2006Jリーグ ディビジョン1・第7節
 午前中の雨は収まったものの、午後に入ると強烈な風がスタジアム内を吹き抜けている。さらには、中国からの黄砂がその風に混じり、スタジアムの中は、うっすらと靄が掛かったようだ。しかし、スタジアム内はウォーミングアップに現れた選手達に向けた声援を送る大きな声と太鼓の音が響き渡り、試合前から盛り上がりを見せている。
 前節の浦和戦の途中から交代で入って、名古屋のリズムをコントロールしてくれた藤田が、今日はいよいよ先発で登場する。風邪による体調不良のため、ここ数日練習を休んでいた玉田が、残念ながら出場出来ないこともあり、今日は藤田に大きな期待が掛かることは間違いない。彼もそのことを充分わかっている様子で、いつになく気合いが入っていることが伺える。ここまでチームを離れていた分を取り返すような働きを見せて、勝利に貢献して欲しい。
 そしてもう一人、気合いが入っている選手が平林だ。毎年大きな期待を寄せられながら結果が伴ってこないだけに、久し振りの先発、それもFWと言う大役を任されただけに、それも当然だろう。得点力不足が危惧されているだけに、何とかその嫌な雰囲気を打開する役を、彼に努めて欲しい。
 対戦相手の京都は、今季から久し振りにJ1に返り咲き、前節・福岡相手に、昇格後、初勝利を手に入れ、意気上がる中で今日の試合に臨んできたはず。指宿でのキャンプでは、練習試合とはいえ敗れているだけに、油断することのない戦いを見せる必要がある。
午後2時40分、1人また1人と練習を終えて、選手達はピッチを後にしてゆく。前節の浦和戦で見せた、集中力を途切れさせることなく、最後まで気迫溢れる戦いを今日の、ここ豊田スタジアムでも見せて、しっかりと勝って、チームの勢いを上げて欲しい。
〜前半15分
右エンドの、アウェイ・京都に対し、左エンドを取る、上下真っ赤なユニフォームに身を包んだ名古屋。前半は、その名古屋のキックオフで試合が始まる。
先発メンバーは、GK川島、DFは右からの大森・古賀・増川・有村、中盤はDFのひとつ前に吉村、その前に右は中村、左は本田、中央は藤田と金の2人、FWは平林、という11人だ。
 
 
2分、左で、京都・林が勝負を仕掛けてくると、中央へパスを入れる。これを京都・パウリーニョが落としたところにアレモンが詰めて放ったシュートは、川島が好セーブを見せて抑えてゆく。
3分、中央でパスを受けた京都・パウリーニョが遠目から左足でシュートに来るが、これはポスト右に外れる。
5分、左で本田が持ち上がると、中へと入れたパスを受けた金がDFを上手くかわしてシュートにゆくが、これは枠を捕らえられず、右に外れてゆく。
 
 
6分、中盤での相手のプレッシャーから金がスペースに出したボールを、先に飛び出した京都・アレモンが拾ってしまい、GK川島と1対1。しかし、落ち着いてこれに対処した川島がシュートを正面で止め、こぼれたところを味方が蹴りだし、危ないピンチを逃れる。
9分、左で本田がボールを持って上がってゆくと、ゴール前へと放り込んだボールに中村が詰めるが、相手DFの厳しいマークにシュートは打てず。
 
 
10分、相手ゴール前で中村がボールを持つと、大きく左に展開、本田が小さく入れたボールを平林がダイレクトで狙うが、クロスバーの上へ。
12分、京都・中払の右からの速いクロスに、中央でパウリーニョが合わせに入ってくるが、これはオフサイド。
13分、右で大森が中のスペースへ走る藤田を伺いながら縦に、中村へとパスを通そうとしたが、タッチを割ってしまう。
 
〜前半30分
15分、左に抜けた金からのパスを中央で吉村が走り込むが、僅かにタイミングが合わず、シュートはDFに阻まれてしまう。
16分、左の本田からのクロスに中央へ中村が飛び込んでいったが、伸ばした足にはボールが当たらず。
18分、左で有村の入れたボールを平林が受けると、前に抜ける中村に向けて速いボールを入れようとしたが、DFに当たって弾かれてしまう。
 
