2007 Jリーグ ディビジョン1:第10節
 相変わらず、大粒の雨が落ちている、エコパスタジアムのピッチに名古屋の選手達が現れたのは、午後3時30分。屋内エリアでボール回しやストレッチを行ってしっかりと体を解したようで、足取りも軽い。しかし、雨にもかかわらずスタンドに詰めかけた名古屋のサポーターに大きく手を振ると、早速、試合前最後の仕上げに取りかかる。
 今日は名古屋のサポータの声にいつも以上に早い時間帯から力がこもっている。それもそのはず。我らが名古屋の守護神・楢崎がピッチに戻ってきたからだ。横浜FCとの試合中に味方との接触で足を負傷後、長らくリハビリで調整していたが、ついに今日復活を遂げた。開幕から4連勝を挙げながら、ここへ来て失速気味のチームを立て直す重要な役を託すのは、この男を持ってしてないと言えるだろう。最後方でドッシリと構えて、味方をしっかりと鼓舞しながら、チームを勝利へと導いて欲しい。
 そしてもう1人、忘れてならないのが藤田だ。J1の歴史の中で、出場試合数で今日の磐田戦で前人未踏の392試合目を飾る。数々の名勝負を演じてきた彼にとって、今日の古巣・磐田との試合は偶然とはいえ、正にサッカーの神様が与えてくれた最高の舞台と言えるかもしれない。楢崎と共にベテランとして味のあるプレイでチームを引っ張っていってくれることと信じよう。
 午後3時45分、大量の雨でしっかりと水を含んで濡れた芝生の上で、入念にボールを捌いていた選手達は、グッショリと練習着を濡らし、頭から水を垂らしながらも、名古屋のサポーターの方に手を振って、ロッカールームへと向かった。
〜前半15分
相変わらず風を伴った雨が降り続くエコパスタジアム。大屋根に覆われているとはいえ、スタンドで元気よく応援を始めているサポーターの席へも雨が降り込み、スタンドの奥へと移動して、観戦する人も目立つ。しかし、大音響と共に両チームイレブンが入場を始めると、一気に席を立ち上がり、雨を忘れたかのように大きな声で声援を送り、用意してきたチームカラーの赤いビニール袋を打ち振るい始める。
今日の先発メンバーは、GKは、帰ってきた我らが守護神、キャプテン・楢崎、DFは、右に大森、左は若い吉田、中央は米山と言う3バック。MFは、右に中村、左は本田、中央下がり目に、リーグ最多試合出場記録を更新した藤田、やや前目の攻撃的な位置には山口と金、FWは、ヨンセンと杉本の2トップと言う11人、すっかりお馴染みとなった3-5-2の布陣だ。
前半は左にエンドを取り右に攻め上がる名古屋に対し、ホームの磐田は右エンドからスタート。そして試合は磐田のキックオフで始まる。
 
 
1分、右からのCKのチャンス。中村のゴール前へのボールに中央からヨンセンが走り込むがボールに触れることは出来なかった。
2分、中央で相手のバックパスを見逃さず、山口が走り込んでいったが、間一髪で磐田・川口が抑えてしまう。
3分、磐田陣内からのロングボールに、磐田・太田が走り込んでこようとしたが、ここは吉田が体をしっかりと入れて、ゴールキックにする。
 
 
4分、米山が縦に入れたボールをヨンセンが落とすと、山口が拾って杉本へと繋ごうとしたが、送った先が逆に行ってしまう。
6分、磐田陣内中央すぐのところでのFK。米山が右に流したボールを縦に繋ぐと、中村がこれを持ち込んで折り返す。相手ペナルティ内でこぼれたボールを左で拾った本田がゴール前へと入れたボールを、逆サイドでヨンセンが待ち受けていたが、ボールはその前で抑えられてしまった。
 
 
8分、中盤でのルーズになったボールを磐田・上田が縦に送ると、左から磐田・村井が駆け上がってくるが、これはボールが長く、ゴールラインをそのまま割る。
10分、右でこぼれ球を拾ったヨンセンが前に送って杉本を走らせる。これを一気に持ち上がった杉本のクロスは、マークに来たDFに弾かれ、ゴール前へと飛ばすことは出来ず。
11分、磐田の右からのCK。磐田・上田の左足からのボールは、ゴール正面でヨンセンが競り勝ってカット。
 
