第83回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦
 先ほどまで、関係者一同による除雪作業の甲斐あって、ピッチは昨夜に張り巡らされたネットを外され、無事芝が顔を出した。しかし、午後2時20分現在両チームとも選手は練習する事が出来ず、ピッチには誰も居ない。
 今日の対戦相手の東京Vは、今年はホームでは負けを喫し、アウェイでは前半に4得点と先攻しながらも、FWエムボマを中心とした強力な攻撃陣に攻め込まれ、終了した時には4−4という結果にされ、良い印象のない相手のひとつだ。中盤の山田・平野と言った選手の、精力的な動き、攻撃参加も見逃せないし、左サイドを上がってくる三浦も不気味な存在である。しかし、2ndステージ後半からは息切れしたのか、最終的には今ひとつの結果で終わっている。しかし、天皇杯はトーナメントという内容よりも勝てばOKと言うもの。今日はピッチ周辺に残る雪を蹴散らすような、熱いプレーで勝利を決めてもらおう。
 まもなくキックオフだ。
前 半
左にエンドを取り右に攻め上がる名古屋に対し、右から攻め上がる東京のキックオフで前半が始まる。雪は止んだものの、日が陰り始め、冷たい風の吹き抜ける中での試合となる。名古屋は、GK楢崎、DFは左から大森・パナ・古賀の3人。MFは、右から海本、吉村・中村・滝澤、トップ下の位置に岡山が入る。FWはウェズレイ・藤本の布陣だ。
2分、左に上がってきた東京・平野がライン際から折り返してくるが、これはファーサイドに詰めていた滝澤がこれを受けてカットしてゆく。
3分、右に上がってきた東京・柳沢がDFを振り切って中へとグラウンダーのボールを折り返してくる。待っていたエムボマがこれを受けようとしたが、パナがシュートコースに入り、ボールを弾く。
5分、左サイドをドリブルで滝澤が上がってゆくが、これは体を挟まれ倒される。
6分、右の岡山がバランスを崩しながらも縦に出すと、これを海本が持ち上がり、切り返して左足でゴール前に入れてゆく。ウェズレイが頭でこれをシュートに行くが、当たり所が悪く、ポストの左に外れてしまう。
7分、右サイドDFの裏へのボールにウェズレイが抜け出すが、これはオフサイドに。
9分、左サイドから大きくサイドチェンジしたボールを、東京・山田が頭でゴール前に落としてくるが、これは古賀が体を入れ、力無いボールは楢崎がキャッチする。
11分、左をドリブルで上がってゆくウェズレイが深い位置で倒され、好位置でFKを得る。ニアサイドのパナの足元に狙ってウェズレイが自ら蹴っていったが、東京・米山に弾かれてしまう。
13分、右の海本の中へのボールを相手DFが判断ミスしたところを、抜け目無く狙っていたウェズレイがこれを拾ってドリブルで縦に上がると、相手GKの位置を見てグラウンダーのシュート。しかし、これは相手がこれを読んでいたようで、倒れながら求められてしまう。滑りやすいピッチと言う事もあり、ここまでは冷静な名古屋。
16分、左に上がってゆく滝澤に中央の岡山からパスが通ると、これをトラップしてゴール前に上げてゆくが、相手DFの頭で弾かれてしまい、誰も合わせる事が出来なかった。
18分、右に上がってゆく海本が上がっていた相手DFの裏を狙って長いボールを入れてゆくが、これは藤本が慌てて飛び出してオフサイドを取られてしまう。ここへ来てまた雪が降り始め、ピッチ上は激しく雪が舞っている。
20分、左から中へと切れ込んできた東京・平野が放り込んでくるが、ここはDFが落ち着いてこれをクリア。
21分、東京の右からのCK。三浦がゴール前に入れてゆくと、パナがこれをカットしようとするが、一瞬クリアが小さくなり、エムボマが奪いに来るが、再度これを落ち着いて蹴り出して行き、味方へとパスを繋ぐ。