 
19分、右からのCKのチャンス。中村が短く出したボールを藤田がDFを1人かわしてゴール前へと入れてゆく。中央で増川が待っていたが、その前で前に飛び出したGKがボールを抑えてしまう。
21分、右の大森から左の本田にパスが渡る。これを中に落とすと平林が後ろに流したところに走り込んだ吉村が右足からミドルシュートを狙うが、これは抑えが効かず、ポストの右に。
23分、中央の金から右の大森にパスが通ると、これを縦のスペースに通してゆこうとするが、ここは相手選手に読まれてしまい、ボールをカットされる。
 
 
24分、相手ゴール正面でのボールを拾った中村が中へと流れながら左足で強引にシュートを狙うが、前に立ちはだかる相手DFに弾かれてしまう。
26分、DFラインの裏へと出たパスに京都・アレモンが飛び出してくるが、ここは古賀が素早い反応を見せボールに先に追いつき、簡単に縦に戻してゆく。
28分、右でフリーでボールを持って前を向いた京都・中払が中へと入れてこようとするが、このボールは精度を欠き、マイボールに。
 
〜前半終了
30分、左のスペースへ、京都・林が出したボールを長い距離を上がってきた、京都・児玉が中へと入れてくるが、増川がコースに入り、ボールを簡単にカットしてゆく。
32分、左で本田とのパス交換で縦に抜けだした吉村だったが、パスはその後ろに抜けてしまい、チャンスには結びつけられず。
 
 
34分、右でパスを受けた大森が縦に走る中村に出すと見せて、中へと切れ込むとゴール前へとボールを流し込んでゆく。これに平林が走り込んで右足からシュートを放つが、相手GKが体を伸ばして抑えてしまった。
36分、自陣で相手選手のパスをカットした金がすぐさま左に上がる本田に向けてパスを出してゆくが、これは長すぎてしまう。
37分、自陣右深くエリアのすぐ外で京都にFKを与えてしまうと、パウリーニョが直接狙って蹴ってくるが、ここは壁に入った増川の高い打点で弾いてCKにする。
 
 
38分、右からの京都のCK。パウリーニョの左足からのボールは大きく反対へと抜けてゆく。
40分、中央でボールを持った有村からのパスがDFの間に出ると、金がこれを受けてDFを一人かわして、右足からシュートに行ったが、ボールはGKの正面。中で藤田がフリーで詰めていただけにちょっともったいなかった場面だ。
43分、相手陣内右でのFK。早いリスタートから中村が前に持ち上がると、中へと入れてゆくが、これはDFがカット。こぼれ球を中央で拾った有村がそのままミドルシュートを狙っていったが、これはバーの上へ。
 
 
ロスタイム1、左から増川のスペースへのボールを拾って上がっていった有村のクロスは右にこぼれるが、これを中村が中へと入れたところに本田がゴール前で頭で競り合いにゆくが、ボールには触れず。そして、ここで前半が終了。
試合の展開的には名古屋がボールを持つ時間が多いが、最後のところが雑になっているため、なかなかゴールが奪えない、じれったい状況の内容だった。良いところまでは行っているだけに、もうひと工夫欲しいところだ。流れは良いだけに、後半に期待したい。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、左から攻め上がる今日のボールで試合が再開。後半は、右のストッパーに古賀、左は増川、中央は大森という3バックの布陣に変えてくる、フェルフォーセン監督。 【交代:45分・名】
有村須藤
 
2分、中央でこぼれ球を拾った藤田が持ち上がってゆくと、右に抜けた吉村へパスを通す。吉村の右足からのシュートはジャストミートせず、GKが抑えてしまう。  
 
 
 
5分、左で本田が粘ってゴール前へと入れてゆくと、詰めていた中村が落としたボールを自ら蹴りこみ、ついに待望の先制点が決まる。リーグ戦ホーム通算400ゴール目は、中村が決めてくれた。
7分、左で本田が縦パスをダイレクトで縦に送ると、平林を走らせるが、ボールには追いつけなかった。
8分、左からの京都のCK。京都・林の短く出したボールを受けた京都・美尾のシュートはDFがしっかりと弾いてゆく。
【得点】
50分 中村(名古屋)
 