 
12分、右からの磐田のCK。マイナスに上田が出したボールを磐田・ファブリシオがゴール前へと放り込んできたが、楢崎が難なくボールをキャッチする。ここまではテンポ良く試合を名古屋が進めており、良い流れを掴んでいると言えよう。
15分、左から抜け出してきた磐田・村井のパスをゴール正面で受けた磐田・カレンが反転して左足からのシュートを狙ってくるが、ボールはクロスバーの上へと抜ける。
 
〜前半30分
17分、右タッチ際で中村がヨンセンとのパス交換から縦に送ると、山口が抜け出してくるが、これはオフサイドに。
18分、左で本田からのパスを受けた杉本が右足でゴール前へとクロスボールを入れると、ヨンセンがこれをバランスを崩しながらも頭で合わせていったが、ボールはクロスバーを大きく越えてしまう。
 
 
20分、相手ボールを自陣で奪うと、藤田が右のスペースへ出したボール受けた中村が、すかさず縦に送るが、左からゴール前へと走り込む杉本には届かず。
22分、右でこぼれ球を拾った杉本が中村に預けて自らは縦に上がって、パスを引き出そうとするが、中村からのパスは相手DFにカットされてしまい、受けることが出来なかった。
25分、右に上がる大森からのクロスボールを中で待っていたヨンセンが受けようとしたが、前を向かせてもらえず、ボールを後ろに弾いてしまう。
 
 
26分、右で中村のパスを受けた杉本がDFをかわして抜け出すと、深くまで持ち込んでゴール前へと上げるが、このボールは磐田GKの正面。
29分、左サイドでルーズになったボールを拾ったヨンセンが持ち上がると、エリアの近くまで来たところで相手DFのタックルに潰されるが、これはファウルは認められず、拾った相手のボールに。
 
〜前半終了
31分、相手陣内右深くの、絶好の位置でFKを得る。本田がゴールに向かって曲がるボールをコントロールして蹴るが、僅かに長いボールは遠いサイドのポストの外を巻いてゴールラインの外へ。
33分、左から磐田・カレンがドリブルを仕掛けてくるが、寄せていった米山がボールにきっちりと詰めて、タッチの外へとクリアする。
 
 
35分、吉田の縦に入れたパスがカットされると、中央の磐田・カレンにと回ったパスを右の磐田・太田に送って仕掛てこようとしてくるが、これはパスに精度が無く、タッチの外へ。
37分、中央でパスを受けた金が、DFをかわして左のスペースへと出したボールを杉本が追うが、これは雨で濡れたピッチに球足が速く、追い付く前にゴールラインを割る。
 
 
40分、自陣から奪ったボールを金が縦に送ると、前に走る杉本がこれを受けて磐田ののペナルティエリア内へと侵入を試みるが、足下への厳しいタックルにあって倒され、ボールを失ってしまう。
42分、右の深い位置でスローインからのボールを受けた磐田・加賀が中を窺うが、受けた位置はオフサイドポジション。
43分、中央でDFの間をタイミングを計って走っていた杉本が、中村からの縦のボールに飛び出すが、僅かの差でオフサイドを取られてしまう。
 
 
ロスタイム1、相手陣内右深くでボールを持った中村のクロスは、中央のDFに弾かれてしまう。
ロスタイム2、磐田の右からのCK。磐田・上田の長めに蹴ったボールは上がっていた選手の頭に当たって外へ流れ、このプレイを見て主審の手が上がり、前半終了が告げられる。
立ち上がりからしっかりとボールを支配し、良い流れを掴んでいる名古屋だが、なかなかゴールが遠い。磐田の攻撃をしっかりと抑え込んで自分達のサッカーが出来ているだけに、早く点が欲しいところだ。
 
〜後半15分
後半は、右にエンドを変えた名古屋のキックオフから試合が再開。
1分、左からのCKのチャンス。本田の入れたボールが逆サイドに抜け、詰めていた中村が左足でシュートを打つが、相手選手の間を抜けたボールは、GKの正面に。
2分、自陣右中程での磐田のFK。磐田・上田のゴールへと向かってくるボールは、飛び出した楢崎がパンチングで叩き出す。
4分、左から抜け出していった杉本のゴール前へと流し込んだボールに中央でヨンセンが走り込むが、前に出た磐田・川口の手に阻まれ、押し込むことは出来なかった。
【交代:45分・磐】
村井犬塚
 