23分、右サイドを山田がオフサイドギリギリで抜け出しドリブルで入ってくると、シュートに来るが、これはサイドネットを揺らす。ひやりとした場面だった。
24分、ウェズレイが右で粘って海本の上がりを待つと、パスを縦に繋いでゆく。これを右の縦のスペースに藤本を走らそうと出していったが、これは意志が合わなかった。
26分、相手陣内中程中央の位置でウェズレイがファウルを受けFKを得る。縦に短く出したボールに吉村が抜け出してゆこうとしたが、ボールが長すぎてしまい、相手GKに。
28分、右サイド深い位置でエムボマが個人技で縦にパスを出すと、これに東京・田中が反応して出てゆくが、吉村がしっかりと食らいつき、ここはピンチを救う。
29分、右サイドから海本がドリブルで持ち込むとそのままペナルティ内へと入って行き、シュートに持ち込もうとしたが、これは自らのトラップが流れてしまい、シュートまで行けず。
31分、相手陣内右寄りの位置で中村がドリブルで仕掛けようとして倒され、FKを得る。これをウェズレイが相手DFとGKの間を狙って蹴っていったが、ボールが滑りやすいピッチに流され、相手GKが正面で弾んだボールをキャッチしてしまう。
33分、左サイド深い位置で東京・山田がスローインのボールを受けて左足で折り返してこようとしたが、これは正確さを欠き大きくクロスバーを越えて行く。
34分、中央でボールを持った吉村が左を上がって行く滝澤に左足で長いボールを蹴っていったが、その前にオフサイドを取られてしまう。
36分、左サイドで東京・エムボマが華麗なステップで大森を抜いて上がってくると、中へと折り返そうとしたが、これはバランスを崩し、大きく外に外してしまう。
37分、相手ボールを中盤でカットしたパナが左サイド前線のスペースにウェズレイを走らせようと長いパスを出して行くが、これはウェズレイが追いつけず。
39分、自陣からのクリアボールを受けたウェズレイが反転して左に上がる藤本へと出して行こうとしたが、これはコースに入られ、ボールをカットされてしまい、繋ぐ事が出来なかった。
40分、中央を上がってきた東京・根占が右の桜井へ繋いでくるが、ここは古賀がしっかりとついて行き、これを折り返させる事はなかった。
44分、相手パスを自陣深くで奪った滝澤が一気に持ち上がると、相手陣内で藤本へと繋ぐ。これをゴール前に上がっていたウェズレイへとあわせて入れていったが、相手DFが先にこれに反応、カットされてしまう。
ロスタイム1、ウェズレイが右に抜け出すとゴール前に放り込んで行くが、ニアに入ってきた藤本にはタイミングがあわずボールが後ろを流れてしまう。ここで前半が終了。0−0のまま後半へと突入することに。前半は東京がボールを持つ場面が多く、なかなか自由にさせてもらえなかったが、後半は攻撃的にリズムを変えて、試合の主導権を奪って、得点を狙って行きたい。後半に期待だ。
後 半
再び舞い始めた雪によって、長良川競技場はまるでスキー場のようだ。試合はお目見えとなったカラーボールによって、名古屋のキックオフで再開される。
1分、自陣から海本の出したボールを左で受けた中村が早い足取りで追いつくと、中へとボールを入れてゆこうとしたが、走って戻った選手に弾かれてしまう。
4分、右サイド深くで東京・山田がトラップしたボールを繋ごうとしてきたが、これは戻っていた藤本がパスコースを読んでボールを奪う。
5分、右サイド東京・田中が突破を図るが、吉村がしっかりとついてゆきミスを誘う。
7分、自陣中央ほぼ真ん中での東京のFK。三浦が直接狙って蹴ってきたが、これは楢崎が正面でしっかりとキャッチ。
8分、今度は自陣右中程の位置での東京のFK。ファーサイドへのボールに東京・米山が頭で合わせてきたが、このボールはポストの僅かに左に外れ救われる。
9分、左でボールを持った藤本がドリブルで上がってゆくと、相手陣内で倒されるが、これはファウルを取ってもらえず。