10分、自陣から増川がDFの裏へと走る須藤に向けてロングボールを蹴り出してゆくが、これは相手DFがコースに入りカットしてしまう。
12分、自陣右中での京都のFK。中払が縦に速いボールを入れてくると、これをパウリーニョが受けようとするが、ここは増川がしっかりと付いて仕事をさせず。
14分、本田の左のスペースへのボールを受けた吉村が中へと折り返してゆくが、右に詰めた須藤に届く前にカットされてしまう。
 
〜後半30分
16分、左で京都・美尾に股の間を抜かれると、ゴール前に速いボールを入れられる。これを京都の選手が合わせてゴールを決められたかと思われたが、ここは相手のオフサイドに救われる。
18分、右でボールを持った本田が中へと流れながら、味方を捜すうちにボールを奪われてしまい、チャンスには出来なかった。
 
19分、京都・パウリーニョに右から強烈なシュートを決められてしまい、同点とされてしまう。
20分、左からの京都のCK。美尾の左足からのボールは大きく反対へ抜けてしまう。
【得点】
64分 パウリーニョ(京都)
 
22分、左からの京都のCKは簡単に跳ね返してゆく。同点に追いついたことで京都が勢いに乗って、この時間帯は攻め上がりを見せ始める。
23分、中央に出たボールを拾った中村がそのまま縦に仕掛けてゆくと、DFをかわして抜けてゆくが、後ろから寄せた選手に倒されてしまう。
 
26分、左で本田がスペースに出したボールを拾いに行った平林が倒され、好位置でFKを得る。中村の早いボールに角田が飛び込むが、ここは相手DFも体をしっかりと入れ、前には飛ばせなかった。 【交代:69分・名】
角田
 
27分、左に抜けた須藤からのクロスに、ゴール前で待っていた中村がヘディングシュートに行こうとしたが、僅かに届かず。
28分、右のスペースのボールを中村がマイナス気味に折り返してゆくと、中央で本田が飛び込んでゆくが、詰めていた平林とかぶってしまい、前にボールを飛ばすことが出来なかった。
 
〜試合終了
31分、右の中払からのマイナスのパスを、林が受けて中へと流れながらシュートを狙ってくるが、コースに増川が入ってしっかりと跳ね返してゆく。
32分、本田がDFとのボールの奪い合いを制して縦に突破すると、DFを引きつけて平林へパスを通す。これを右に上がってきた中村に落として、左足でシュートを打っていったが、左足からのボールはクロスバーの上へ抜けてしまう。
 
 
36分、相手陣内左サイドで細かく繋いだボールを須藤がDFの裏へと蹴り出したところに杉本が抜け出すが、惜しくもオフサイド。
38分、中央で相手のパスミスのボールを拾った角田がドリブルで上がっていって、DFの裏へと狙うが、杉本へ届く前にDFがカットしてしまう。
39分、左からの京都のCK。美尾のボールはファーサイドで弾いてゆく。そして自陣から出たロングボールを拾った杉本が一気に上がってゆくと、DFと接触しながらも右のスペースへ出し、これに吉村が詰めてシュートを放っていったが、僅かに右に流れ、追加点は奪うことが出来なかった。
【交代:78分・名】
平林杉本
【交代:78分・京】
中払渡邉
【交代:80分・京】
アレモン松田
 
41分、左でパスを貰って前を向いた本田が直接狙って打ったシュートはクロスバーの上へ。
42分、京都の右からCK。パウリーニョのボールは増川が頭で跳ね返してゆく。
44分、右で縦のスペースへ出たボールを杉本が受けると、切り返して中へと入れてゆく。左から本田が走り込んでゆくがシュートまでは持ってゆけず。
【交代:84分・京】
小原
 
ロスタイム1、自陣からの本田のロングボールを上手く抜け出した杉本が拾うと、DFをかわして右足からシュートに行ったが、DFの正面となり、ゴールには飛ばせず。そして、試合は1−1のドローで、名古屋は2試合続いての引き分けで試合の終了を迎える。
前節は大きな勝ち点1だったが、最後、惜しい場面を何度も作りながらも、追加点を奪うことが出来なかっただけに、今日は勝ち点3を取り損なった、残念な試合結果と言える。最後まで熱い声援をありがとうございました。