5分、大森が縦に送ったボールを楔になったヨンセンが流すと、山口が走り込むが、僅かに届かず。
6分、右からの磐田のCK。磐田・太田のボールに、中央で磐田・犬塚がヘディングシュートに来るが、ボールは大きくバーを越える。
8分、左で杉本とスイッチしてパスを受けた金が左足でゴール前へとクロスを上げるが、これは磐田GKの正面に。
 
 
9分、吉田が頭で弾き返したボールをヨンセンがスペースへと落とし、これを拾った山口が持ち上がろうとしたが、相手エリアの手前でDFに阻まれてボールを失ってしまう。
12分、中央を本田が自陣で奪ったボールを持ち上がると、右に開いていたヨンセンに送る。トラップしてエリア内へと持ち込んでシュートを狙うが、ボールはコースを阻んだDFに弾かれてしまう。
15分、エリア内でパスを繋がれると、磐田・成岡に左足からのシュートを許すが、これには楢崎がしっかりとボールを止めに入り、ゴールを守る好セーブを見せる。
 
〜後半30分
17分、太田からのパスに中央を抜け出した磐田・カレンにシュートを決められ、磐田に先制点を与えてしまう。 【得点】
62分 カレン(磐田)
20分、左でボールを持った本田を見て金が縦スペースへと走るが、本田からのパスとは逆の方向への動きになってしまう。 【交代:63分・磐】
カレン中山
 
22分、左に流れながらパスを受けた藤田が中央へと放り込むと、ヨンセンがこれを受けるが、トラップが大きくなってしまい、チャンスに繋げることが出来なかった。  
25分、大森が中央で張っている巻へとパスを当てるが、体を寄せていたDFに動きを抑えられ、前を向くことは出来なかった。 【交代:68分・名】
中村
 
26分、左タッチ際で本田のパスを受けた金がDFの裏へと送ると、ヨンセンがDFと接触してこぼれたボールを本田が拾ってシュートを決めるが、これはその前のプレイがファウルとなり、ゴールは認められず。  
  【交代:75分・名】
米山阿部
〜試合終了
32分、中央にポジションを変えた本田が縦パスを貰って上がるが、回りをDF3人に囲まれて中へとボールを持ち込むことは出来なかった。
34分、右のスペースへと走る杉本へと金からパスが通ると、これをギリギリのところで中へと折り返す。ゴール前を抜けたボールは反対で待っていた阿部が拾って左足で抑えたシュートを放つが、コースに入っていた磐田DFに当たって跳ね返されてしまう。
 
 
37分、自陣からのロングボールをヨンセンがスペースへと落としたところに走り込んだ金がシュートを打つが、これは弾かれてしまう。逆サイドへとヨンセンが詰めてきていたが、こぼれ球を拾うことは出来なかった。
38分、右からのゴール前へのクロスにヨンセン、巻と走り込むと、最後巻が頭で合わせていったが、シュートは惜しくもGKの正面。
 
 
39分、右サイドをドリブルで持ち上がってきた磐田・吉田のゴール前へのボールに、中央を上がってきた磐田・中山がシュートに来るが、ここは楢崎が飛び出してシュートを阻止する。  
41分、左に抜け出した本田のクロスボールは相手DFがクリアし、右からのCKに。
42分、右からの本田のCKのボールは、ヨンセンが中央で待っていたが合わせることは出来なかった。
43分、ゴール前へと入れたボールをヨンセンが落としたところに、後方から藤田が走り込むが、触ることは出来なかった。
【交代:85分・磐】
成岡
 
ロスタイム1、磐田・ファブリシオがこの日2枚目の警告を受け退場となる。
ロスタイム2、中央を本田がドリブルで上がると、縦に入れたパスを受けた巻が反転して左足でシュートを放つが、これはポストの僅か右に外れてしまう。
ロスタイム3、左にポジションを変わっていた藤田がボールを受けると、そのまま縦に仕掛ける。エリアの外からゴール前に詰めていた巻へとパスを送るが、シュートを打つことは出来なかった。
そして、試合は磐田に1点をリードされたまま終了を迎え、名古屋はまさかの3連敗を喫してしまうという、厳しい結果に。
最後まで応援ありがとうございました。