10分、左サイドをウェズレイがボールを持って抜け出してゆこうとしたが、滑りやすいピッチに足を取られチャンスに出来なかった。
13分、自陣で相手パスを奪ったパナがボールを縦に出すと、これを受けた藤本が上がっていって中央に走る岡山へと繋ごうとしたが、これは相手DFにカットされてしまい、パスをかす事が出来なかった。
14分、自陣でボールを持ったウェズレイが相手GKのポジションを見てロングシュートを放つ。しかし、慌てて戻ったGKが何とかこれに反応止められてしまう。意表をヲつく良いシュートだったが決める事は出来なかった。
15分、名古屋1人目メンバー交代:吉村→鄭 容臺
雪で真っ白になった長良川競技場は、じっくりサッカーを見ている状況ではなくなるほどの降りとなってきている。
20分、相手陣内左深い位置でのFK。これをウェズレイが早く低いボールで狙ってゆくが、相手選手に当たり弾かれてしまう。
21分、ゴール前の混戦でこぼれたボールを押し込まれそうになるが、ここはクリアに逃れる。
22分、右からの東京のCK。短く出して放り込んでくるがゴール前の選手がファウルを犯したためGKに。
24分、右サイドからフリーでドリブルで上がってきた選手が入れたボールがクリアできず、あわやの場面だったが、何とかコースに入った選手がこれをカットして、ピンチを救う。
26分、左サイド深くで滝澤が粘って中へ入って行くと、中央へと折り返していったが、正面に詰めて言った選手には合わず、相手にカットされてしまう。
27分、右からの東京のCK。短く繋いで中へ入れてこようとしたが、これ簡単にカットして行く。ピッチは雪が積もり滑りやすくなり始める。
28分、左サイドで藤本が粘ってCKを得る。ゴール前に放り込んでいったが誰も合わせる事が出来ず、こぼれ球を拾おうとしたウェズレイは倒されてしまい、ボールを奪われてしまった。
30分、藤本が左サイドを長い距離をドリブルで上がっていって中へ放り込んで行こうとしたが、これは足を行きに奪われて滑ってしまい、チャンスに出来なかった。
31分、自陣右中程での東京のFK。三浦がニアに蹴ってきたがこれはDFがあっさりクリアして行く。相変わらず雪は降り止まず、両チームとも体力勝負と言うより、精神力の勝負となってきた。この雪にめげずに戦ったチームに勝利が待っているはずだ。
34分、相手陣内深くほぼ正面の位置でのFKを得る。この絶好の場面でウェズレイが直接狙って蹴っていったが、これは相手選手に弾かれCKに。
36分、このCKを滝澤が入れて行くと相手GKがファンブル。こぼれ球を慌てて拾おうとしたのがペナルティの外となり、再度好位置でFKを得る。今度もウェズレイが直接狙って蹴っていったが、ゴール右隅を狙ったボールは僅かに右に外れてしまった。
38分、自陣右中程の位置での東京のFK。三浦の蹴ってきたボールは軽く弾き出して行く。
40分、自陣のこぼれ球を相手選手がダイレクトでシュートしたボールが味方に当たり東京のFKに。しかし、この場面で右からのCKは相手選手のオフサイドで事なきを得る。
42分、右でボールを持った藤本が追い抜いて上がって行く海本を待って縦パスを出して行くが、これはタッチを割ってしまう。
【失点】
44分、東京・桜井の右からのミドルシュートが味方の陰になって見えない楢崎の脇を抜けてゴールネットを揺らしてしまい、まさかの失点を喫してしまう。これまで頑張ってきた選手達にとっては痛く、悔しい失点だ。
ロスタイム1、東京Vメンバー交代:平野→小林
東京の右からのCK。ゴール正面に入れてきたボールはDFが体を張って相手選手を押さえ込み、浮いたボールを楢崎がキャッチ。しかし、ここで主審の終了の笛が競技場内に鳴り響き、名古屋のシーズン終了を告げてしまう。チームの攻撃の起点となるマルケス選手が不在だった事が最終的には響く結果となってしまった。最後まで応援ありがとうございました。