ドラガン ストイコビッチ新監督・記者会見
 1月22日(火)、トヨタスポーツセンターにて新監督に就任したドラガン・ストイコビッチ氏の記者会見が行われましたので、その模様をお伝えします。
ストイコビッチ氏 プロフィール
氏名 ドラガン・ストイコビッチ
国籍 セルビア共和国
生年月日 1965年3月3日 (42歳)
-記者会見の模様(全文)-
 みなさん、こんにちは。
 昨年11月に名古屋へ来ましたが、その時に約束した通りに今回こういう形で名古屋へ戻ってくることができました。今日は正式にグランパスの監督に決まった事で、こういう会見を開くこととなりました。そして、もちろん私はグランパスが良い結果を残すために名古屋へやって来ました。
 サポーターの皆様には、応援を宜しくお願いしますと伝えたいと思います。今回は選手ではなく監督という立場で名古屋へ帰って来ましたが、今シーズンもサポーターの力強いサポートが必要です。このサポートがなければ勝つ事ができません。私としてもベストを尽くしたいと思いますし、「ピクシーがやると言えばやる」と言う事を期待して頂きたいと思います。

Q:正式にグランパスと契約を結んだ事で、何か心境の変化のようなものはあるのでしょうか?
 2、3ヶ月前から私が監督になるという話が出て来たと思います。そういう状況で、私は必ずグランパスの監督になるんだという強い気持ちを持ってここまでやってきました。そして、昨日名古屋に着いた時にも強い気持ちを感じました。今後は、強い気持ちを持って新しいチャレンジをしたいと思います。以前はフィールドの中でリーダーとしてプレーをしていましたが、今度はベンチでのリーダーとして仕事をする事となります。選手に対してはどの試合でも100%の力を出して欲しいと思いますし、日頃のトレーニングにも全力で臨んで欲しいと思います。明後日にはチームとしての練習が始まりますが、選手達には私の指示に従って欲しいと願っています。私は過去も、そして今後も「勝者」でありたいと思います。

Q:現在のグランパスのチーム状況をどうお考えでしょうか?
 昨年はあまりよくない成績でしたが、良いチームだと思います。そして今後は私がこのチームを上の順位へ上げたいと思います。このチームは攻撃面でも良い物を持っていると思いますが、私はさらに質の高いトレーニングとハードワークを求めたいと思います。戦術的にも技術的にも伸ばしたいと思いますし、今いる選手達にはその伸びしろがあると思っています。

Q:今いる選手達の分析は進んでいるのでしょうか?
 既にDVDを見たりしてチームの事は知っていますし、私の中には「絵」があります。そして先程も話しましたが選手達の可能性を伸ばしたいと思っています。そのためには、選手達にハ−ドワークを求める事となります。選手にとっては悪い情報かもしれませんが、ハードワークが必要です。私は選手では無いので選手と一緒に走ることは無いのですが、それでも必要な時がくれば、一緒に走りたいと思います。

Q:開幕まで1ヶ月弱ですが、どういうトレーニングのプランをお持ちなのでしょうか?
 すでにプランは決まっています。この会見のあとテクニカルスタッフ達とミーティングを行いますが、基本的には私の中にすでにプランがあります。

Q:チームで最も強化したい部分は?
 強化するべき部分は沢山ありますが、まずチームが上手く動けるような強化をしたいと思います。選手に対しては、私が行うトレーニングのレベルを受け入れて吸収し、それを試合で披露して欲しいです。ディフェンダーもミッドフィルダーもフォワードも全て、私のトレーニングを理解し、それをプレーに活かして欲しいと思います。そしてスタジアムに来るサポーター全員が喜べるような試合をしたいです。

Q:来週からは鹿児島でキャンプが行われます。ここでもハードなトレーニングが待ち受けているのでしょうか?
 もちろんそうです。シーズン前のトレーニングキャンプとは、その年のチームのベースを作るわけですから、重要な期間です。そしてそのキャンプでも数多くのトレーニングが組まれるわけですが、今ここで話す事はできません。

Q:選手には気持ちの部分を含め、どういった話をするのでしょうか?
 もちろんモチベーション、やる気というものを感じて欲しいです。これがないとプレーはできません。あとは基本的な3つの要素が重要になってきます。それは体力的なこと、技術的なこと、そして戦術的なことです。選手達にはこれらを一生懸命学んで欲しいと思います。

Q:サポーターからの期待も高いかと思いますが?
 もちろん、皆様の期待が高い事は理解しています。そのために私がやれることは、ベストを尽くす事です。繰り返しますが「我々はできる」という気持ちを確認したいと思います。私は常にネバーギブアップ、あきらめないという信念を持ってきました。そして、この信念を選手達にも根付かせたいです。

Q:過去にベンゲル監督が就任した時は、前年が11位で就任後に3位へと躍進しました。今回も状況が似ているかと思いますが、目標をお聞かせください。
 似た状況かとは思います。そして彼は最初に質の高いトレーニングを行ったため、その後の順位へと繋がりました。私も同様にしたいと思います。実は昨年の12月に1週間、アーセナルにいるベンゲル監督の下でお世話になり、ロンドンに滞在していました。その間、彼とはサッカーやグランパス、そして日本の話題など多くの話をする機会に恵まれました。その機会は今の私にとってとても有意義なものとなっています。そしてベンゲル監督から「自分のやることを信じろ」というメッセージを貰いました。我々はやれる事を全てやり、ベストを尽くす必要があります。それが出来て初めて、95年のようなシーズンを送れるのではないかと思っています。

