームにも自信を与えてくれました。日本代表でプレーするレベルの選手ですし、本当に素晴らしいセーブを見せてくれました。
もうすでに監督の頭の中では、次の試合を考えているのではないでしょうか?
そうですね、今日の試合はもうこれで終わりました。34試合のうちの1試合が終わったのだと思っています。これからは来週に韓国で行われるACL、そしてアウェイ山形戦に向けて今日のプレーを分析したいと思います。そしてチームとしても前を向き、これから行われる試合に集中したいと思います。

グランパス、9年ぶりにアジアの舞台へ!
AFCチャンピオンズリーグ2009:第1戦
蔚山ワールドカップ 3/10(火) 19:30(現地時間)キックオフ
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