Q:監督としては初めてのチャレンジですが?
 すべてがファーストチャレンジです。どんな事でもファーストステップというタイミングはあるものであり、私は一生懸命頑張るだけです。私は自分の精神力、そしてクオリティというものを信じています。この状況でベストを尽くし、監督という職業を全うしたいと思います。そして、私の周りにいるスタッフも忘れてはいけません。彼らの協力が無くては、私は戦えません。

Q:かつてグランパスには現役時代の監督という優れた選手がいました。そして今は、そのような特別な選手はいません。監督はそのような選手を育てる思いはあるのでしょうか?
 それは難しい質問です。これは選手にもよる事なのですが、彼らがどう成長すれば良いのか、例えば試合の中でどうプレーすれば良いのかなど、助けられることは助けます。気持ちの部分でもそうです。そして試合の中で選手自身が良いパフォーマンスを見せて伸びる可能性もあります。そのために私は、ベストを尽くして選手を助けたいと思います。さらに我々を含めたスカウティングスタッフの課題なのですが、日本の中で才能を秘めた若い選手も探したいと思います。

Q:先ほど頭の中に「絵」があると話されましたが、ヒントでもあればお聞かせください。
 確かに先ほど「絵」という言葉を口にしました。グランパスには昨年から在籍している選手と、今年から入って来る選手がいますので、その中でもう一度考える必要があります。

Q:キャンプでは練習試合という形での初采配が組まれるかと思いますが、最初からベストメンバーで戦うつもりなのでしょうか?
 練習試合といってもまだ早い段階です。ベストメンバーも現時点では全ての選手にチャンスがあります。最終的に何人くらいがレギュラーを獲得する事になるかはわかりませんが、その時点でベストを尽くし、ベストなコンディションを保っている選手がベストメンバーだと思います。

Q:現在グランパスに在籍している選手全員が、横一線からスタートするという事でしょうか?
 この場で個人名を出したくはありません。横一線といっても体力的に優れた選手、スピードが優れた選手、技術が優れた選手とそれぞれの個性があり、選手のレベルが横一線だとは思っていません。それはこれからのトレーニングの中で見極める必要があります。24日の始動日にはミーティングを行いますが、その際に私のやりたい事を選手達に伝え、それを実践してもらいたいと思います。

Q:昨年の11月に日本へ来た際に「キックオフから90分間、攻撃を意識し続けたサッカーをしたい」と話されました。そして正式な監督に就任した今、具体的にどういうサッカーを展開したいとお考えでしょうか?
 11月の会見時の繰り返しになってしまいますが、攻撃なサッカーをしたい、その思いは変わっていません。私は、グランパスを魅力があり試合を戦えるチームにしたいと思います。試合を見に来たサポーターが、満足してスタジアムから帰ることができるチームにしたいです。もちろん試合の状況や結果等多くの要素が関わって来ますが、私の目標としているサッカーは攻撃的なサッカーです。守備的なサッカーはしたくありません。常に攻め続けるサッカーが私の目標であり、選手にもこれを要求したいと思います。

Q:攻撃サッカーといっても例えばパスを繋いで攻め上がるスタイルや、ロングボールを多用しての戦い方などいろいろ方法はあると思います。その攻撃的サッカーの中でピクシーの軸となる戦い方とは、具体的にどういう物になるのでしょうか?
 私の考えている攻撃的なサッカーとは、チームとしてまとまりがあり、組織力の高いサッカーです。そのためには、中盤のミッドフィルダーが重要な鍵になります。その位置で素早くパスを出したりワンツーで抜け出したりする事が必要です。さらに、トラップの技術等が高い選手もいなくてはいけません。多くの要素が絡みますが、そういう攻撃的なサッカーを見せたいと思います。私個人としてはロングボールを多用し、フィジカルを重視するサッカーは好きではありません。それを実践するにはハードワーク、一生懸命トレーニングを行わなくてはいけません。それは我々の義務でもあります。ディフェンダー、ミッドフィールダー、フォワードの全ての選手がどのような状況に置かれても、どのようなポジションであっても同じようなプレーを出来るようにしたいと思います。それが出来て初めて、良いチームが出来上がってくるものです。そのために選手達には、自分たちに与えられた責任、そして義務というものをしっかりと説明したいと思います。

Q:グランパス史上初のOB監督となりました。ピクシー自身、勝てない時期も経験して来たかとは思いますが、今シーズンはクラブにとっても新しい挑戦となります。このグランパスが優勝を目指すためには何を変える必要があるとお考えでしょうか?
 1つはメンタリティ、精神力の問題です。そして選手達には自信をもって戦って欲しいです。あとは集中力、これを切らさずにしっかり戦う必要があります。この集中力が1番の問題であり、これを変えない事には試合に勝つ事ができないと思っています。現代のサッカーで秘密は通じません。私が監督というリーダーの立場で一生懸命戦います。そして頭の良い選手が揃っていますし、私の指導することを彼らは吸収してくれると思っています。

会見に続いて行われたフォトセッションでは、カメラマンからの希望に応えリフティングを披露しました。
チームはいよいよ24日から練習が始まります。今シーズンのグランパスにご期待ください!